お金をかけずに採用サイトを作ったけど、めちゃくちゃ効果があった話
採用サイトを作るのにはお金がかかると思われていたりします。
お金をかけてカッコいいサイトを作らないと、いい人が来てくれないのではないか?
でも、そんなことはないんです!
お金をかけなくてもきちんと充実したものを作れば、すごく効果があります。なんなら、たっぷりお金をかけて作った見栄えのいいサイトよりも効果が出るんです。
コストをかけなくても採用力は上げられる
特にシード期の会社や2〜3人ほどの小さな会社にとって、採用というのは言うまでもなく重要です。でも「お金がかかるから……」という理由で採用サイトを作ってなかったりする。
これはもったいない……!
実際、うちも採用サイトにお金はかけていません。
それでも、
・応募が増えた
・ミスマッチが減った
・信頼度が上がった
・内定承諾率が上がった
・離職率が下がった
など効果はめちゃくちゃありました!
もちろん時間や労力はかかっているので厳密にはコストゼロとは言えないかもしれませんが、自分たちで作ることでお金をかけずにめちゃくちゃ効果の出るサイトが作れたんです。
今回は僕らがどうやってお金をかけずに採用サイトを作ったのかお伝えしたいと思います。
ツールは更新しやすいNotionで
まずツールですが、僕らは「Notion」で作りました。
Notionのいいところは、エンジニアやデザイナーがいなくても更新がしやすいところです。
実は採用サイトで大切なのは「更新性」だと思っています。
先日、採用広報に詳しいある方から聞いた話によると「転職するときに候補者が参考にするのは1年以内の情報である」と答えた人が7割以上いたそうです。
お金をかけてカッコいい採用サイトを作っても、初年度はいいのですが、だんだん更新するのが大変になってきます。いちいち制作会社に「ここの文言を変えたいんで……」とやっていると手間もコストもかかって大変です。
更新されずに古くなっているサイトをよく見かけますが、それだと安心して応募できません。
いくら立派なサイトでも古いと意味がない。Notionなら、すぐに差し替えや付け足しができる。サクッと誰でも更新できるのでオススメです。
リアルさも重要
もうひとつ大切なのは「リアルさ」です。
すごくカッコいい採用サイトにしてしまうと「よく見せてるのかな?」と疑われてしまいがちです。
その点、Notionだと「綺麗に整えている感」がありすぎず、適度な手作り感も出る。だからこそ、本当だと思ってもらいやすい。生っぽさがあるから「きっとこのサイトのまんまなんだろうな」と思ってもらえる。
当初からその効果を狙っていたわけではないのですが、結果的にメッセージが伝わりやすくなったなと思います。
求職者側が求めているのは「カッコよくブランディングされたページ」というよりも「必要な情報」です。
どれだけサイトがカッコよかったとしても「給料はどうなってるんだろう?」「評価制度はどうなっているんだろう?」という部分が書かれていないと不安になる。
採用サイトはデザインにこだわってすごくキレイにしなくてもいい。逆に言うと、必要な情報さえあればNotionでもなんでもいいと思っています。
「候補者が欲しい情報ってなんだろう?」
さて、肝心のコンテンツをどうするかの話をします。
まず僕らはとにかく「候補者が欲しがっている情報」を網羅していこうと考えました。
ちなみに情報を整理するために使ったのが「Miro(ミロ)」というツールです。「候補者が欲しい情報」と真ん中に書いて、ブレストしながらマインドマップを作っていきました。
候補者が欲しい情報が見えてきたら、そのために「どんなコンテンツを出すといいのか?」を考えて以下のように整理していきます。
「働き方だったら、リモートワークとかフレックス制について説明するコンテンツがあるといいよね」「会社の雰囲気を伝えるには社員のインタビュー動画があるといいよね」という感じです。
「ここさえ見れば全部わかる」状態を目指す
コンテンツが決まったら、どんどんNotionのページを作っていきます。
ポイントは「ここさえ見れば会社のことは全部わかる」というくらいに充実させること。
うちのNotionは見出し自体も多いですが、そこからより深く知りたい人はどんどん深掘れるようになっています。
まずはトップページで「このページを見れば、こんな情報が取れる」とパッと見てわかるようにしておいて、さらに欲しい情報に飛べるようにしているんです。
対象者ごとに違うコンテンツを用意する
対象者ごとに違うコンテンツを用意する、というのもポイントです。
たとえばうちは金融経験者と未経験の人どちらも採用しています。でも、双方に同じコンテンツを見せてもどっちつかずになってしまう。
そこで対象者ごとに異なるコンテンツを用意しています。
金融経験者からすると僕らみたいなスタートアップはどうしても不安です。そういう方たち向けには「僕らはきっちりと足元固めてやっていますよ」ということがわかるコンテンツを作る。
一方で金融に馴染みのない人にとっては「金融というだけでとっつきにくい」と思われてしまいます。そこでそういう人たち向けには「金融を扱っていても社風は思ったよりカジュアルですよ」ということを伝える。会社の雰囲気を伝える。
つまり、ひとつのコンテンツで2つのポイントを伝えるのではなく、対象者によって違うコンテンツを用意するわけです。
読む順番が決まっているサイトではこういったことができません。自由に見て回れるNotionだから欲しい情報を自分で探しに行ってもらえる。
「とにかく会社の情報を置いておくので、気になるところを好きに見ていってね!」という意識で作るといいと思います。
タブーになりがちな「お金」のこともガラス張りに
あとは「お金」のことをちゃんと書くことも重視しています。
「給料はいくらなのか?」「どのように評価されるのか?」
ここは、あらゆる採用サイトの中でもかなり充実している方だと思います。かなりオープンにしている。
評価制度に関しても、こんな感じで細かく公開しています。
「ぶっちゃけお金ってどうなんですか?」というのは、採用候補者は聞きたくても聞きづらいもの。だから、こちらから率先してオープンにする必要があるんです。
給与や評価制度をブラックボックスにして選考を進めていっても、最終的にお伝えしたときに「やっぱり辞退します」となってしまうかもしれません。
採用コストや工数も含めて、事前に公開しておくのは会社側にとってもいろんな副次効果がある。お金のこともどんどん開示して、安心して入ってもらいたいと思っています。
ストックオプションを渡す割合も公開
ストックオプション(SO)についてもオープンにしています。
僕らはSOの決定プロセスや配布シミュレーションまで載せています。そこまでやっている会社は他にあんまりない気がします。
「ここまで出しちゃっていいの?」と言われることもありますが、「オープンにできるものはどんどん出そう」というスタンスです。
特に僕らはいま力のある中堅の方に来てもらいたいと思っています。そういう方たちは「SOってどうなってんの?」と気になるはずです。だから僕らはきちんとオープンにしているわけです。
あとは福利厚生についても網羅しています。
たとえば入社から1ヶ月間は回数制限なく社内メンバーとのランチ代を会社が補助する制度があったり、運動不足にならないようにイベントに補助金を出す制度があったりもします。
僕らはそのときの会社のコンディション、社員の関心ごとや目指すべき方向などを踏まえて「どんな福利厚生が適切なのか?」を考えています。それらを網羅して載せておくことも意識しています。
会社側はつい「会社について知ってもらっている」前提で求職者とコミュニケーションしてしまいがちです。だけど求職者の人からしたら「よくわかんないな」というなかで意思決定をしなきゃいけない。これって酷なことだと思うんです。
そこの情報格差をなるべく「0」に近づけたい。
特に人事制度や報酬制度は会社を選ぶときのすごく重要な要素のひとつ。そこがしっかり公開されているかどうかは会社選びのすごく重要なポイントになるんじゃないかと思っています。
雰囲気を伝えるなら「動画」が最強
会社の雰囲気を伝えるのはやっぱり「動画」が効果的です。
採用サイトを作る前は「中で働いている人の顔が見えない」とよく言われていました。「ならば、どんどん顔を出していこう」ということで動画を制作してアップしていきました。
結果的にこれがすごくよかったんです。雰囲気をわかってもらうには、やっぱり「動画」だなと思います。
うちは、面接に来てもらうと「いい人が多いですね」とよく言ってもらえます。それなのに、これまでその「人」を見てもらう機会がなかった。なので動画を作ってどんどん「人」を出しているんです。
社風というのは、外からは見えづらいもの。どういう人柄の社員がいるのかもわかりません。だから、入社前に動画で知ってもらう。これくらい空気感が伝わっていると安心して入ってもらえるんじゃないかなと思っています。
サイトはつねに新鮮に! 定期的に見直そう!
冒頭でも言いましたが、採用サイトは「新鮮さ」が肝です。
なので、定期的に更新し続けることが重要です。
うちではサイトを見直すタイミングを最低でも「四半期に一度」と決めています。そうしないと面接や他の業務に時間を取られて、ついつい後手に回ってしまうからです。
見直すタイミングと時間を「先に」確保する。これがポイントです。
採用サイト作りは社員全員で
もうひとつ大切なことをお伝えします。
それは採用サイトを社員全員で作るということです。
厳密には、手を動かすのは人事の人が中心になるかもしれませんが、意識としては「全員で作る」ことが重要です。
採用サイトの制作には、現場や事業部サイドの「生の情報」が必要になります。そこで協力体制ができていないと、スムーズに回っていきません。ついつい目の前の仕事が忙しくて後回しになるかもしれない。
採用サイトは人事部だけの仕事ではありません。
社員全員が協力して作っていくことが重要なんです。手前味噌にはなりますが、うちの会社はみんなが会社のことを「自分ごと」として捉え、どんどん他部署も巻き込みながら協力する社風が根付いています。だから、うまくいっているのだと思います。
採用サイトは「会社の資産」になる
僕らの会社はもともと「何をやってる会社かわからない」とか「スカウトメールが来て初めて認識した」とよく言われていました。
金融業界ということでとっつきにくいイメージもありました。「金融ならいいです」と断られることもありました。
だけど、実際に入社してもらえると「制度が整っていて働きやすい!」とか「バリューが浸透してて雰囲気がいい!」と言ってもらえます。
「この会社の良さをもっと事前に求職者の方に伝えたい!」
その思いで採用サイトを充実させてきました。すると、思った以上にいろんな効果があったんです。
最後にその効果について簡単にご紹介します。
①シンプルに応募が増えた
まずエージェント経由ではなく、自己応募してくださる方が増えました。インスタ経由で応募してくださった方は「採用サイトの動画を拝見したら、みなさんがとても生き生きとされていて、とても働きやすい職場なんだろうなと興味を持ちました」と言ってくれました。
②ミスマッチが減った
スカウトメールを送るときに採用サイトのURLも送るようにしてから、ミスマッチが減りました。事前に僕らのことを知ってもらって「いいな」と思った方が面接に来てくれるようになったからです。
③「本気で採用をやっている」と信頼してもらえた
候補者の方から「ここまでサイトを作ってるってことは、採用に力を入れている会社なんだなと思いました」と言われたことがあります。採用サイトを充実させていること自体がメタ的なメッセージになっていた。「社員を大切にする社風です」と口だけで言うよりも「採用サイトをがんばって作っている」という事実があることで信頼性が増しました。
④内定承諾率が高くなった
いま僕らの内定承諾率は8割以上です。すべて採用サイトのおかげかはわかりませんが、社員約80名の規模感のわりには承諾率は高いように思います。
⑤離職率が下がった
この1年で社員が50人から80人規模まで増えたのですが、離職率が下がったのも効果としてあるように思います。入社前と後でギャップが少ないから、みんな活躍できて居心地がいいのかもしれません。
採用サイトを充実させた結果、いろんな効果が出てきた。しかも、これがコストをかけずにできるわけです。やると決めて時間をかければ、誰でもできる。採用サイトにコストを投下するのはめちゃくちゃ費用対効果がいいと思っています。
力を入れて作った採用サイトは「資産」にもなります。
エージェントや採用プラットフォームに登録するのも大切ですが、その前にまず無料でできるところまでやってみる。採用サイトを充実させてマイナスなことはひとつもないはずです。ぜひ作ってみてください!
★★★
ファンズは積極採用中です!ぜひのぞいてみてください!