【僕ヤバ感想】Karte.90 僕はややこしい
一言で済む気もするけどねえ。「それは足立が関根に用意したやつだ」って。
「僕はややこしい」というより、ぱっと一度読んだ印象では市川が言い出せない間にややこしくなってしまったという感じ。足立が間違えなければいいという話もあるけど、市川は前腕を怪我した時、足立に結構助けてもらってるんだから、このときぐらい助けてあげても良かったと思うぞ。
「僕はややこしい」というのは「これくらいのことを言い出せないなんて、僕はなんてややこしい(面倒な)やつなんだ」ということかな。
今の子、スマホやラインがあるから気になる子とのやりとり楽なんだろうなって昔の人である私は思ってたけど、やっぱり下駄箱って今でもときめく場所になりうるのか。
週明けに満ち足りた二人、足立に見破られるなんて相当顔に出ていたのだろう。そして太田くんは常に冷静。
足立のママ、若い。多分市川たちが住んでいるあたりでは少数派ではないかと思われる母親の格好(この漫画の舞台となっているあたりは、去年の大河ドラマの主人公が田園都市を作ろうとした場所であり、皇后陛下の実家があった場所だったりする)。でも、足立に対する愛情や、子どもをまっすぐ育てようとするのが伝わってくる。なかでも
足立が女の子からチョコを貰ったことを知っている(それが萌子からと把握しているかどうかはわからない)
息子のためにお返しを用意する
ママはきちんとお礼を言うべきと考えている
きちんとお返しを渡せているか学校まで見に来る(いや、なにかあって学校から呼び出されたのかもだけど、それだったら足立を叱っていそうだからそれは今回ないかな)
ちゃんとお礼を言えたらよし!と褒める
から、足立とママの関係は非常にいいのだろう。このくらいの年頃の男の子ってお母さんにあまりそういうこと話さない気もするし。いや、嬉しくて喋っちゃう子もいるのかな?
足立のママ、萌子をじっと見つめている、というか、自分が用意したお返しを手にしている萌子をじっと見つめて、足立にきちんとお礼を言わせてる。もしかしたらママも、息子が女の子からチョコもらった!って嬉しくてお返し用意しちゃったのかもね。なんかそんな可愛さすらあるママ。
そのへん市川はどうなんだろう。市川のママは黙っていても見透かしていそうな気もする。市川のママもバレンタインチョコづくりで女子の家にお邪魔したことは知ってるからね。でもきっとおねえがおせっかいを焼くかわりに、ママは見守ってくれているのかな。
足立の心の純粋さが眩しい。義理チョコを「みんなに」配るところがいいって!萌子も驚いてるけど、私もびっくり。そんな発想があるのか。
心が汚れた私は、例えば山田のチョコの渡し方が一本釣りなら、萌子の義理チョコは自分がバレンタインというイベントに乗っかりたいため、あるいは「延縄漁」みたいな、たくさん撒けばどれかがくいついて…反応してくるだろうというものだと思っておりました。
※延縄漁 とは
でも落ち着いて考えれば、義理チョコで誰もハブらないというのはすばらしい。別け隔てなく接しているわけだし。そこに惹かれるという足立、自分にとって都合良く考えるだけでなく、人の行動にもいいところを見つける、真の意味でポジティブな子ではないか。
もしかしたら足立がホワイトデーにお返しを用意しなきゃと思ったのも、「俺に気があるのかな」と、自分に都合よく考えるだけではなく、ママや部活(柔道)の教えを受けて、「なにかしてもらったらきちんと礼を尽くして返すべき」みたいなことを、何の衒いもなく、当たり前のこととして考えている子かもしれない。一応足立は山田が好き、と自分で思っているらしいけれど、だからと言って「俺、山田が好きだからごめん」とお返しを用意しないのではなく、「もらったからにはきちんとお返ししないと!」という、実は律儀な、礼儀正しい子ではないだろうか。きっとママの教育がいいのだ。
逆にもごもごとしている市川や、靴箱に入っていたお返しを「誰かのところと間違えたのではないか」と思うまでもなく自分宛てと信じ切り、さらには「市川が別の方法で更にくれたのかも」と思っちゃう山田、ちょっと今回はいいところがないなあ。特に山田、「他の誰にも上げてないよ」というなら、場所を間違えたのではないかと疑ってもいいと思うんだけど。
山田の自己肯定感は素晴らしいのだけど、時として、他の人がいたたまれなくなっていることもありそうだ。
私としては今回足立と足立のママにかなり好感を抱いたので、きちんと誤解が解けて、足立とママが用意したお返しがきちんと意図が伝わって、萌子に渡るといいなと思う。
それはそれとして、足立は相当英語と国語の文章力を勉強したほうが良さそうな気もした。がんばれ現役中学生。
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