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ゲームの中のような街、バンクーバー (暮らすように過ごし?ながら思ったこと)

 年末年始、バンクーバーをメインに計10日ちょっとカナダに滞在していました。
 留学中の彼女を訪ねてのことだったので、彼女が授業中は手持無沙汰で街を当てもなく歩いたり走ったり、座ったり、観光というよりは比較的”暮らすように過ごす”的滞在だったと思います。
 その間バンクーバーという街について、またほぼ初めてだった海外旅行について思ったことを呟きたいと思います。

ゲームのような街、バンクーバー

 とにかく至る所どっちを見てもそのままカレンダーになるような美しい景色ばかりな訳ですが、決して歴史ある建物や石畳が続く街、ではなくがっつり現代的な都市なので、ファンタジーの舞台になるのとはちょっと違う印象です。
 例えるなら、物語の舞台のようと云うよりゲームの中のような街でした。
 中心部は高層ビルが立ち並ぶ繁華街、レンガ造りの風格ある建物もちょいちょいあり、少し歩くと半島の北西は緑豊かな公園ゾーン、西側は人々が憩うビーチゾーン、南側はヨットハーバー、北側はクルーズ船・コンテナ船の港に、水上飛行機の離発着場…。
 街を散策できるタイプの3Dゲームの舞台みたいじゃないですか?
 しかも今挙げた要素が割とコンパクトにぎゅっとまとまっていて、徒歩圏内で目まぐるしく眺めが変わっていきます。景色の美しさからして配置の絶妙さからして、変な表現ですが人の手が造り出したにしては完璧過ぎるんです。
 普通はもっと、街の真ん中を高速道路が突っ切っていて景観台無しとか、駅の位置が残念とか、砂浜までのアクセスが面倒とか、もう一声! と言いたくなる残念ポイントがあるもんじゃないですか。
 人が頭の中だけで妄想だけで造り出した、と考えたらすんなり納得がいくんです。

 滞在中一番のお気に入りは、中心部の駅から徒歩数分の所にあるカナダ・プレイスというクルーズ船の埠頭から、水上飛行機の離発着を眺めることでした(アクセス良すぎ)。
 訪れた時はちょうど、さっきまでぱらついていた雨が止み、対岸のノースバンクーバーに大きな虹がかかっていました。その手前を小型の水上飛行機が数分ごとに、夕陽を浴びながら離発着する様子はもはや現実感がなく、飽きもせず無限に眺めていられました。
 (ちなみに水上飛行機は、艇本体の下に二対の大きなフロートがある、「紅の豚」でいうカーチスが乗っていたタイプ)
 ちなみに現地でデジカメを紛失したので水上飛行機を含め写真はほぼ全滅、心のシャッター押した分しか残ってません。プライス面でもプライスレス面でも痛すぎる。

生き残りの写真。右下に水上飛行機、、

都市の姿のロールモデル?

 よく言われることと思いますが、移民や留学生が多く、英語が母国語じゃない人の割合が高いおかげか、英語をまともに扱えない人に対しても皆優しい、というか”英語ができない人”と接することに慣れ切って、完全に日常生活の一部になっている感がありました。
 少なくとも、ついでに行ったシアトル(バンクーバーから高速バス4時間くらいで着く)と比べても、バンクーバーの人は皆「あ、英語あかん奴や」とすぐに察してゆっくりめ易しめで話してくれて、まぁそれでも全然、聞き取れはしないんですが。

 街を歩いていても、白人が一番多いは多いもののアジア系、中東系、ラテン系らしき人もかなり多く、皆仲間内では母国語で喋るので、スペイン語や中国語やら思いの外日本語やら、あらゆる言語が飛び交っています。
 勿論バンクーバーこその諸々の問題もあるんでしょうが、「あらゆる人種の人がいて当たり前で、その国の母国語がまともに喋れなくても誰も気にしない」という多様性が進んだ、これからの都市のあるべき姿のロールモデルというか、未来の都市の姿を見たような気がしました。
 (日本がこうなるかというと難しそうですが)

 だからバンクーバーにいてアジア系だから浮くということは全くなかったんですが、一方でそれでも"自分が多数派ではないという"という意識は水面下にあり、心からは安らげなかったのも確かでした。
 普段日本にいて、”日本人か外国人か”で街の人をまっぷたつに分けて、その多数派としていかにふんぞり返っていたかというか、我が物顔していたかを思い知らされました。
 多数派に属していることの安心感というのは、良し悪しはさて置き、事実としてあります。

雨で石畳が良い感じだったギャスタウン

海外旅行×マラソンって相性悪すぎんか

 マラソンを趣味としてやっており、それなら一度はどこぞ海外でも出場したいと思っていたんですが。
 今回、慣れない、というかほぼ初めての海外(経験済は台湾のみ)だったのもあり、そのハードルの高さを改めて感じました。
 まず飛行機内での睡眠に失敗し、現地に着いてからもがっつり時差ボケで眠れず、ホテルのからっからの空気で喉を破壊され完全に風邪を引き、正直マラソンどころじゃありませんでした。
 海外旅行って最も体調を崩したくないイベントの一つなのに、最も体調を崩しやすいシチュエーションに置かれるのが海外旅行であるという事実。
 カナダ滞在中はホワイトホースという北極圏に近い町にオーロラも見に行ったのですが、風邪と自分とどっちが勝つか一進一退の戦いを繰り広げ、「果たして今日という一日を無事に終えられるのか…?」と楽しい筈のツアーは”果たすべきミッション”と化していました。

 「旅先で何もかもがうまくいったら、それは旅行じゃない」というのは村上春樹の名言(『ラオスにいったい何があるというんですか』より)ですが、体調不良と共に旅を始めるのも海外旅行の宿命なんでしょうか。
 観光を楽しむだけの海外旅行でこの有様なのに、体調を万全に整えてフルマラソンを走ることの難易度やいかに?
 コンビニにはおにぎりも大福も置いてないし。
 ばかでかくそ甘マフィンを食べて走る気にはなれんし…。

 マラソンに出るかはさて置き、とにかく次の海外時は健康第一、持っていける道具は全て持って行き施せる対策は全て施して、体調を崩さないことを何より重視したいです。
 旅先のハプニングはある意味旅の醍醐味かもしれませんが、健康面の不安感や緊張感はやはり”休暇を楽しむ”というところとは対極にあるものですね。
 二度と、現地で500円の日本製のど飴を三袋も買い込む羽目にならないように。

極北の映画館。「The Boy and the Heron」(君たちはどう生きるか)も上映してました


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