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症例から学ぶ肩関節可動域制限 ~拘縮肩・腱板損傷の可動域を拡大させる!~
今回の記事は肩関節周囲炎(拘縮肩)、腱板損傷の2症例から、関節可動域拡大に向けて、私が臨床でどのように評価・介入をしているのかを提示させていただきたいと思います!
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問診や挙上動画から、「どのような点に着目するのか?」また「どのような評価が必要になるのか?」「評価からどのような介入が必要なのか?」など、私が臨床1~3年目の時に欲しかった内容を詰め込みました。参考になれば幸いです!
1.症例紹介(凍結肩)
1症例目は肩関節周囲炎(凍結肩)の症例になります。顕著な可動域制限と運動時痛が存在します。みなさんは「どのように評価し、どのように介入しますか?」
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まずは問診で肩関節周囲炎(病期)の状態や日常生活の状況を把握します。例えば、私が必ず確認している内容として
・いつ頃から肩の痛みがありますか?(急性or慢性)
・安静時痛や夜間痛はありますか?(炎症状態の把握)
・日常生活で痛みがある動作はありますか?(ストレスの把握)
などを確認しています。
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凍結肩の病期を把握することは、非常に大切になります。例えば、炎症期で疼痛(安静時痛や夜間痛)と可動域制限が混在している場合、積極的な肩関節への介入は炎症を悪化し、症状を強くする可能性があります。
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そのため、早急な炎症の鎮静化や炎症を引き起こしている動作(ストレス)を改善する必要があります。また、肩関節に対する介入は愛護的に実施する一方で、肩甲胸郭関節など他関節には積極的に介入していきます。
今回の症例は、安静時痛や夜間痛は殆どなく、運動時痛が主たる問題となっていました。罹患期間はおおよそ半年経過しており、急性期は過ぎており、積極的に肩関節の可動域を拡大していく病期と認識した症例になります。
では「身体評価はどのように実施していくのか?」について解説していきます!まずは、肩関節自動挙上可動域を確認します。挙上角度だけでなく、肩甲骨の動きや疼痛が出現するフェーズなども確認します。
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この症例はおおよそ肩関節屈曲100°で可動域が制限されており、可動域最終域で上方~前上方にかけて疼痛が出現します。同様に肩関節外転も80°程度にて制限されており、最終可動域で上方に疼痛が出現します。
挙上可動域以外には、1st・2ndの内外旋可動域や水平内転・結滞動作を確認し、可動域制限に関与している前方組織・後方組織を評価します。
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問診と可動域評価が終了したら、エコー評価にて炎症や腫脹の有無、CHLや肩甲下筋、棘下筋の動態などを確認します。(筋力評価は可動域制限が顕著な場合は臨床で省くことが多いです)
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問診や身体評価・エコー評価の結果から、本症例の状況をまとめると
・病期としては急性期ではないため、関節可動域の積極的な拡大を目指す必要がある
・可動域制限は全方向に存在するが、特に肩関節前方組織と後方組織が関節可動域制限に関与している可能性が高いと判断(関節包の問題もあると考えられますが、初回の身体評価では判断は難しい)
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肩関節屈曲可動域が制限されているため「腋窩や下方組織は問題とならないのか?」という点ですが、もちろん問題となり、介入は重要になります。ですが、今回の記事では、まずは前方・後方組織の問題に着目して介入を実施します。
2.症例への介入
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