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広がる善意の輪!こども食堂

子どもたちに食事を無料で提供する「子ども食堂」が関西の居酒屋に広がっているという記事を見ました。

居酒屋業界はコロナ禍で苦しい状況が続いているが地域貢献に励んでいるのは、自分たちの仕事の意義を再確認しているのではないでしょうか。また、コロナ禍で居酒屋を中心に広がってきた背景を私なりの見解でまとめてみました。

こども食堂とは

子ども食堂とは、地域の子ども達や保護者などを対象に食事を提供するコミュニティのこと。主にNPO法人や地域住民によって運営されています。

子ども食堂の目的としては、「地域交流の拠点」と「子どもの貧困対策」の二つがあります。地域住民のコミュニティとして幅広い年齢層の人を受け入れながら、経済的理由や家庭の事情によって、栄養のある食事をとることができない子どもたちを支援する、という社会的な役割を担っているのです。

NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査(注1)によると、2018年時点で全国に2,286箇所、2019年6月では3,718箇所の子ども食堂があるということです。1年間で1.6倍にもなっており、急速に全国へ拡大しています。

こども食堂が始まったきっかけ

子ども食堂の元祖は、東京都大田区にある「気まぐれ八百屋だんだん」だといわれています。店主である近藤博子さんは、「給食以外の食事がバナナ1本という子がいる」という話を近隣の小学校の副校長から聞き、八百屋の一角に子ども食堂を開設しました。2012年から始まったこの取り組みは現在も続いており、毎週木曜日に開催される子ども食堂は多くの地域住民でにぎわっています。

こども食堂の課題や問題点とは?

こども食堂の存在が広く認知されるに連れて活動や目的に共感する人が増え、これからますますこども食堂は広まっていくことが予想されます。

⑴ 安く提供しているためのトラブル

中には、近くの幼稚園や保育園の子どもや保護者が1クラスそのまま連れてきて利用したという例や、安く食事ができるからと安易に利用する保護者がいるために本当に利用したい子どもが利用できないということも起こっています。

⑵ 明確なルールがない

明確にルールが定められていないので、申し込みがあった場合に断りにくいということもあってなかなか改善できていないという現状があります。毎回開催の度に利用する保護者とその理由を聞こうとした運営側がトラブルに発展したということもあってさらに追及しにくい状態になっているのです。

⑶ 運営費(活動費)の確保

こども食堂の運営費は、ほとんどが寄付によるものと開催者の自己負担で成り立っています。そのため一度だけであれば開催できるものの、継続的にそれを行っていくとなれば厳しいという開催者も多くいます。

⑷ 運営費の透明性を求められる

集まった寄付については常に「透明性」が必要となります。これは寄付を集めて、開催者が不当に利益として得ることを防ぐためのもので、集まった寄付がどのように使用されているのかを公正に公開しなければ透明性を保てないとされるものです。

⑸ スタッフの負担や確保が難しい

こども食堂を開催していくには、協力してくれるスタッフが必要となってきます。しかしその開催意義の点や運営資金の問題からもスタッフに多額の報酬を支払うことが難しく、ほとんどがボランティアに頼るケースが多いです。それだけに安定してスタッフを確保するということが難しくなるのです。

⑹ 地域との連携

こども食堂を開いていくためには地域の理解と連携は欠かせません。「こども食堂が開催されている場所は貧困」「こども食堂に参加している子どもは貧困」といったイメージを持たれることがあり、開催自体を地域が反対するケースがあります。こども食堂を開催していくには地域にまず理解してもらった上で、協力してもらう体制作りから始めなければいけないのです。
こういったことがわずらわしいと考えて開催を中止する運営者がいるという現状があります。

⑺ 食中毒などのリスク管理が不安

こども食堂は食事を提供する場所です。
そのために「食中毒」などの衛生面、安全面に細心の注意を払う必要があります。定期的に洗浄設備、衛生環境のチェックを受けた上で認められると営業許可が下りるのです。こども食堂はそういった厳しいチェックが行われないこともあるという現状があります。もし、開催されているどこかで食中毒などの問題が起きれば、マイナスイメージがついてしまう可能性があります。

⑻ 会場の確保が難しい

こども食堂を開催するには調理可能な場所・子どもの食事スペースの確保、子どもが通える場所かどうか、イメージなどの問題から場所の提供を断られるなどの問題を解決していかなければなりません。

【出典:こども食堂の課題や問題点とは?解決するために必要なこととは】

コロナ禍で営業休止を余儀なくされていた居酒屋さんであれば休業支援金と空いた店舗スペース、長年培ってきた地域との信頼関係、オーナーの労働力という資源があるため、こども食堂を始めるための問題点は大体クリアできることが広がりに繋がったのではないでしょうか。

まとめ

やはり目の前のお客様の美味しそうに食事をしている姿や笑顔、「ご馳走様!美味しかったよ」というのは飲食店に従事している人にとっては「魂のごちそう」なんだと思います。

一方で、緊急事態宣言が解除され、店舗が通常営業に戻れば、オーナーが一手に引き受けるのには限界があるため、何らかの工夫が必要だと思います。

こども食堂と言う理念が広がった今、継続的に運営できる仕組み構築のために是非とも皆で知恵を出し合いたいものですね。

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上村 勇気|note浪士/週刊note紀行編集長
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