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どうやったら管理職になれますか? ~肩書か、処遇か、役割か~

 先日、ある人(Aさんとします)から「単刀直入に聞きますが、どうやったら私は管理職になれますか?」と聞かれました。私はAさんの働きぶりに見るべきところがあることを承知していたので、少し考えて、「管理職になりたいことを会社に分かるように言い続けるしかないと思いますよ。」と応じました。

Aさんの話を詳しく聴いていると、今難しいプロジェクトを手掛けていて、関連会社の役員クラス、部長クラスを相手に合意形成をしたり、その関連会社の社員さんをインストラクターに育て、プロジェクトの目的達成に向けた環境づくりを進めているところ、Aさんが一般職の立場でそれをやっているのがどうにもしんどい、ということでした。お金(処遇)の話ではなくて、仕事を円滑に進めるために役割に応じた肩書を付けてほしい、といったところです。

私は、なるほどなあ、と思いました。どうやら、支援先とのコミュニケーションは取れているようですが、この先の、関連会社の中でより多くの人とかかわりを持とうとするときに、「この人誰?」みたいに扱われることのロスやリスクを避けたいのだな、と。確かに、「○○です。よろしくお願いします。」という場合と、「**プロジェクトを統括します、@@室・室長の○○です。よろしくお願いします。」という場合だと、相手も見方が違うのでしょうね。肩書が付いていた方が、「ああ、ちゃんとした人が来てくれたんだな。」という第一印象を持ってもらう効果は確かにあるでしょう。

肩書なら、名前だけでも創ってしまったらよいのでは?とも考えてしまいましたが(例えば、チーフディレクター、とか、エグゼクティブプラクティショナー、とか、言ったもん勝ちなもの)、話を聴いていると本人にとってはそうではないのですね。そういうことではなくて、会社としてきちんと正統的な役割期待と責任ある肩書を付与してくれることで、よりよい仕事への動機を醸成するとともに、肩書に恥ない自負心を持って仕事に従事できる、ということのようです。

Aさんは、処遇についての話として誤解してほしくないということを何度も強調していましたので、本当に自分のプロジェクトを円滑に進めて、目的を達成したい思いが強いのでしょう。Aさんは日々自分が分からないことを進んで学び、自分の意見を慎重に構築し、周囲と調整し、支援先に分かってもらおうとする行動をしっかりとやっているように見受けられます。そこまでできるのなら、肩書は特に必要ないのでは?という見方もできますが、何もなしでシビアな環境に放り込むというのも些か愛がないようにも思えます。

複線型人事を布いて十分機能している組織なら管理職ではなく専門職として名乗り活躍する道も考えられますが、今回の組織ではそれがありません。何かしら役付きになるには管理職しか道がないので、管理職=肩書ということになります。そのような会社は案外多いのではないでしょうか。

褒美としての肩書か、質の高い仕事を遂行するための肩書か、と問うたとしたら、私は断然、後者の方が本人のためにも組織のためにも健全だと考えます。私は、肩書を前者の価値観で捉えている人をこれまで大勢見てきました。「**年頑張ったからそろそろ昇格してもいい頃だ。」「あいつはもう部長なのに、何で同期の自分は課長なんだ。」「上がつかえていて、全然上がれないよ。」「こんな給料じゃやってけないよ。」などなど。ほぼほぼ自分に矢印を向けての役割意識はどこへやらで、与えられる肩書と処遇についての声ばかりです。それが悪いとまでは言いません。これも会社が社員にそのような学習をさせてしまっている現実を反映しているのですから。

ですので、今回「単刀直入に聞きますが、どうやったら私は管理職になれますか?」と聞くAさんは、仕事の成果に集中していますので、ずいぶん高潔な人に感じてしまうのです。どうか、Aさんが会社の目に留まるような仕事を成し遂げ、会社の目に留まるように声をしっかり出すことで(大半の社員が普通に仕事をしている会社の場合、埋もれてしまわないためにもこれが結構大事なことだと思うのです)、希望が叶うことを祈ります。

誰か見ていてくれる人がいることは、会社のような組織で生きていくためにはとても重要なことです。人は社会的な存在ですから、その全存在を認めてもらうことで、自分が何者であるか分かります。そして、自分の使命や役割について、理解しコミットするからこそ、しかるべき道を自分の足で進んでゆけるのでしょう。今回のような話を、折あらば話せる環境、話しやすい環境をつくっておくことが組織にとって大事なことと思う出来事でした。

今回は「どうやったら管理職になれますか?」についてお話しました。私は2023年9月からライフキャリアデザインカウンセラーを名乗り、個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いをしようと決意し、今の会社での仕事を続けながら複業をすることにしました。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげようと考えています。

私は来談者の方に今回お話ししたような支援でお役に立つことを使命とするライフキャリアデザインカウンセラーでありたいと思っています。ご関心を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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