『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』
書籍情報
なぜ読んだか
もともとこの本の存在は知っていて、ずっと読んでみたいと思っていたのでこのタイミングで買って読んでみることにした。
記憶に残ったこと
著者の言語化力
著者はもともとチェスの王者であり、そこから太極拳でも世界王者になる。そして、通常言語化が難しい心理的な動き、身体的な感覚の変化といったようなものの言語化を試みている。そしてそれは実際にかなり洗練された形で文章に落とし込まれている。著者のこの言語化から逃げずに落とし込んでいくことで、原理原則を確立し再現性を作ろうとしていることがわかる。
単純にアスリートの本としても面白い
後半になるとだんだんチェスよりもより太極拳の試合のシーンの描写が増える。これもまた面白い。少し『怪物に出会った日』で読んだものと似ている。通常、試合をしている本人でしか感じ得ないようなものを言葉で表現をすることにトライしていて、私たちはその一部を擬似的に得ることができる。
仙人のような観点
著者の幼少期からの執筆当時までの様子が描かれる。その中で著者の精神的な成長が凄まじく、もはや仙人のようにも思われる。怒りや怖れといったものから隠れたり、それを隠そうとするのではなく、それをうけとめて逆手にとって自分のチャンスとして捉える。またはカウンターのチャンスとして捉える。言うは易く行うは難し。
なんかこれは『反脆弱性』の概念だなと思った。
所感
本自体は面白かった。
ただ、今自分がそのレベルで物事を突き詰めている局面ではなく、どこか自分事化しきれなかった。これは読むタイミングによって、得られる学びは全然違う気がする。また何かを極めることがこの先あれば、ぜひ読み返してみたい。
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