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人の所属先を笑うな
みんなそれぞれ幸せに生きていたくない?わたしはそう。
JTCはスラングだ
JTC(Japanese Traditional Company)という言葉が世に出て久しい。直訳するとおり、日本の伝統的な企業やその体制を表す言葉である。
サンプル数は少ないし、わたしのXをご覧いただいている方々の意見のみなのでバイアスはかかるけれど、以前Xで投票いただいた結果がこちら。
"JTC" is
— Miya (@mmw_385) October 7, 2024
なぜこんな投票を行ったのか、の背景は以下。
わたしはいわゆるJTC出身者なのですが、JTCでの勤務経験がない方が、公の場で、JTCの方に向かって"JTC"っていうシーンに出くわして、ちょっと違和感をおぼえたのですよね。
— Miya (@mmw_385) October 7, 2024
この違和感はすごく古い価値観から来るものなのか、一般的なものなのかを確かめたくて、投票のご協力をいただきたいです。 https://t.co/OoMtgf9WUG
JTCをJTCと呼ぶのは、JTC出身/経験者のみに許されてはくれないだろうか。その頃(あるいは今)を思って、当事者たちにしかわかりえない、謝辞や愛ある悪口を言うときに使ってほしい。
JTCにはJTCの良さがある。JTCがあるからそこに立ち向かう企業が出てくるわけで、JTCを反面教師として新しい事業や風土ができあがるわけで。
揶揄したりせず、一定のリスペクトを持てるほうが前向きじゃないだろうか。JTCという言葉が用いられる場面は「だからJTCはダメだ」みたいな論調が多いので、よけいにそう思う。
わたしは、社会人としての素地・土台固めが大手のJTCでできたのは本当によかった。制度が整っており、必要な教育機会も望めば与えられる。社会人としてのビジネスマナーや上下関係、日系企業の仕事の進め方、社内政治についてもそれなりに体系的に学ぶことができた。
もちろん、合わないところ/相容れない価値観があったからJTCを卒業したわけだけれど、それでも今でも、とても感謝している。
スタートアップの痛み
スタートアップにはスタートアップの痛みがある。大手からスタートアップへの転職が増えているという記事もよく見かけるようになったけれど、そういう転職組は大抵、スタートアップの洗礼を受ける。言わずもがなわたしもそのひとりだ。正直しんどかった。今でもしんどいことは、たくさんある。
だから、「あの人スタートアップに転職したけど辞めたよね(出戻ったよね)、向かなかったのかな」「スタートアップを選んだんだから、それぐらい我慢しないと」みたいな、スタートアップにいたことのない外野が指をさすのは、遠慮していただきたい。そんなことは、本人が一番わかっている。
わかっていないなら引導を渡してもいいかもしれないが(それでも余計なお世話だと当事者は思う)、わかっている相手にトドメを刺さないでほしい。
(スタートアップに限らず、新しい世界に飛び込んでくるニューカマーとの接し方は、LAPRAS社のこの資料がとても有用だと思うので、未見の方はぜひ)
他方、スタートアップしか経験していない人たちは、本当にクリエイティブだ。たくさんのアイディアや突破口を思いつくし、保守派はうっかり「できない」と予防線を張ってしまうようなことも「できるようにするには?」「できたら未来はもっとよくなるのでは?」と思想でどんどん前に進む。このスタンス、めちゃくちゃ格好いいと思う。これは、JTCにいたらめちゃくちゃ怖くてできないし、やっていいとも言われない。
無邪気で、無謀で、向こう見ず。これが、スタートアップの個性で、魅力で、武器で、最大の弱点だ。
「大企業向けの話が聞きたかった」
最近、講師を務めたセミナーの参加者アンケートでこんな趣旨のことを書かれるようになった。ちょっと驚いたのは、この回答に出会うのが一度や二度ではないということだ。某EC企業(東証プライム)の法務部マネージャーとして登壇したセミナーで、そんなことをアンケートに書かれたことは一度もなかった。
きっと大企業にお勤めの方で、講師の肩書きを見て(それなりにその点を重視して)セミナーを受ける方なのだな、と想像する。わたしは100人いない会社の、まだまだ知名度のない、ひとり法務。その肩書きを見たら、そうなるよね、というのは理解できる。
でも、わたしは「中小企業向け」「IT業界向け」などとターゲットを限定されない限り、どの業界・企業の方にも一定の理解をいただけるセミナーを目指して準備をしている。質疑応答も、「スタートアップであれば〜、大企業だと〜」と分けて答えるケースもある(この努力が足りないと言われているのだとしたら、それは甘んじて受け止め、精進します)。
無頓着でも鈍感でもないタイプなのだが、それでもなおこのフィードバックを受けるのは、なぜだろう。満足してもらえるように、もう少し考えてみたい。突破口が見つけられた方は、そっと耳打ちしてください。
War is Overでありたい
JTCだろうがスタートアップだろうが、置かれた場所でみんな懸命に生きている。だから、どんな気持ちが湧き上がっているのかわからないけれど、共存共栄、お互いの立場を想像して、リスペクトできたら世界はもっと平和なんじゃないかな、というのが、今日の言いたかったことです。
本日の1曲。トナカイが世界中を駆け巡る夜に。