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ミーターの大冒険 第五部 オーロラ 第8話アンテンニン庭園の洞窟
134第8話アンテンニン庭園の洞窟
ミーターの大冒険
第五部
オーロラ
第8話
アンテンニン庭園の洞窟
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ガイアの軌道上で長老ドムとの交信で、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを知る。
人類の歴史消滅がこの時点で歴史復活のフェーズに転換した、瞬間でもあった。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナは、膨大なデータを何億回も検索して、様々な手法を試し、ミーターとの会話からもヒントを得て、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。
話はドースの出身星のシンナに及び、アンテンニン庭園ともうひとつの絵画、パウロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』もシンナ大学の講堂に掲げてあったという。そのアンテンニンとカナとの繋がりは何であったのであろうか?
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イルミナ どうでしたか、第一日目の収穫は?ミーターさん。顔から察するに、収穫あり、っていうところですね。
ミーター あったぞ、イルミナ。君のイヌ防御バリアのおかげでもある。見つけたよ、アンテンニン庭園の洞窟。洞窟の入り口を少し入ったところで、神社の鳥居のようなもうひとつ入り口があって、銀河聖語でさっきお前に訳してもらった「ロボット三原則」が上部と左右の柱に記されてあった。洞窟の奥の探索は、明日にする。
どうしても、あらかじめお前に確かめておきたいことが思いついたんでね。
イルミナ なんでしょう、探検隊長?
ミーター 何をいってるんだ。隊長だって、俺一人だけの探検だっていうのに!
『児童のための手引き書』、あるいは『児童のための知識の書』に出てくる、不死の従僕の先輩ロボットのことだよ。ジスカルド・レヴェントロフについてもう少しの情報がほしいと思った。そうでないと、心して襟を正して、何か自分の生存に不安を感じたものだから。教えてほしい予備知識を吸収してからないと自分のからだがもたないと感じた。
イルミナ また臆病風に吹かれたんですね。しょうがないですこと。ジスカルド・レヴェントロフは、おとぎ話に出てくるヒューマンタイプでないロボットですからね!
でも、なぜ?
エッ!
というのはその鳥居の奥にジスカルド・レヴェントロフがいるということですか?
まず、「ベイリー・ワールド」については、ミーターさんとコンポレロン星でハッキリしたわよね。コンポレロン星の初期の名前だっていうことですね。ずっと銀河中の商売を取り仕切ってきたと言われて来たわ。それが単なるおとぎ話でなかったんですから、そのジスカルド・レヴェントロフも実在のロボットだったと推測できるわ。「陽電子を光らせるジスカルド」っていうブルーブックもあるくらいよ。
今では、ロボットの世界があるって、ターミナスでは暗黙の了解になりつつあるわね。
ミーターさん、銀河復興の暁には、ロボットは自明の理になって大手をふって市民権を獲得できると思うわ。
それにしても、ミーターさんも陽電子頭脳だと思うんですけど、いつから、その機能がついたのかご存じでいらっしゃいますか?
今さら質問するのも失礼だと思いますけど。
ミーター えらいところにアタックだな!
実は俺さえも覚えてないんだ。オリンサスさんに作られた翻訳・通訳ロボットだったことは覚えている。それがアルカディアと銀河放浪やトランターにいた頃にはすっかりシャーロック・ホームズばりの推理能力を発揮するようになってた。
イルミナ まあ、謎多き翻訳・通訳ロボットだなんて、あり?
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