前下脛腓靭帯損傷を見逃すとマズイ理由
みなさんこんにちは!理学療法士のYoshiki(@PtGekikara)です。
高位足関節捻挫と呼ばれる前下脛腓関節損傷は、競技人口における足関節捻挫の最大25%を占めるともいわれています。外側足関節捻挫よりも発生頻度は低いですが、前下脛腓関節損傷は通常の足関節捻挫よりも長い回復期間を必要とされています。
前下脛腓靭帯(以下:AITFL)は脛骨と腓骨を結び、足関節の天井を安定化させる役割があります。また、AITFLは足関節の動きに伴って生じる腓骨の前額面・矢状面の運動も制御すると考えられています。
AITFLが損傷すると、足関節の天井を安定化させる機能が低下してしまいます。また、すり鉢内での距骨の動きが大きくなり、損傷の程度にもよりますが、足首の接触表面積が減少しまうため、様々な問題が出現することがあります。
例えば
・足関節外旋の不安定性
・足関節前方インピンジメント
・将来の変形性足関節症 etc...
AITFLの損傷を見逃すともしくは考えて評価・介入しないと、”なかなか症状が改善しない”、”将来の変形に繋がる”など厄介なことが多く生じる可能性があります。
では、「AITFLはどんな時に損傷することが多いのか?」「どうやって損傷を評価したらよいのか?」「治療方法は何が効率的なのか?」というところが疑問にあがります。この3つの疑問について記事の中で紹介していきたいと思います!
1.前下脛腓靭帯の解剖と作用から損傷を考える
報告によって異なりますが、AITFLは遠位脛腓関節軟骨面から近位約2㎝まで存在すると報告されています。
そして、AITFLは前距腓靭帯や踵腓靭帯と同様、個体差があり、4つのタイプに分類されます。
TypeⅠ:下部線維束が完全に分離している
TypeⅡ:下部線維束の起始停止のどちらかが分離している
TypeⅢ:前下脛腓靭帯と下部線維束との間にわずかな隙間が存在している
TypeⅣ:下部線維束が存在していない
また、AITFLの下部線維は前距腓靭帯とおおよそ半数で連続していると報告されています。この連続する部分が損傷すると、足関節微細不安定症に繋がる可能性があります。
タイプによる靭帯の機能は明らかではありませんが、AITFLを全体として考えると、AITFLの上部線維は他の部分に比べて短くて薄いこと、AITFLの下部線維が最も強いことが報告されています。
この解剖学的情報から、AITFLはタイプによらず上部線維が損傷しやすい可能性があります。実は、つい先日AITFLと前距腓靭帯の複合損傷の方を担当したのですが、完全に上部線維が損傷していました。
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