『脱轨』 中国ドラマ 鑑賞記録(2/2)
今回は前回に引き続きこちらの感想を。
第2話の時点で良作の香りが漂ってきていたのは間違いではなかった! 面白くて視聴止まらず、今年に入って一気に追い上げ数日で完走してしまいました。
マイナス要素がなくて心置きなくどっぷり浸れたドラマは久し振りで、視聴後は満足感でいっぱいに!
わたしのドラマ鑑賞史上、指折りのお気に入り作品になりました。
ミステリーなので極力ネタバレはしないように努めますが、どうしても少しは漏れてしまうと思います。 未視聴の方はお気を付けてお読みくださいね!
思い入れがあるので長くなり過ぎないように気を付けます(笑)
【パート1】はこちら
ではいきます!
物語は回想シーンで高校時代へ。
この辺りの萌え度は個人的最高レベル、高校生 祁连はどストライク!!
といきなりミーハー路線で始まってしまったがw 本記事は何故わたしがこんなにこのドラマを気に入ったのか?!という視点で書いていこうと思う。
キャラが最高
高校時代の 祁连は見た目カッコいいのはもちろん(学園ジャージも全然いける!)身体能力が高くて 江晓媛がいじめられそうになると、どこからともなくサッと現れアッという間にやっつけてくれる。
普段は用具室で寝っ転がっているが、喧嘩が強くて仲間からは 祁哥と頼りにされる存在。とにかくクールな男子なのだ。
江晓媛 も助けてくれるの分かっているから、それとなーく彼の側にいる。
といっても最初は二人の間に特別な感情はない。
一方、現在の 祁连は基本スーツやロングコートを着こなす若手実業家だ。
中盤以降は 江晓媛を支え、守るために全力を尽くす。でも彼女を心配させまいと、その過程で生じる苦悩や苦労は一切顔に出さず、優しく思いやり深く接する。
包容力の塊だ。まさにわたしの理想型!
タイムスリップで未来から来た 江晓媛は、いきなり放り込まれた状況に次第に馴染み、自分の才能や興味を開花させていく。とても辛い状況なのに、目標を見据えて弱音を吐かず、一生懸命に頑張る。
しかも自分が違うと思ったことは忖度なく主張し意志を貫く芯の強さと、敵対する相手の言葉にも耳を傾け受け入れる素直さも併せ持つ。
そんな精神的に自立していて、若いけれど大人な二人の恋にとても好感が持てた。
どちらも相手に依存しない。でもお互い想いは深く、常に相手のことを優先して行動する優しい関係性が、最高なのだ。
完璧ラブストーリー
最初は言い争いばかりだった二人の距離は徐々に縮まり、事件が起こる度に信頼関係を強くしていく。そのベースの上に描かれていく恋。成熟した大人の恋愛だ。
決して設定ありきではなく、無理のない自然な形で進展していくのだ。どちらか一方の強引な想いではなく、一歩一歩縮まっていく関係性。
その恋の「在り方」には深い納得感があり、心地よく物語に入り込める。
もう一つは、描き方がとても丁寧。
構成上この辺りでラブ要素を入れとくかー!的 ザツな挿入ではなく、前後の流れの中で自然に恋の進展が描写されていく。本当に感情移入しやすい演出だ。
演者の表現力の素晴らしさも大きく貢献しているだろう。
齟齬のないタイムスリップ
本作は2025年、2018年、2008年と大きく3つの年代に分かれるが、各タイムゾーンへの切り替えが見事で、説明がましくない。大変によく練られた脚本だ。
ネタバレ回避のため詳しくは書けないが、プロットはかなり複雑。予想外の展開だが、さすがは原作を元にした脚本。 よくこんなに込み入ったストーリーを考えられたものだと驚嘆しつつ観た。脚本のみならず、それを映像化できた撮影や演出も素晴らしかった!
その重層的なプロットは終盤で一つ一つ解き明かされていき、最後はほぼ全てがもれなく回収される完璧さ。複雑な背景をこれだけ説明できれば御の字であろう。
脚本以外も、演出、キャスト、演技、キャラクター、音楽、諸々全て整っていて、心から楽しめた。
キャストと演技
まずは主役二人。
刘浩存 は泣きの演技が文句なく素晴らしいが、それ以外の感情表現にも目を見張った。 完全に役に成り切っていて「役者が演じている」という感覚をこちらに全く与えない。ずば抜けた演技力の持ち主。 感情表現の緻密さや自然さが半端なくて、リアルに 江晓媛という可愛らしい女の子が実在するかのよう。
大学では舞踏が専門だけあって動きがしなやかだ。やはり踊れる俳優は表現の幅や奥行があり、強いと思う。
独特の無垢な風情や顔立ちの初々しさも、上手くお芝居に生きている。
林一も負けずにいい演技をしており、このドラマが成立しているのは彼がガッチリ画面をホールドしているお陰だとも思う。存在感とオーラが素晴らしい! しかし、よりアピール力の強いカット(泣き顔アップなど)が多い 刘浩存の前でやや霞んでしまっているのは致し方ないとはいえ少し惜しい。
彼もやはりダンスの素養が姿勢やアクション、服の着こなしに生かされていて、身長、スタイルや顔だけじゃない魅力が満載だ。
二人とも若いながら演技が達者ないい俳優で、大好きになってしまった!
演じた役柄も好きだ。
脇を固める面々も個性的でよかった。
特にヘアサロンのボス 陈方舟(王喳喳 演)は不憫な 江晓媛を何かと気にかけ思いやり深く接してくれるので、何度もありがとうと言いたい気持ちになった。
メイクのカリスマ 蒋博(黄圣池 演)は最初こそイヤな奴だったが、やはり同じく 江晓媛に優しく接するようになる。
祁连 宅に転がり込んできた後の恋のさや当てシーンが楽しかった。
その他 江晓媛のヘアサロンの友人たちやお祖母さんとの交流など、心温まる場面も多く、皆いいお芝居だったと思う。
おススメのまとめ
タイトルは直訳で「脱線」。
例え自分の人生が本来のルートから外れてしまったとしても、諦めずに努力し自信をもって粘り強く頑張れば、必ずあるべき軌道に戻ることができる、というメッセージが込められている。
二人の奮闘を通して、恋愛だけではなくもっと大きな視点で、ポジティブに生きることの大切さを教えてくれる清々しい作品だ。
本作は現在 中国の配信プラットフォーム 优酷(本国版/国際版)で視聴可能(一部要課金)。英語他の字幕は設定されているが日本語がない。
それが影響しているのか、国内で鑑賞している人はそう多くない印象。観た人の評価はわたしが目にした限り概ね良好。
キャスティングの好みか、恋愛ものへの拒否反応か、時間移動系ジャンルのハードルのせいか、めちゃくちゃいい作品だと自分が思っている割には、本国での評判もすごく高いとはいえない状況。
でも! しかし!
ここは強く推しておこう(笑)
本当に面白い。秀作だと思う!
観ればきっと納得して頂けると思うので、機会があればぜひ~~!
上陸にも期待したい。
鑑賞しながら、以前 原作を読むほど大好きだったクリステン・スチュワートの映画『トワイライト』を思い出しました。
ヒロインが日常的な環境でいきなり非日常的な状況に放り込まれるという設定、学園生活、大きめ男子と華奢な女子という二人の見た目、etc…の共通点。
このドラマをこんなに好きな理由が、少し分かったような気がしました。
2024年早々、心に残る、素敵で、最高で、大好きなドラマと出会うことができて幸せです。
2回に渡りお付き合いいただき、ありがとうございました!