『世界のラグジュアリーブランドはいま何をしているのか?』
書籍情報
なぜ読んだか
近年、街でラグジュアリーブランドの商品買取りをよく見るようになった。しかし、自分はほぼ買わないため、ラグジュアリーブランドの世界ってどんなところか気になり読んでみた。
記憶に残ったこと
ラグジュアリーブランドの数字周り
読んでいてラグジュアリーブランドの市場についての数字周りをいくつか
日本関連
2022年に日本のラグジュアリー市場は前年比で18%成長
今後も成長が見込まれ2023年から28年にかけて、年平均成長率は4.94%と予測されている
中国関連
ラグジュアリー品を購入する中国人の平均年齢は28歳で、世界平均よりも10歳若い
2020年の独身の日だけでカルティエとエスティローダーの両者は10億人民元(今のレートだと207億円ほど)売り上げた
中国市場は現在の大手ラグジュアリーグループの売上の少なくとも4分の1を占める
2025年には海外と国内の中国人によるラグジュアリー消費が世界の約半分を占めるようになると予測される
挑戦的な試み
ラグジュアリーブランドは自ブランドのストーリーをより強固なものにするために、かなり挑戦的なことをしている。
コロナ禍で通常のファンションショーができな場合には、砂漠のランウェイでショーをしたり、ソーシャルディスタンスを保つためにドライブインで観客が乗っている車の間をモデルが練り歩いたり。
また、ラグジュアリーブランドはNFTといった最新技術の活用にも積極的である。
SNSやゲームなどデジタル空間でのプレゼンス
デジタル上での顧客へのリーチのために、ポッドキャストや動画をだすのはもちろん、自社でドラマ作成をしたりゲームまで自作している。
また、SNSを用いて顧客に情報発信するのはもちろんのこと、ソーシャル上で人々の動きをみて、それにリアクションするようなムーブもしている。
以下の例だと、ハリー・スタイルズが着たJWアンダーソンのカーディガンを自ら手編みしようとし、その様子をTikTokに投稿することが流行った。ハッシュタグ#harrystylescardigan がつけられたこの動画が盛り上がり、これを受けてブランドがそのニットパターンを公開したもの。
ラグジュアリーブランドにとって、この「遠すぎると顧客離れるけど、近すぎると庶民的になりすぎる」みたいな葛藤は難しそう。
感想
中国市場はやはりでかい。単純にでかい以上にwechatなどのSNSの存在感が強いのもあり、かなりSNSを駆使してラグジュアリーブランドは市場獲得を目指しているように感じる。
若者の獲得にもかなり力をいれている姿勢は、デジタルへの力の入れ方から見て取れる。現実上では高価なアクセサリーをオンラインゲーム上でデジタルグッズとして安価で販売し、顧客はそれを自分のアバターに身に付けさせる。これはたしかにブランドへのエントリーにはよいし、自分のアバターと同じものを現実でも身につけたくなるという心理も働くと思う。
また、ラグジュアリーブランドは自分のブランドのストーリー確立をかなり大事にしていて、その分、環境保全やダイバーシティの点にかなり力をいれているというのもわかった。たしかに今の時代で環境汚染をしているブランドは以前よりもより悪くとらえられ、かつSNSでそれが露見しやすくなったというのはある気がする。
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