学生トレーナーとは?
学生スタッフという関わり方
皆さんは「学生トレーナー」という存在を知っていますか?
大学スポーツといえばサッカーや野球、ラグビーなど様々な競技が行われています。
いわゆる体育会の選手は大学生全体の中ではわずか数%ですが、その後のスポーツ界で活躍している人たちも多くいます。
その中でもさらに少数ではありますが、大学スポーツの中で選手ではなく、
「学生スタッフ」
という形で活動している人たちがいます。
代表的な形だと、マネージャーが一番皆さんにとって親近感の湧くものではないでしょうか。
他にも広報のような役割、学生審判、分析、学生コーチ、学連など
それぞれの大学、それぞれの部活で様々な形で関わっている人達がいます。
そしてこの記事ではその中でも、特に
「学生トレーナー
についてみなさんに知っていただけたらと思います!
「今大学選びに悩んでいる、、」
「大学では選手ではなくて違った形でスポーツに関わりたい!」
「大学でトレーナーの勉強をしたいけど、実際わからなくて不安、、」
ぜひこのような学生(特に高校生!)のみなさんの参考になれば幸いです。
(もちろんその他の皆さんも何か少しでも感じてもらえればと思います!)
1:高校生の時の偶然の発見
僕は法政大学体育会サッカー部で学生トレーナーとして4年間活動してきました。
この出会いには本当にとても感謝しています。
しかしながら、大学サッカーの中でこのような活動をしているというのを見つけたのは本当に偶然でした。
高校生2年生当時の僕は、「大学でもサッカーを続けてプロを目指したい!」と本気で思っていました。
しかし、怪我に悩まされ思うようにプレーができず、そんな中チームに携わっていたアスレティックトレーナー(AT)の方にお世話になったのがすべてのきっかけです。
その方から色々なことを聞き、
「こういったスポーツへの関わり方もあるのか!」
と考え方が広がりました。
しかし、トレーナーといっても色んな選択肢がありました。
「え、どれがいいのかわからない、、」
理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、アスレチックトレーナー、(中には看護師も!)
他の領域に比べたら少ないかもですが、専門学校から大学まで本当に様々な選択肢がありました。
その中で色々と知らべていったところ、
「プロサッカー界で働いていきたいならATが必須!」
というような記事を見て、自分自身サッカー界で働いていきたいという思いが強かったので、
「よし、じゃATとれるところ受けよう!」と短絡的ですが意外とあっさりきまりました(笑)
しかし、いざ実際に調べてみると、大学志望だった僕は絶望しました
「え、国公立でとれるところないやん、、」
両親とは国公立を目指すということで話していたので、これはまずいぞと思いました。もちろん専門学校という選択肢もありましたが、当時の僕はいろんなことを考えて大学には進学したいという気持ちは強かったです。
(今ではこの選択が良い方向に転んでいます!)
まずは私立に進学したいということを両親に納得してもらわなければいけないので、
「できるだけ良い大学行けばまだなんとか安心してもらえるはず!」
と可能な限り高い大学でATが取れるスポーツ系の学部を選んで、なんとか親との格闘のすえ許可をもらいました(笑)
そして関東圏内でATが取得できる大学を探していると、選択肢に入ってきた大学のサッカー部の多くに、
「学生トレーナー」
として在籍している学生がおり、
そのときはじめて学生でトレーナーをやっている人達の存在を知りました。
そこから、実際に学生トレーナーってどういうものなんだろうと思って、そのような活動をしている人たちを調べましたが、
「具体的な情報がなさすぎる、、、」
なんか良い情報はないだろうかと思ったときに、唯一の情報源が note記事での部員ブログ でした。いくつかの大学でこのような活動をしていたのを見て、なんとか情報を得ることができました。
このブログは「学生トレーナーをやってみたい!」という思いを持つきっかけとなっただけではなく、受験のモチベーションになりました。
そして、紆余曲折を経て結果的に法政大学スポーツ健康学部に進学することが決まりました。
2:いざ、大学サッカーの世界へ!
大学の進学が決まってすぐに、SNSでサッカー部の学生スタッフ募集が出ているのを見てすぐに応募しました。
そして、入学から約1か月後初めて見学に行った際に、まず感じたのは
大学サッカーのレベルの高さ です。
自分自身、高校でも県内でそれなりのレベルでサッカーをしていましたが、比にならないぐらいの高さで、、
後から在籍選手の話を詳しく聞くと、
名だたる高校やJクラブのユースチームの主軸だった選手、世代別代表を経験しているような選手たちばかり
「レベル違うわ、、、」
衝撃的なインパクトを持つと同時に、この高いレベルの環境でやってみたいと率直に思いました。
そこから、体験入部が始まりました。
最初は選手の名前を覚えたり、仕事を覚えたりで精一杯、、、
トレーナーとしての仕事もあまりなく、きつい時期もありました。
けど、「最初から簡単なことなんてない!」となんとか頑張りました。
この当時(1年生)はマネージャーのような仕事も多く、
「何でこんな仕ばかりやってるんだろう、、」
と思うこともありました。
(マネージャーのみなさん、ごめんなさい(笑))
しかし、今だから客観的に見て思うのは、
マネージャーなめんなよ
っていうのと、(笑)
一見すると何にもつながっていないような仕事をどれだけ重要だと思ってやれるか
ということです。
例えば、
練習中のボール拾い、選手のボトル作りなど
一見すると地味な作業ですが、見方を変えると、、
ボールが散らばっている
➡選手の怪我につながるかも
ボトルの水がなくて飲めない
➡脱水のリスクになるかも
結局はトレーナーの仕事も地味なことの積み重ねです。
こういったマインドができたのも、いろんな仕事を経験させてもらえたからだと思います。
3:本格的にトレーナーの仕事がスタート
2年目になり、トレーナーの仕事も徐々に増えていき、
「よし、やってやるぞ!」
と意気込んでいましたが、、
現実は厳しく、自分自身の知識と経験のなさに絶望しました。
そりゃ今思えば当たり前です(笑)
そこから、もう一つギアを挙げてとにかくインプット、アウトプットを繰り返す日々が続きました。
トレーナーの方に質問をしたり、自分で勉強をしながら、テーピング、ウォーミングアップ、選手のケアなど一つ一ついただいている仕事をどうすればより良いものにできるか試行錯誤を繰り返しました。
もちろん知識や経験では到底、職としてトレーナーをしている方々には敵いません。
しかし、活動していく中で学生トレーナーならではだなと感じたのは、
選手との距離の近さ です。
これは大きな強みであると同時に、弱点でもあると思っています。
選手との距離が近いからこそ、本当に選手が思っていることを聞くことができるし、アプローチの仕方も変えていくことができる。
これは大人のトレーナーの方がフルタイムで帯同できない環境ではかなりプラスになると思います。
しかし、裏を返せば過度に選手との距離が近くなってしまうことで仕事としては悪影響になってしまう可能性があるということです。
特定の選手と仲良くしたり、選手の要望をすべて飲んでしまったりなど、
学生トレーナーではありますが、飽くまでスタッフであり選手との一定の距離感を保つことは大事だと思います。
(この点は学生トレーナーとして今後活動してみたいと思っている人たちには覚えておいてほしいな)
また、2年目、3年目とトレーナーとして仕事が増えていく中で、様々な大人のスタッフとのコミュニケーションを取る機会が増えていきました。
監督、コーチ、トレーナー、ドクターなど
これが今考えても本当にありがたい機会をいただいたなと感じています。
実際に社会に出ても必ず、避けて通れないのが
色んな人たちとのコミュニケーション です。
チーム(組織)が上手く機能していく上でコミュニケーションの齟齬は明らかな弊害になります。
これで僕もとても苦労しました、、
僕自身そこまで人と話すのが得意な方ではなく、めっちゃ怒られました(笑)
声の大きさ、言葉遣い、報連相の徹底、伝え方 など
いろんなエラーを経験したからこそ、様々なことを得ることができました。
日本の大学スポーツは全国的にそこまで整備が進んでいないのが現状です。
(中には整っている部活や大学もありますが、大半は万全とはいえないはずです。)
このような環境は改善されるべきではありますが、万全ではなかったからこそ学生という立場ながら様々な経験をすることで、実際に現場でのどのようなことが求められているのかを知ることができたのかなとも思います。
4:4年目の集大成
4年目になり、様々な形の集大成。
一年間突っ走ってきて、今改めて思うのはこの4年間の中で何度も感じることがあったことと結局は同じことでした。
それは、
1人で全て完璧にやろうとするには限界がある
ということです。
いや、当たり前だろと思うかもしれませんが、これが中々現実的には難しい、、、
実際にスポーツ現場で働いている人には、様々な形で携わっている方々がいます。
トレーナー1人でメディカル~S&Cの役割まですべてこなさなければいけない現場だったり、
逆にメディカルスタッフの中でも役割がしっかりと別れており、S&Cは別でしっかりと存在し住み分けがはっきりとされていたり、
もちろん様々な事情がチームそれぞれあると思うので、一概に何が正しいとか、間違っているとか言えるわけではないことはわかっています。
しかし、選手を中心に考えたときに、
様々な専門家がそれぞれ単独ではなく協力してサポートできる体制
が整えられれば、選手のサポートの質そのものが上がるし、ひいては選手が一人のアスリートとして自立するための正しい知識が身に着けられると思っています。
色々な事を経験しましたが、結局4年間通して最後に感じたことは、トレーナーになりたいと思い始めたときに感じていたことと同じでした。
どの世代、カテゴリーにおいても多職種連携でのアスリートサポートが当たり前の環境
これが実現すれば日本のスポーツ界の大きな進歩なのかなと思います。
口で言うのは簡単なことかもしれませんが、、
実際様々な形でこれを実現しようと動いている偉大な方々が複数います。
(国立スポーツ科学センターがトータルコンディショニングを強く打ち出しているのがもうそういうことだと思ってます!)
僕自身もこのような形の実現に少しでも貢献できればと思っています!
5:そもそもなぜこの記事を書いたか
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございます。
大分まとまりのない文章にはなってしまいましたが、そもそもこれを書こうと思った理由は2つあります。
1つ目はさきほども書いたように、
実際に学生トレーナーがどのような活動をしているのかを知れる機会自体が少ないということです。
もちろんこれは僕の一経験ですし、すべてをお伝えできる訳ではありませんが、ないよりは絶対あった方が良い!と思って書いてます(笑)
そんな学生トレーナーとして活動してみたいと思っている人たちや今やっている人たちに言いたいのは、
色んな選択肢を考えた上でこの選択をしてほしい
ということです。
学生トレーナーという選択は、実際の現場での経験値という点ではとても大きなメリットだと思います。そして、選択する大学や部活次第では本当にトップクラスのアスリートとともに活動できる素晴らしい環境だと思います。
ただ他の方法で将来トレーナーを目指す方法はいくらでもあります。
・大学4年間は選手としてプレーしてからトレーナーを目指す。
➡選手として高いレベルでプレーした経験が活きる。
・医療系の資格(PT、鍼灸など)を取れる大学や専門学校
➡医療資格を持っていることは大きなメリット
・大学や専門では少し違うスポーツ分野や他の分野も学ぶ
➡後々トレーナーとして働く際に、その経験値が人との差別化につながる
これは僕が大学に入ってから色んな人のお話を聞く中で、こういう選択肢もあったのかなと思った一例です。
今思えば、大学院でATが取れるところや鍼灸とATのダブルライセンスがとれるところもあったよなと思ったり、、(笑)
ただ僕は大学で学生トレーナーとして活動できてよかったと心から思っていますし、後悔はしていません。
これから学生トレーナーをしてみたいと考えている人は、客観的に色んな選択肢を見たうえで選択してほしいなと思います!
2つ目が完全に個人的な理由なのですが、
情報を発信していくことの重要性を感じる機会がこの4年間でとても多かったということです。
中々難しいことですし、正直自分もあまりSNSとかが得意な方ではないので、何かなーと思うこともありあまり積極的には活用できていませんでした。しかし、時代が進んだ現代だからこそ使えるこのツールを使わない手はないのかなと思います。
実際、XやInstagramなどを中心に情報発信をしているトレーナーやS&Cコーチの方がたくさんいます。そこから新たな発見があったり、新しいつながりができたりなど、メリットがたくさんあったなと思います。
僕もXやInstagramなど色々やってみようと思いましたが、中々進まず、、、
けれど、文章を書くこと自体は好きなので、今note使ってとりあえず1本書いてみよう!ということでようやくやっています(笑)
6:結局何事も考えているだけでは始まらない
最後の最後に話が大分長くなってしまっていましたが、、
結局一番言いたいことは、
行動を起こせよ!
ってことです。
トレーナーについて調べたからATの存在を知ったし、
サッカー部の学生スタッフに応募したから今の経験があるし、
色んな人に会いに行ったから生まれたつながりや選択肢があるし、
情報発信は得意じゃないけれど書いてみようと思ったからこの記事がある。
僕自身何度も、何度もうじうじ考えているときもありましたが、結局自分でどれだけ考えたって解決できる範囲には限界があります。
もちろん考えることが必要ないわけではありませんが、結局は行動を起こし続けることでしか、視界は開けてこないのかなと、、、
中には、
「自分は内向型だから、、」
「あまり人と話すのが得意じゃないから、、」
って人もたくさんいると思います。
けど、そんなことは関係ないのかなと思います。
僕も10~20冊くらいそういう本読んで、めっちゃ内向型だと確信がもてるがくらいではありますが(笑)
それだったら、自分にあったやり方から始めてみればいいと思うんです。
直接話すのが苦手ならまずは、まずはSNSで個人で思いきって博打で連絡してみるとか、自分が話す側にならないようなセミナーを聞きにいってみるとか、、何でもいいと思います。
とにかくアクションあるのみです!
最後に
最後にアメリカの哲学者・心理学者のウィリアム・ジェームズ氏の言葉を残して終わろうと思います。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」
思い立って、動けば、何かが変わるはずです。
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました!
また、4年間お世話になったサッカー部のスタッフの方々、学生スタッフ、選手のみなさんには本当に感謝しています。
来年は大学院に進学し、再び地元の茨城から再スタート、頑張ります。
(そこに関してはまた後程どこかで詳しく書ければと、、)