366日分「1日1句」選んでみた(Rx選)
【はじめに】
この記事は、俳句初心者のRxが「1日1句」366日分(366句)選びました。
身近な所から句を集めた(手元の電子辞書の歳時記、プレバト!!、一句一遊等)ため、かなり偏りがありますが、大まかに季節を感じ取る手助けになれば幸いです。推薦・オススメがあれば、個別にお知らせ下さい。
※また、一部空白を設けているのは、今後新たな名句に出会った際に、採録しやすくするためと思って下さい。
1月
1月1日 賽銭の音や初鳩青空へ/鈴木光
1月2日 連覇のさきぶれ沸き立つ初電車/中田喜子
1月3日 庖丁始都心は計画運休/横尾渉
1月4日 雪原や星を指す大樹の骸/千賀健永
1月5日 初日記とめはねに差すひかりかな/村上健志
1月6日 真向ひに桜島噴き出初式/鶴田白窓
1月7日 せりなづな御形といひて声の止む/川崎展宏
1月8日 初蝶を追ふまなざしに加はりぬ/稲畑汀子
1月9日 咳の子のなぞなぞあそびきりもなや/中村汀女
1月10日 福寿草祖父の遺した硯箱/山口もえ
1月11日 凍て空の食や殉ずる奴婢百名/Rx
1月12日 スキー長し改作口をとほるとき/藤後左右
1月13日 楸邨門たる栄光餅が焦げており/藤村多加夫
1月14日 松取りて春まだ浅き大路かな/武久綺石
1月15日 成人の日の紛失物(なくしもの)咎めずに/中村草田男
1月16日 藪入や母にいはねばならぬこと/高浜虚子
1月17日 ロザリオを繰る手冷えくる阪神忌/野村浩之
1月18日 柩追う犬ごと攫う雪しまく/東国原英夫
1月19日 毛皮はぐ日中桜満開に/佐藤鬼房
1月20日 咳をしても一人/尾崎放哉
1月21日 花衣ぬぐやまつはる紐いろ/\/杉田久女
1月22日 冬の浪送り送りてかへらざる/嶋田的浦
1月23日 誘導鈴風花ひかる改札へ/中田喜子
1月24日 吹雪抜け来し馬橇に子がおらぬ/北野きのこ
1月25日 右肩に枯野の冷気7号車/皆藤愛子
1月26日 銀盤の弧の凍りゆく明けの星/梅沢富美男
1月27日 一月の川一月の谷の中/飯田龍太
1月28日 半襟は椿初日の鏡冴ゆ/浅野ゆう子'
1月29日 春の灯や女は持たぬのどぼとけ/日野草城
1月30日 戦争が廊下の奥に立つてゐた/渡辺白泉
1月31日 旅芝居はねて今宵は加賀おでん/大和田獏
2月
2月1日 雪チラチラ岩手颪にならで止む/河東碧梧桐
2月2日 節分のサーチライトが照らす闇/藤本敏史
2月3日 春待つや恵方を告ぐる店の声/梅沢富美男'
2月4日 春の雪なお現役の鯨尺/梅沢富美男'
2月5日 紅梅やはるかに富士の青みたる/中田喜子'
2月6日 白髪をうすむらさきに春立ちぬ/梅沢富美男'
2月7日 大槌の風の電話や梅一輪/馬場典子
2月8日 針供養すこし離れて男待つ/大牧広
2月9日 梅東風に鳴らん千年分の絵馬/東国原英夫
2月10日 山又山山桜又山桜/阿波野青畝
2月11日 春風や闘志いだきて丘に立つ/高浜虚子
2月12日 菜花忌のゆふぐれ灯す机かな/秋篠光広
2月13日 観覧車の列に春ショールの教師/村上健志
2月14日 愛の日のばりばり潰す段ボール/夏井いつき
2月15日 結婚は夢の続きやひな祭り/夏目雅子
2月16日 ハモニカのソの音つくし出るよ出るよ/藤本敏史'
2月17日 えんぶりの笛いきいきと雪降らす/村上しゆら
2月18日 かたぐるま子の鼻先に触れる梅/藤本敏史'
2月19日 春の風バスを待とうか歩こうか/柴田理恵
2月20日 花粉万来獺の祭りのごとちり紙/梅沢富美男'
2月21日 真っ白な手縫い雑巾チューリップ/河合郁人
2月22日 みちのくの伊達の郡の春田かな/富安風生
2月23日 新たなる御代の見出しや桜まじ/ミッツ・マングローブ'
2月24日 卒業の兄と来てゐる堤かな/芝不器男
2月25日 紺絣春月重く出しかな/飯田龍太
2月26日 赤い椿白い椿と落ちにけり/河東碧梧桐
2月27日 春寒のスタアの悲報カップ麺/藤本敏史
2月28日 紙雛のにぎやか島の駐在所/梅沢富美男
2月29日 肩の荷を下ろす捺印二月尽/小田ひろ
3月
3月1日 天領の風ぞやさしき吊るし雛/梅沢富美男'
3月2日 空をゆく一とかたまりの花吹雪/高野素十
3月3日 雛飾りつゝふと命惜しきかな/星野立子
3月4日 いきいきと三月生る雲の奥/飯田龍太
3月5日 黒板のI can do it風光る/秋野暢子
3月6日 缶コーヒー啓蟄のつちくれに置く/東国原英夫
3月7日 たましひを鎮めて春の海しづか/大和田獏'
3月8日 「犯人逮捕」干鱈を毟る母の黙/柴田理恵
3月9日 卒業の駐輪シール並ぶ朝/村上健志
3月10日 駅の灯の遠く三月十日かな/中田尚子
3月11日 双子なら同じ死顔桃の花/照井翠
3月12日 顔面骨折カニューレの接ぐ春の朝/千原ジュニア
3月13日 うらうらと春日祭の勅使かな/新藤公子
3月14日 おぼろ夜や荷馬車に眠る象使い/藤本敏史
3月15日 たんぽぽのわたと飛び乗る銀座線/皆藤愛子
3月16日 麗かや潮騒汽笛コンチェルト/松岡充'
3月17日 毎年よ彼岸の入りに寒いのは/正岡子規
3月18日 バスを待ち大路の春をうたがはず/石田波郷
3月19日 花影婆娑と踏むべくありぬ岨の月/原石鼎
3月20日 春分の湯にすぐ沈む白タオル/飯田龍太
3月21日 本籍は道の真ん中春の土/岩宮鯉城
3月22日 新幹線待つ惜春のチェロケース/藤本敏史
3月23日 菜の花や月は東に日は西に/与謝蕪村
3月24日 銃後といふ不思議な町を丘で見た/渡辺白泉
3月25日 わが墓を止り木とせよ春の鳥/中村苑子
3月26日 学問のさびしさに堪へ炭をつぐ/山口誓子
3月27日 みちのくの今年の桜すべて供花/高野ムツオ
3月28日 三ツ矢サイダー三島由紀夫の覚悟/立川志らく
3月29日 「最初はグー」聞こゆ志村忌春の星/梅沢富美男
3月30日 子の利き手左と知りて風光る/千原ジュニア
3月31日 三月尽人それぞれの旅鞄/大橋通男
4月
4月1日 水枕ガバリと寒い海がある/西東三鬼
4月2日 枝先の妻呼ぶ鳥や連翹忌/平田君代
4月3日 フランスは星の形やリラの花/井上さち
4月4日 サイフォンに潰れる炎花の雨/村上健志
4月5日 新しき出会ひの四月五日かな/藏本聖子
4月6日 鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし/三橋鷹女
4月7日 「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク/川崎展宏
4月8日 虚子の忌の風うしろからうしろから/宇多喜代子
4月9日 1DK八重桜まで徒歩二分/藤本敏史
4月10日 沈黙の春尽く角砂糖ひとつ/ミッツ・マングローブ
4月11日 外(と)にも出よ触るるばかりに春の月/中村汀女
4月12日 花震ふ富士山火山性微動/東国原英夫
4月13日 うららかやからっぽの校庭の猫/村上健志
4月14日 行く春や蘆間の水の油色/富田木歩
4月15日 筍や雨粒ひとつふたつ百/藤田湘子
4月16日 まさをなる空よりしだれざくらかな/富安風生
4月17日 春愉し房総の空ひた走る/中田喜子
4月18日 雪解川名山けづる響きかな/前田普羅
4月19日 逃水の向こう青空レベル7/ばばばあちゃん
4月20日 象の糞豊かに崩れ穀雨かな/村上健志
4月21日 鍬光る穀雨の記念植樹かな/小谷ひろゆき
4月22日 たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ/坪内稔典
4月23日 五合目や惜春の風against/秋野暢子
4月24日 スナックエリカの閉めてる理由ようず雲/かわいかおる
4月25日 遠足の列大丸の中とおる/田川飛旅子
4月26日 春深し象舎の壁の罅長く/東国原英夫
4月27日 紅茶摘む朝のサリーの鮮やかに/藤本敏史'
4月28日 寝袋をかつぎ黄金週間へ/滝沢伊代次
4月29日 先帝に触れし記事なきみどりの日/渋川優子
4月30日 あまき音のチェロが壁越し四月尽/秋元不死男
5月
5月1日 五月晴れだから空色ワンピース/藤田弓子'
5月2日 「とき」発車旅憂わしき花追風/中田喜子
5月3日 憲法記念日天気あやしくなりにけり/大庭雄三
5月4日 みどりの日風もみどりでありにけり/小林草吾
5月5日 雲がゆき又雲がすぎ鯉のぼり/林家木久扇
5月6日 竹馬やいろはにほへとちりぢりに/久保田万太郎
5月7日 花束の出来る工程春深し/梅沢富美男
5月8日 苦瓜を噛んで火山灰(よな)降る夜なりけり/草間時彦
5月9日 扇川また見失い緑さす/村上健志
5月10日 たんぽぽや長江濁るとこしなへ/山口青邨
5月11日 チヽポヽと鼓打たうよ花月夜/松本たかし
5月12日 窓外300km/hの青葉青葉/カズレーザー
5月13日 勝武士忌 立夏 上限5千人/Rx
5月14日 思春期蹴散らせ清涼飲料水の泡/Rx
5月15日 神田川祭の中をながれけり/久保田万太郎
5月16日 行く春や鳥啼なき魚の目は泪/松尾芭蕉
5月17日 原爆忌あいつと青く飛んだ日々/北山宏光
5月18日 青き日の煌めく雫夏薫る/橋本直
5月19日 登山列車近づく空はラムネ色/宮田俊哉
5月20日 あらたふと青葉若葉の日の光/松尾芭蕉
5月21日 小満や一雨ごとに森ふとる/山下静湖
5月22日 杏落ち切るや黒点極小期/Rx
5月23日 若葉風部下にあわせるタコライス/柴田理恵'
5月24日 石段を走る石竜子や星一つ/松岡充'
5月25日 はこね号これより初夏に入ります/藤本敏史
5月26日 蟇誰かものいへ声かぎり/加藤楸邨
5月27日 葉桜や融氷の音のグラスより/北山宏光
5月28日 おひねりの飴よ硬貨よ夏芝居/梅沢富美男'
5月29日 ひと日臥し卯の花腐し美しや/橋本多佳子
5月30日 谺して山ほととぎすほしいまゝ/杉田久女
5月31日 トマト一鉢に露台(バルコニー)の色を集めけり/嶋田青峰
6月
6月1日 目には青葉山ほととぎす初鰹/山口素堂
6月2日 紫陽花の泡立つ雨の車窓かな/梅沢富美男'
6月3日 夕立の一粒源氏物語/佐藤文香
6月4日 起立礼着席青葉風過ぎた/神野紗希
6月5日 水門に水鬩ぎ合ふ芒種かな/吉田千嘉子
6月6日 梅雨寒やジャズレコードの傷拾う/岩永徹也
6月7日 おもひではぽろぽろ遠い二重虹/横尾渉
6月8日 名札外されし病室四葩咲く/梅沢富美男'
6月9日 ベル鳴りて立つ七色の夏帽子/ミッツ・マングローブ
6月10日 時の日や数字を持たぬ砂時計/柏木まさ
6月11日 勾玉の深みどりなる梅雨入かな/秋篠光広
6月12日 花やぎの殊に花屋の梅雨入りかな/東国原英夫'
6月13日 若者が墓と肩組む桜桃忌/石河義介
6月14日 追憶やつま先濡らす走り梅雨/別所哲也
6月15日 五月雨や大河を前に家二軒/与謝蕪村
6月16日 あじさいや三日続けて昼は蕎麦/武田鉄矢
6月17日 子の傘に透ける窓あり青蛙/梅沢富美男
6月18日 象潟や苫屋の土座も明やすし/河合曾良
6月19日 空の底強き風恋ふ水芭蕉/杉山愛
6月20日 後毛の撓ひて梅雨に入る街角/武井壮
6月21日 夏至ゆうべ地軸の軋む音すこし/和田悟朗
6月22日 送り梅雨船団送る千の傘/東国原英夫'
6月23日 東京は雨なり沖縄慰霊の日/小林照代
6月24日 宵宮の慈雨は屋台の人波へ/千賀健永
6月25日 虹二重神も恋愛したまへり/津田清子
6月26日 驀進の棋士は少年青嵐/岩永徹也
6月27日 蹲に雨粒あめんぼを揺らす/鈴木光
6月28日 夏草や兵どもが夢の跡/松尾芭蕉
6月29日 五月雨の降り残してや光堂/松尾芭蕉
6月30日 空青き方へとくぐる茅の輪かな/能村研三
7月
7月1日 町中が弾んでをりぬ山開/野崎加栄
7月2日 ペットボトル冷えて藻の花さやさやと/梅沢富美男'
7月3日 鰯雲人に告ぐべきことならず/加藤楸邨
7月4日 エルメスの騎士像翳りゆき驟雨/村上健志
7月5日 削氷の音や光れる波に消ゆ/中田喜子'
7月6日 文月や六日も常の夜には似ず/松尾芭蕉
7月7日 許されて寺の笹切る星祭/横尾渉
7月8日 てんとむし一兵われの死なざりし/安住敦
7月9日 鬼灯市母に似し人追ひつづけ/石寒太
7月10日 かたつむり甲斐も信濃も雨の中/飯田龍太
7月11日 豪雨の登山これより先は神の庭/立川志らく
7月12日 原子炉と溽暑に眠る町しづか/梅沢富美男
7月13日 閑さや岩にしみ入る蝉の声/松尾芭蕉
7月14日 レコードの溝から廻る巴里祭/中尾硫苦
7月15日 五月雨を集めて早し最上川/松尾芭蕉
7月16日 診察を終えて広がる夏の海/福澤朗
7月17日 瀧落ちて群青世界とどろけり/水原秋桜子
7月18日 黒き地の正体は海 揚花火/千賀健永
7月19日 スパイクもグローブも置き夏浜のランニング/横尾渉'
7月20日 「海の日」の日記のページ空白なり/横山房子
7月21日 遠花火音のみ響くビルの底/梅沢富美男'
7月22日 わが細胞全個大暑となりにけり/小澤實
7月23日 二枚目はベランダで読む手紙かな/村上健志
7月24日 極暑へと下車する一団地裁前/Rx
7月25日 行間に次頁の影夕立晴/村上健志
7月26日 調停の席着く妻のサングラス/東国原英夫
7月27日 口上に違わぬ西瓜売り切れて/山脇睦久
7月28日 向日葵や畜魂二十九万頭/東国原英夫
7月29日 喧騒の溽暑走り抜け潮騒/石田明
7月30日 向日葵の波に逆らひ兄逝きぬ/筒井真理子
7月31日 秋を待つ裸婦を描きて二百号/鈴木麗門
8月
8月1日 八朔の香にまばたけば昼の海/飯田龍太
8月2日 光束ねるごと日焼子ら走る/中田喜子
8月3日 短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎/竹下しづの女
8月4日 滂沱たる風鈴の音や市の朝/梅沢富美男
8月5日 萬緑の中や吾子の歯生え初むる/中村草田男
8月6日 ちゑさんの被爆ピアノや秋はきぬ/森口瑤子
8月7日 秋立つや川瀬にまじる風の音/飯田蛇笏
8月8日 たれかゐるけはひ墓参のうしろ/東国原英夫
8月9日 旱星ラジオは余震しらせおり/梅沢富美男
8月10日 鎌で切る鶏の首盆支度/東国原英夫
8月11日 高嶺星見出てうれし明日登山/杉田久女
8月12日 阿波乙女腿すり寄せて踊るなり/山本良明
8月13日 読み終へて痣の醒めゆくごと朝焼/梅沢富美男
8月14日 カンバスの余白八月十五日/神野紗希
8月15日 終戦日妻子入れむと風呂洗ふ/秋元不死男
8月16日 啄木の顔し盆休みの無心/立川志らく
8月17日 赤とんぼ夕暮はまだ先のこと/星野高士
8月18日 西国の畦曼珠沙華曼珠沙華/森澄雄
8月19日 歳時記と二十世紀を見渡しぬ/高橋京子
8月20日 血を分けし身とは思はず蚊の憎さ/内藤丈草
8月21日 荒海や佐渡によこたふ天の河/松尾芭蕉
8月22日 八月の機内に点る読書灯/村上健志
8月23日 ベイエリアから届く短波や処暑の風/千賀健永
8月24日 魚市場<いさば>のかっちゃスカーフはあけび色/梅沢富美男'
8月25日 朝顔や百たび訪はば母死なむ/永田耕衣
8月26日 じゃんけんで負けて蛍に生まれたの/池田澄子
8月27日 ビニール越しの「温めますか?」虫時雨/本田望結
8月28日 舌にスマこれより結びの一番です/みをつくし
8月29日 滝の上に水現れて落ちにけり/後藤夜半
8月30日 草茂る洞窟のこと他言せず/東国原英夫
8月31日 マンモスの滅んだ理由ソーダ水/藤本敏史
9月
9月1日 雲ひとつなき東京の震災忌/尾池和夫
9月2日 もてなしの豆腐ぶら下げ風の盆/柴田理恵
9月3日 団欒す傷秋の箸とめぬよう/福田麻貴'
9月4日 キーパーの滞空時間秋高し/北野きのこ
9月5日
9月6日 震禍七年港に揚がる初さんま/梅沢富美男'
9月7日 秋夕焼赤黒き一〇〇〇グラムの吾子/東国原英夫
9月8日 ゆく水としばらく行ける白露かな/鈴木鷹夫
9月9日 鶏頭の十四五本もありぬべし/正岡子規
9月10日 カセットに父の口立て秋彼岸/梅沢富美男
9月11日 移り行く二百二十日の群鴉/高浜虚子
9月12日 引き波を自転車で追う秋夕焼/篠田麻里子
9月13日 作家別に揃え直して夜は長し/村上健志
9月14日 夜学果てなほ読みふけるおとがひよ/梅沢富美男
9月15日 をとゝひのへちまの水も取らざりき/正岡子規
9月16日 鰯雲仰臥の子規の無重力/東国原英夫
9月17日 自転車やコスモスの波風となる/友利新
9月18日 糸瓜咲て痰のつまりし佛かな/正岡子規
9月19日 痰一斗糸瓜の水も間に合はず/正岡子規
9月20日 父がつけしわが名立子や月を仰ぐ/星野立子
9月21日 新しき石鹸運動会前夜/有馬まりあ
9月22日 秋彼岸山は入り日を大きくす/成田千空
9月23日 曼珠沙華どれも腹出し秩父の子/金子兜太
9月24日 <2020年>体温だけ記す九月の予定帳/横尾渉
9月25日
9月26日 台風の潮位の無線刻々と/眞砂松韻
9月27日 廃村のポストに小鳥来て夜明け/梅沢富美男
9月28日 さらはれてきたのはどの子ゆふづきよ/ひそか
9月29日 コスモスや女子を名字でよぶ男子/村上健志
9月30日 雨降れば暮るる速さよ九月尽/杉田久女
10月
10月1日 我と来て遊べや親のない雀/小林一茶
10月2日 新豆腐よき水を生む山ばかり/藤田湘子
10月3日 芋の露連山影を正しうす/飯田蛇笏
10月4日 まつすぐの道に出でけり秋の暮/高野素十
10月5日 天気雨のプラチナ通り檸檬の香/横尾渉'
10月6日 十月や日程表に余白なし/今橋浩一
10月7日 空も酔ふ笛の一節くんち来る/中尾杏子
10月8日 とぶ鳥の羽音間近に寒露かな/高木良多
10月9日 札束をゴムに丸めて濁酒かな/理酔
10月10日 地の涯に倖せありと来しが雪/細谷源二
10月11日 まつすぐな道でさみしい/種田山頭火
10月12日 紅葉燃ゆ石見銀山処刑場/東国原英夫
10月13日 藷堀りの楽しみ畝に探り当て/高浜年尾
10月14日 松山や秋より高き天主閣/正岡子規
10月15日 霧雨や白き木子(きのこ)の名は知らず/乙二
10月16日 昨日より多く忘れて野菊になる/河野しんじゆ
10月17日 馬で来る神嘗祭の勅使かな/野田別天楼
10月18日 蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ/松尾芭蕉
10月19日 子らの引く綱の雄々しく匂ひけり/武井壮
10月20日 鳩歩むすなわち皇后誕生日/村井和一
10月21日 ひとつづつ山暮れてゆく白露かな/黛執
10月22日 答案を抱へて時代祭かな/井上弘美
10月23日 霜降や鳥の塒を身に近く/手塚美佐
10月24日 焼栗やパリの夜燈に緋の露店/山口真由
10月25日
10月26日 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺/正岡子規
10月27日 羊群の最後はすすき持つ少年/藤本敏史
10月28日
10月29日 色なき風やボーカロイドのラブソング/岩永徹也'
10月30日 吉原は菊の盛りや紅葉忌/増田龍雨
10月31日 色変えぬ松や渋沢栄一像/立川志らく
11月
11月1日 温め酒あとは巴水の木版画/片岡鶴太郎
11月2日 事多き十一月のはじまりし/桂信子
11月3日 降る雪や明治は遠くなりにけり/中村草田男
11月4日
11月5日 夏の海を描くスプレーの秋思/千賀健永
11月6日 咳一つしても明治の人であり/桂米朝
11月7日 湯豆腐やいのちのはてのうすあかり/久保田万太郎
11月8日 跳箱の突き手一瞬冬が来る/友岡子郷
11月9日 火恋し形見の竜頭巻く深夜/梅沢富美男
11月10日 降る雪や踵の上の五十年/藤村多加夫
11月11日 みちのくの鮭は醜し吾もみちのく/山口青邨
11月12日 流星のターミナル三分で蕎麦/横尾渉
11月13日 曲がっても曲がっても燃ゆ紅葉坂/野間口徹
11月14日 秋深き隣は何をする人ぞ/松尾芭蕉
11月15日 障子しめて四方の紅葉を感じをり/星野立子
11月16日
11月17日 蓮堀りが手もておのれの脚を抜く/西東三鬼
11月18日 分校の子等熊よけの鈴つけて/吉田未灰
11月19日 これがまあつひの栖か雪五尺/小林一茶
11月20日
11月21日 霜柱俳句は切字響きけり/石田波郷
11月22日 渋滞の頭上八坂の冬鴉/中田喜子
11月23日 何もせぬことも勤労感謝の日/京極杜藻
11月24日 テーブルに君の丸みのマスクかな/村上健志
11月25日 憂国忌列を乱してゐるは誰ぞ/八田木枯
11月26日
11月27日
11月28日 パティシエに告げる吾子の名冬うらら/千原ジュニア
11月29日 手袋を外して撫でる猫の喉/北山宏光
11月30日 霜月の晦日よ京のうす氷/池西言水
12月
12月1日 京に着く頃には懐炉ほつこりと/波多野爽波
12月2日
12月3日 うしろすがたのしぐれてゆくか/種田山頭火
12月4日
12月5日 マフラーに込める君へのetc…/国生さゆり
12月6日 不夜城の孤独にまとう毛皮なり/相田翔子
12月7日 750ccのタンクにしがみつく寒夜/千原ジュニア
12月8日 開戦日ただ海を見て引き返す/中拓夫
12月9日
12月10日 じょんがらのごと雪しまく車窓かな/梅沢富美男'
12月11日
12月12日 オッケーグーグル冬銀河にのせて/東国原英夫
12月13日 軸赤き小筆買ひけり事始/小林篤子
12月14日 義士の日の看板(まねき)や白く降る夜空/梅沢富美男'
12月15日 みちのくの町はいぶせき氷柱かな/山口青邨
12月16日 ほしかもんはなかジャングルジム冷たし/東国原英夫
12月17日 失いしことば失いしまま師走/楠本憲吉
12月18日 船長の側にペンギン日向ぼこ/藤本敏史
12月19日 はや6年遥かスイスや古都は雪/春香クリスティーン
12月20日 去年今年貫く棒の如きもの/高浜虚子
12月21日 暮れる年あいさつかねて買い出しに/泉谷しげる
12月22日 母在りき冬至もつとも耀きて/三橋鷹女
12月23日 葉脈の日に透く天皇誕生日/和田順子
12月24日 背を押され子は星となる聖夜劇/山崎桂
12月25日 残業や窓下の聖樹灯が消える/千原ジュニア'
12月26日 抜型を重ねて仕事納めかな/村上健志
12月27日 吊り革の師走遠心力に耐へ/ミッツ・マングローブ
12月28日 ガラス吹く御用納めの気象台/辻田克巳
12月29日
12月30日 翌ありとたのむもはかな小晦日/蝶夢
12月31日 漱石が来て虚子が来て大三十日/正岡子規
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?