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トーストの記憶

ふるさと納税の返礼品のオーブントースターが届いた。いそいそと箱を開け、空焚きして、試運転。トーストがおいしく焼けることが売りの製品だったので、普段食べない食パンを買い、1枚網にのせ、取扱説明書の指示通りに焼いてみる。

綺麗な焼き目。何もつけずにひとくちかじると、なるほど確かに外はさくっと、中はもちっとした、お手本のようなトースト。パンの小麦の香りもいい。
バターを塗ってみる。おいしい。冷蔵庫にいたあまり物のハムをのせてかじったら、なんだか楽しくなってきた。オリーブオイルと塩も合うだろうな、目玉焼きやグリーンサラダも作りたくなるな、ああ、ちゃんと朝食をとらないと…

父のことを思い出した。使い込まれてぼろぼろになったトースターで、週末の朝につくってくれたのは、シナモントースト。ときどき、ピザトースト。学生時代喫茶店のキッチンでアルバイトをしていた父は、今でいうレトロ喫茶のメニューがたいていお店より上手につくれた。
子供の舌にはシナモンが苦くて、わたしのトーストは父のぶんよりシナモン少なめ・バターと砂糖が多め。ピザトーストも、大好きなチーズの下に苦手なピーマンが薄く切られて隠れていて、おいしいと感じるようになるには少し時間がかかった気がする。

父が生きていたら、たぶんおなじトースターを買って、実家に送りつけただろうと思う。プレゼントできるくらいには、娘も大人になりました。
シナモンを買ってこよう。トースターの音に新しい仲間の気配を感じ取った犬が、キッチンを訝しげにみつめている。


 本日の1曲。ホリデーにトーストの曲はないので、焼くつながりでクッキーの曲を。カントリーも温かい感じがして、冬にいい。

「クッキー」って打つと「cookie」って出てその次に電気通信うんたらって出るわたしのデバイスたち、日曜日くらい日曜日させてください。



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