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【保存版】本当に成果の出るKPI設計(後編・戦略編)

はじめに:なぜ「KPI設計=戦略の設計」なのか?

前編のおさらい:KPIを“行動指標”として見る


前編では、「KPIは売上や利益といった“ゴール”ではなく、そこに至るための具体的な“行動”を数値化した指標にすべき」という話をしました。さらにKPIは1~3つに厳選して、組織がどの行動に力を入れるべきかをハッキリさせることで、成果につなげやすくなるというポイントも紹介しました。

今回はその延長として、「KPIを設計すること自体が、実は戦略を立案しているのと同じ」という視点をお伝えします。

KPIを“戦略”と捉える考え方

戦略とは「リソースをどこに集中させるか」を決めること

「戦略」とは、「限られたリソースを、どの領域に、どれだけ集中的に投下するか」を決めることです。もしKPIが「何をどれだけやれば成果(ゴール)に近づくか」を表す指標であるならば、そのKPIを設計する段階で、すでに戦略を決めていることになると言えます。
たとえば、ゴールは“売上10億円”でも、それを実現するための行動因子(新規顧客の商談数、既存顧客へのアップセル提案数など)をどれだけ積み上げるかを設定する際、実は「どの顧客層に注力するか」「どんな製品・サービスにリソースを割くか」をすでに決めているのです。これこそが“戦略そのもの”です。

ゴールから逆算して“どこに力を入れるか”を決める流れ

戦略立案とKPI設定は実は同じプロセス

  • ゴール(売上○円など)を設定する

  • そのために必要な行動因子を洗い出す

  • 最も効果の高いものを1~3つに絞る

この流れこそ戦略を立案するプロセスそのもので、「リソースをどこに配分するか」を決める作業にほかならないんです。逆に、どこに注力すべきかが曖昧なままだと、KPIもぼんやりしてしまい、結局何も集中できない状態に陥りがち。だからこそ、“KPI設計=戦略設計”といえるんですね。

戦略とKPIの不可分な関係

戦略の本質は「選択と集中」

いろいろな理論やフレームワークがあるように、戦略の核となる考え方は常に「リソースをどう振り分けるか」という点です。

  • ポーターの競争戦略論:何をやらないかを決め、差別化できる領域に集中する

  • プラハラッドとハメルのコア・コンピタンス論:他社がマネできない得意分野に集中し、競争優位を築く

  • 孫子の兵法:必要最小限の力で大きな成果を上げるために、“戦わずして勝つ”状況を作る

いずれも限られたリソースを最も価値が高まるところに集中させる点で共通しています。

“どこに集中するか”を具体化する手段がKPI

KPIでは「既存顧客に月○件アプローチする」「新製品を四半期に○回リリースする」など、実際の行動を数字で示します。こうすることで、自然とリソース配分が明確になり、「どの顧客を重視するか」「どの部署を強化するか」がはっきりします。

KPIが組織全体の“行動の方向”を左右する
「既存顧客の満足度向上を重視するなら、CS(カスタマーサクセス)部門を増強しよう」とか「新規商談を増やすなら、マーケや営業のリソースを増やそう」といった決定が、KPIを通じて“戦略”として実行されるのです。KPIが「どんな行動をどれだけやるか」を定義している以上、それは組織が日々どんな仕事をしているかを左右します。たとえば「SNS投稿数を週○回」とすればSNS担当が重要視され、「新規商談数を月○件」とすれば営業部門が強化される。これらが合わさって“組織の戦略”が実行されていくのです。戦略が明確でなければKPIも定まらず、KPIが定まらなければ戦略も形骸化してしまう――二者は不可分の関係にあります。

KPI設計=戦略立案の3ステップ

前編では行動KPIを決める際のポイントをお話ししましたが、ここでは「戦略を設計している」という視点で、もう一度ステップを整理してみます。

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