見出し画像

管見談 チャットGPTで現代語訳 ②公儀-6


11.優れた指導者が他者の意見を広く受け入れる重要性

原文

 一、戦国策曰、大山は不譲土壌故能成其大河海不択細流故能就其深凡大任の御人ハ能物を容給ふにあらされは大事を為し給ふ事難き也、
 中庸ニ曰、舜其大知也、虞舜好問而好察爾言帝舜大聖として自ら用す、凡愚の浅近の言迄味ひ天下の知慮を集て用ひ給ひし故、大知と替らせられしなり、
 書ニ曰予視天下愚夫愚婦能勝我人ハ万物の霊長たる故、愚夫愚婦と雖必一ツの得手なる筋は有者也、愚なりとして不顧は智者の為ざる処也、
 又曰、好問則裕自用則小、
 晏子曰、下無言則謂之喑上無聞則謂之聾喑聾非害国家如何也、夫治天下者非用一士之言也、固有受而不用悪有距而不入也、
 広く臣民の異見を問せ給ひ、天下の公道を以正しき政を行れん事伏して願う所なり

現代語訳

 一、『戦国策』に曰く、「大山は土壌を譲らないからこそ、その大きさを保つことができる。河や海は小さな流れを拒まないからこそ、その深さを成し遂げることができる」。つまり、重要な役職にある人は、他者の意見を広く受け入れることができなければ、大きな事業を成し遂げることは難しいのです。
 『中庸』には、「舜は大いなる知恵を持っていた。虞舜は良く質問をし、浅い意見までよく調べた」とあります。舜帝は聖なる存在であり、自分の知恵だけに頼らず、愚か者のように見える者の意見までも取り入れて天下の知恵を集め、それを用いたため、偉大な知者となったのです。
 『書経』には、「私は天下の愚夫愚婦(愚かな者たち)を見るが、彼らでさえ私を凌駕する力を持つことがある」とあります。人は万物の霊長であるため、たとえ愚夫愚婦であっても、必ず何か一つは得意な分野を持っているものです。彼らを愚かだとして無視するのは、知者のすることではありません。
 また、「よく質問する者は余裕があり、自分の意見に固執する者は小さい」ともあります。
 晏子(あんし)は言いました。「下に言う者がいなければ、それは盲目と同じである。上に聞く者がいなければ、それは耳が聞こえないのと同じである。盲目と聾者では国家を害することになるだろう。天下を治める者は、一人の士(有能な者)の言葉だけを用いるわけではない。受け入れて使わないことがあるかもしれないが、拒んで聞かないことがあってはならない」と。 
 広く臣民の異なる意見を問いただし、天下の公道に基づいて正しい政治を行っていただきたいと切に願うものであります。

12.謙虚さと意思決定における慎重さ、そして人の意見を大切にする姿勢

原文

 一、寛永年中、土井公官事を決するに当らすと云事なし、
 或人其明なるを賞す、土井公曰、我明なるにあらす術也、会評毎に衆人の了簡を聞て、吾是を斟酌して用ゆ故に、幸にして過寡きなり、
 器量ある人ハ自然ニ道に叶事ある也、土井公ハ高名の老中也

現代語訳

 一、寛永年間の土井公は、幕府の事務を決定する際に、自分一人で判断することがありませんでした。
 ある人が土井公の判断力を称賛した際、土井公は「私は賢明なのではなく、ただ方法を取っているだけです。会議で他の人の意見を聞き、それを慎重に考えて判断しているので、結果として誤りが少ないのです」と答えました。
 このように、器量(人物の能力)ある者は、自然と正しい道に従うものです。土井公は高名な老中として知られています。

13.人材が不足しているという現状

原文

 一、当世は人なしと云勿体なき事也、天の愍民甚し、人物貨財ハ人民を扶持する為に天より与へ給ふ処也、
 米沢小国なりといへとも米穀足り草木美也、豈人のミ欠んや、
 世不絶聖国不絶賢と云り、人才の有無ハ政教の善悪に依る所なるへし


現代語訳

 一、現代では「人材がいない」と言われることがありますが、それは非常にもったいないことです。天は人々を非常に慈しんでおり、人材や財産は、人々を支えるために天から与えられているのです。
 たとえ米沢が小国であっても、米は豊富に実り、自然も豊かです。どうして人材が不足するなどということがあるでしょうか。
 「聖人や賢者が絶えることはない」と言われているように、人材の有無は、政治や教育のあり方に依存しているのです。


いいなと思ったら応援しよう!