『エレクトリック・シティ:フォードとエジソンが夢見たユートピア』
書籍情報
なぜ読んだか
本屋をぶらついてて目に止まり、おもしろそうだと思ったから
記憶にのこったこと
ヘンリー・フォード
ヘンリー・フォードという人物についてあまり知らなかったが、改めて彼が非常に強い影響力を持っていたことを知った。マスメディアを使ってかなりイメージコントロールもしていた、あまりに人気でアメリカ大統領にしようという運動もあったほど。勤勉で人前で話すのは苦手みたいな性格であったというのも、自分の中で富豪のイメージもっていたのもあり、以外だった。
同時にかなりの反ユダヤ主義でヒトラーとのつながりも強かったらしい。
大規模事業を進める難しさ
本書は具体的にどうダム建設を遂行したか的な話かと思ったがそうではなく、ヘンリー・フォードの提案するダム建設案の審議についてのストーリーがメインであった。そもそもまだ電気自体が普及していない中で、電気を中心としたビジョンを掲げ、ダムに適した土地ということ以外廃れている街を改革しようとする案について政府との戦い (?) を繰り広げる。単純にみると「さっさと許可してあげるべきで政府は邪魔するな」という気持ちにもなるが、他の入札者がいなかったり、未知の技術に対して今後のインフラとなりうるような役割をパッと民間に預けづらいのもまた事実だとも思った。
独自通貨の構想(エネルギードル)
あらすじにもある通り、エジソンもフォードと一緒にダム建設案を進めようとしていた。そして資金調達の方法として将来建設されるダムによる将来の収益を裏付けに独自通過(エネルギードルと呼んでいる)を発行しようと考えていたらしい。これは最近の胡散臭い投資話と似ていて、エジソンもこういうの考えていたんだなと思い面白かった。そして、当時の経済学者にきちんとボコボコにされて頓挫しているのもまた面白かったw
感想
大規模の案件は一筋縄ではいかないなと思った。地元民、政治家、民間企業のそれぞれが各々の見方で意見し、そして互いに探りあう。民間が進めるのも、国が進めるのもそれぞれpros/consがあり、どちらかのみを単純化して正しくないっていうのは見落とすものがでそう。そのため、この本のこの一文が刺さる。こういう案件でもある種の競合相手がいてきちんと案が精査され評価される事自体がプロセスとしては欠かせないのかな。
一歩引いてみると、今のLLMを始めとしたAIについての規制などなども似た状況なのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?