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過去問の取り組み方(最難関中受験・算数)

主に最難関中の算数の過去問に取り組む際に押さえておきたいことを今回は書いてみたいと思います。志望校で過去に出題された問題、これが解けるかどうかで合否が決まるわけですから、できるだけたくさんやっておいて弱点をつぶしておいた方がよいのでは、できるだけ全ての問題が解けるようになっておいた方がよいのではないか等、今回はこの、過去問に取り組む際に出てくる疑問について今回は考えたいと思います。

1.何を目的に過去問演習をするかを明確にする

①問題数と制限時間の関係を把握する
②問題傾向を把握する
③合格のためにはどの難度の問題まで解くべきかを把握する
④問題用紙の体裁を把握する

過去問演習を子どもに任せると、単に何点取れたかで一喜一憂しがちです。そうではなく、実際には上記の4点のようなことをしっかり把握するために過去問演習は行いたいところです。これらの各項目について、今回は詳しく書いてみたいと思います。

2.問題数と制限時間についての考え方

最難関レベルに学校群は、問題数に対して制限時間が短い、キツい学校が多いです。これは問題数が単純に多い、という場合だけではありません。問題数はそこまで多くなくても、1問1問が非常に考えさせる問題が多い場合、時間がいくらあっても足りない、ということになりがちです。算数について、下にまとめてみました。

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不整合な部分があるかもしれませんが、あくまでその学校を受験する受験生にとって長いか短いか、多いか少ないか、という観点で大目に見ていただけたらと思います。

マトリクスの右上<問題量が多い、制限時間が長い>に分類される学校では、さらに「合格に必要な得点率」の軸も加味して考える必要があります。灘や西大和では6割、洛南では6.5~7割、星光では7~7.5割、というように、合格に必要な点数は変わってきます。それだけ得点するのに、時間がたくさんあると思えるか、そうではないかによって、訓練すべき過去問の年数が変わってくる、ということです。

3.問題傾向の把握について

最難関中の入試問題というのは、同じ問題傾向がずっと続くとは限らないのが特徴です。最難関校というのは、標準的なレベルの問題では受験生に差をつけることができないため、できるだけ他の学校には見られない問題、初見の問題、ひねりのある問題(でも紐解けば解いたことがある問題に帰着するような)の出題となります。これに加え、新しい先生にもそのクオリティを引き継いでいけるよう、それまでは出題されてこなかったような問題でも、あえて出題してみる、ということもあります。最難関校になればなるほど特に、「傾向」というものを分析されるのをいやがります。受験するからにはこれだけのことは勉強してきておいてほしい、という思いがある半面、「傾向と対策」だけで訓練された受験戦士のような生徒はほしくない、という思いも垣間見える入試問題の出題が多いのも、最難関中の特徴の1つです。

一方、明らかにメインの作問者が変わったな、という節目のように感じられる年、というのがあります。これは素直に通っている塾のその志望校の対策授業を担当している先生に聞いてみると良いと思います。そして、その節目よりも過去までさかのぼって過去問を演習する必要があるか、ないかについても相談してみると良いと思います。一般的には、

a.いま現在の入試傾向と同じ年度までさかのぼる
b.aで判明した弱点分野の克服を優先する
c.aより前にさかのぼる際は、その「目的」を明確にしておく

という優先順位でやり、特に直前期はbに時間がかかると思いますし、また時間をかけるべきと思います。弱点を抱えたまま入試本番にのぞんでは、自信を持つことが難しいからです。

cは目的を明確にするのであれば、やることに意味があると言えます。1つは、いまの入試傾向と何が違うか、何が変わっていないか、ということです。特に重要なのは、「変わっていない点」です。あくまで一例ですが、最近は2人が同じ方向に進む旅人算が出題されているが、ある年度以前は途端に時計算になっているとしたら、本質は変わっていないのがわかると思います。これは、仮に入試傾向が来年また変わったとしても確実に問われる部分ですから、重点的に取り組むべきであるということが確認できます。

4.合格点到達のための難度判定のために

これは判断が難しいところです。塾によっては、設問ごとに問題難度を3段階程度に分類してくれますので、それを参考にして取り組みたいところです。3段階とは、

ア.その学校の受験生としては確実に得点しなければならない問題
イ.合否の分かれ目になる、できるだけ得点すべき問題
ウ.捨て問(合否に影響のない難問)

程度の分類でも参考になると思います。そして、まずはアを徹底的につぶし、イに時間をじっくりかけたいところです。ウについては、解けるようにするというよりは、その難度の問題が出たら、この学校の受験生としては捨て問と言えるレベルだと認知できるようになることが大切です。過去問演習となると、得てしてすべての問題が解けるようにならなければならないと思いがちですが、そうではありません。解かなくても合否には影響のない問題を見極める力をつけること、これもまた過去問演習の大切な意味となります。

5.解答方法の違いを把握する(解答のみor途中式必須)

これは傾向とは少し離れた話になりますが、入試問題の「体裁」が変わる、ということもあります。いま多いのは、途中式を全く書く必要がなかった学校で、途中式を書かせるようになるケースです。大学入試改革が影響しているのは明らかなのですが、これが六甲学院や須磨学園などの中堅校にも影響を与えているのが大きな流れです。最難関中受験者としては、途中式・考え方を筋道立ててしっかり書く、という練習は十分に積むことになるのですが、中堅校レベルになってくるとここが非常に難しいので、実際の入試問題を見せながら、日頃から途中式をしっかり筋道立てて書くことの大切さを子どもに説く必要があります。

また、問題用紙そのものの体裁の変更もあります。可能であれば、赤本のような本で編集されたものではなく、原本のコピーにあたって、ああこういう変更もある学校なのか、ということは確認できるとよいと思います。神戸女学院はB4タテで直接書き込み式だったものが、数年前にB4ヨコで、しかも問題用紙と解答用紙は別々になりました。大阪聖光学院は、昨年問題用紙が1枚増えました。だいぶ前ですが、東大寺学園の解答用紙のスペースがかなり大きくなりました。体裁の変更は、学校の意思が表れます。何を意図してそれらの変更がなされているかも合わせて確認できると、その学校の問題をどう攻略していけばよいかをつかむ糸口にもなります。

今回は以上です。過去問はいつからやった方がよいのか、何年分くらいやっておいたらよいのか、など過去問演習についてはまだまだ触れることができていない疑問点がありますので、回を分けて書いてみたいと思います。過去問に限らず、中学受験で書いてほしいテーマがありましたらコメントでお知らせください。お読みいただきましてありがとうございました。

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