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『漢字と日本人』

書籍情報

「カテーの問題」と言われたら、その「カテー」が家庭か假定かあるいは課程か、日本人は文脈から瞬時に判断する。
無意識のうちに該当する漢字を思い浮かべながら……。

あたりまえのようでいて、これはじつに奇妙なことなのだ。
本来、言語の実体は音声である。
しかるに日本語では文字が言語の実体であり、漢字に結びつけないと意味が確定しない。
では、なぜこのような顛倒が生じたのか?
漢字と日本語の歴史をたどりながら、その謎を解き明かす。

上記リンク先より

なぜ読んだか

SNS上で話題になっているのを見て、日本人の漢字の使い方について知れるのは面白そうだなと思い、読んでみた。

記憶に残ったこと

漢字はそもそも日本語向けに作られたものではない

広く知られている通り、漢字自体は中国でできたものである。
そのため、当然ながら漢字は中国語(シナ語)の文法体系や発音体系にあわせて作られた文字である。その漢字が、全く別の文法体系・発音体系をもつ日本語に持ち込まれたわけである。
本文中で触れられていた例としては、dog という単語をもってきて「いぬ」と読むようなものだと言っていた。

同音異義語

そういったもろもろの背景があり、それ自体はここでは割愛するが、それらにより日本語には同音異義語が多く存在する形になってしまっているとのこと。本来言語は「音が先で文字が後」である。(文字が存在しない言語も多く存在するし。)
ではあるものの、日本語はこの構造がこれらの事情から少し異なり、「こうこう」と言われると文脈から「高校、航行、後攻」などから瞬時にその意味を絞り込む。
また、造語をつくられたとしても、だいたいはその漢字を推測しそこから意味もなんとなく予測できる。

戦後日本の価値観

戦後の日本では漢字を廃止して、カタカナ・ひらがなのみにするような案もでて実際に推進もされていたらしい。それらも戦後の中での西欧文化が絶対正義というような価値観の中で取り組まれたことであったとのこと。
日本人の中でも漢字なんてもう廃止しようという動きも多く見られたとのことで、なにかの文化を盲目的に絶対視するのは危険だなと感じた。

所感

漢字の成り立ちや、戦後での廃止論など全然把握していなかったので勉強になった。
あとは、筆者の語り口がかなり痛快で歯に衣着せないのが面白かった。

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