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【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.22【最終回】)《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、2021年10月30日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第22回放送【 最終回 】に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。

0.オープニング

7月15日にスタートした「月百句」の企画、前回までに作った月の俳句は実に95句。残り5句となって、いよいよ今回の配信で待望の100句完成です。

のっけから「締め」みたいなコメントを言ってしまう村上さんですが、まだ流石に時期尚早ということで、1つ目のテーマ選びに移ります。

1.席題「タオル」

最初の席題は、「koufukurairai」さんがスパチャで寄せた「タオル」です。

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プレバト!! 的には、藤井隆さんが詠んだ『実家から持ち出すタオル選ぶ春』が傑作なので、違った設定か、違うタオルで考えた方が良さそうですかね。

などと言っている間に、テーマ決めから僅か6分で1句目が完成します。『もっとできちゃいそうなんだけど。』とおっしゃいますが、いやいや早めに完成するに越したことはないですww

【 1句目 】
『バスタオル枕に雑魚寝夜半の月』 村上健志

村上さん的には、大学の仲間内などでの「雑魚寝」をイメージしたんだそうです。ちなみに、タオルの産地なども考えてて、今や「バスタオル枕」なるものが安眠に向けて紹介されているご時世なんだとか。

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そういった意味では「枕に【雑魚寝】」の部分が居るかどうかを少し悩んでおられましたが、「バスタオル枕に」の部分がプラスとマイナス両方の意味で想像できるとあれば、心情を詠み手に伝える必要はあるかも知れません。

(例えば「夜逃げ」ならまず間違いなくネガティブな意味ですが、「転勤」はプラスとマイナス両方の意味があるみたくですね。)

ただ、「枕に」とあれば、「寝る」が省略可能なのではないかという指摘も一理あって、そこに具体的な情報を盛り込める気はしました。動画内にもありましたが、「部活の合宿」なのか「友人宅」なのかなどですね。

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私は例えば、こんな添削案を考えてみました。

【 Rx添削案 】
『3年補欠はタオル枕に夜半の月』 Rx

少々字余りですが「3年補欠」と人物を描いて、ほぼ間違いなく「部活の、大会前の合宿などであろう」と想像できるラインを狙ってみました。

《 Rx自作句(アイディアのみ) 》

私からすると、既に150句ぐらい作っているので、まあ自作句は披露せずに今回は「アイディア」のみにしようかと思っていましたが…… 何故か普通のタオルではなく、最初に浮かんだのがコレでした。

『プール着替え用のタオル』

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我ながら、晩秋から立冬に向かおうとするこの季節に、「着替え用タオル」は無かろうww と笑ってしまいましたが、こういうのが案外「月」というテーマから連想していても全くたどり着かない部分なので、発想としては大事にしていきたいなと思いました。

流石に作句は諦めましたよww 良い句が出来そうになかったんでねwww

2.席題「百」

1句目が思いのほか早く完成したことで、早くも2つ目のテーマに。そこで村上さんが選んだのが「百」というもの。 チャット欄からは、『100句目じゃないんだww』という声が多数寄せられました。全面的に同意ですww

ただ「作れるうちに勿体ぶらずに先に作る」、「何が起きるか分からない」と余裕のあるうちに、という感じで「百」を選んだ模様。

実際、漢字1文字シリーズの中でも、結構バリエーションが豊富にありそうで、例えば、「百均」とか「百足」とか、季語であるもの/ないものを問わず、かなりのコメントが寄せられている印象でした。

《 Rx自作句「百」の挨拶句 》

なかなか、チャット欄のアイディアから良い句が浮かばない村上さんの長考の時間を確保するべく、私もチャット欄に1句投稿しました。それが、

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②-1『生配信は百人力だ 月百句』/Rx
(月百句に参加する皆さんへのご挨拶句として)

というものでした。村上さんも読んでいただきましたし、チャット欄でも「素敵」とお褒めの言葉を頂きました。

《 村上さんの「百」の挨拶句 》

そんな私の投句を見て、『私も皆さんにご挨拶を……』と村上さんも続いてくださりました。それがこちらの句です。

【 2句目 】
『百倍のからさと月は分かち合おう』 村上健志

100人前のカレー(分量)は、100人で分ければ一人前に取り分が減るだけだが、「からさ100倍のカレー」は、100人で分けてもそのつらさは変わらない。その「からさのつらさ」を知っている仲間が100人いると思えば、多少は気持ちが和らぐ。

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「月」も1つしか無いもの。1つしかないものを大人数で楽しむ時というのは、等分に「分け合う」よりも「分かち合う」という言葉が相応しいという着眼点からの句だそうです。 目の付け所も言葉も素晴らしいですよねー!

3.席題「風」

3つ目は、村上さんがピーンと来た感じで「風」に決定。これは、先ほどの漢字1文字シリーズ的な意味合いではなくて、自然現象の「風」を詠み込むというのが意図の様です。村上さんも、「自然現象の中で一番好きなのが『風』」と仰っていましたが、何となく分かる気がしますね。

既に、普段よりも多く170人が視聴する中で、村上さんは「月」と「風」という実景に乏しい2つのテーマで句を捻ります。

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少し先ほどの2句目と似てしまうことを気にしつつも、3句目がこちら。

【 3句目 】
『別々の夜風に当たり望の月
』 村上健志

本質的には別の2人が居て、『別々の夜風』が「当たり」という動詞で繋がっている。そこに、「望の月」という唯一無二の存在が、「1」と「2」を繋ぎ止めている感じがオシャレですねー

推敲の余地が無くはないのかも知れませんが、何となく言いたいことは伝わりそうな気がする1句です。村上さんらしさが完全に戻ってきています!

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チャット欄では「月とあるんだから『夜』が無くても?」という意見もありましたが、個人的には、上(左)から読んできた時に、

(原句)「別々の夜風に当たり」
(比較)「別々の風に当たりて」

では、中七で「夜」という情報が早めに掴める原句の方が良いと思います。確かに、下五まで全てを詠めば「望の月」という季語ですから「夜」だと分かります。しかし、やはり俳句は上(左)から初見で詠んだ時に、光景を的確・効果的に再現できる方が良いと思いますね。

《 Rx自作句③ 》

私はサラッと。「風」でこの単語が浮かんでしまったんでって感じですww

③『資料集の風神雷神 夕月夜』 Rx

江戸時代の文化を語るうえで欠かせないのが「風神雷神図屏風」でしょう。日本史でも美術でも、資料集に象徴的に掲載されている印象です。

4.席題「めがね」

続いてのテーマは、「めがね」。これも、村上さんが得意としそうな小物(アイテム)系の席題です。これが99句となりますが、多種多様なテーマをやっていると、「もう何をやったのか」が分からなくなってしまいます。

実際、「老眼鏡(老視)」をキヨスクに買い求める句は詠んでいましたが、「めがね」がテーマには……なっていなかったはずです。

気づけば、村上さんが配信で「めがね」を掛けるようになったのも、この「月百句」がスタートしてからでしたよね……。って何か図らずも、ここ(100句完成)までの足跡を辿るかのような「思い出」振り返り回に早くもなりつつありますなww

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村上さんはメガネを外して、「鼻当て」の部分などを必死に観察をします。ちょうど、先日の「村上的俳句講座」で説明したことを実践するかの様に。

そして村上さんは、観察から自身の経験を思い出し、こんな句を作ります。

【 ボツ句① 】
『カッターで眼鏡を締める雨の月』 村上健志

カッターの刃で、メガネの緩んだ部品(鼻当ての留め金の部分など)を締めた事を読み込もうとしたそうですが、「説明してもらって分かった」という意見がそれなりにあったことを受け、『伝わりづらい』という理由でボツにしました。

確かに、普段ならば採用で良いのでしょうが、99句目となると……もう少し良い句でラストに繋げたいという思いもあったのでしょう。

更にしばし考えて作った「メガネ」での2句目が、

【 ボツ句② 】
『3D眼鏡ニ個とも捨てて月の夜』 村上健志

デートで3D映画を視聴し、持ち帰った「3Dメガネ」。どうせ次に3D映画を見る時も、家にあるヤツを持っていったりはせず、新しく買っちゃう。でも「映画の半券」みたく思い出としてついつい持って帰っちゃう……。

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しかしそんなものも、別れてしまっては。「二個とも捨てて」から、別れを連想して欲しいという村上さんの句ですが、これも「恋人同士の別れ」以外の読みもできるという意見を受けてボツにします。例えば、

【 Rx添削案 】
『3Dメガネ2個とも捨てる別れ月』

などとすれば、ひとまず「別れ」なのかなと思いを巡らすヒントは増えそうですけどね。そして20分ぐらい掛けて作った「めがね」の3句目が、

【 4句目 】
『二日月メガネケースの強きばね』 村上健志

でした。迷って、悩んだからこそ、良い「あるある」が採取できました!

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メガネの専門店などで購入すると付いてくることもある「メガネケース」。何故あそこまで「バネの力が強い」のでしょうww 確かに初めてメガネを買った時に、そのメガネケースのバネの強さに驚いた記憶があります。
こういう細かい所に着目するのが、さすがは村上名人、素晴らしいですねー

《 Rx自作句④ 》

なんか、鯖江市だとか、「初めて買ったメガネを店員さんに掛けてもらう」などと面白いアイディアもチャット欄に寄せられていましたが、私も今回はサクッと流していきます。

④「地震なゐやんで眼鏡を探す星月夜」 Rx

大抵の方は、メガネを外して就寝されます。故に、大地震が発生をして停電をした際などの、最初の混乱の一つに「メガネが見当たらない」というものがあります。場合によっては、落下物などで先に怪我をしてしまうことも。

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そういった点にもご注意いただきたい、そんな教訓俳句(?)でした。

5.席題「ゴール/終/ラスト」

さあそしていよいよ最後、100句目のテーマです。チャット欄などを参考に「ゴール/終(わり)/ラスト」など広く取っての最終テーマとなります。配信が始まってほぼ1時間で4句を作り、残りは1句。

しかし、平常心を意識できていたのも最初だけ。どんどんと「100句目」だという見えない(そしてチャット欄もそこまで表していない)プレッシャーに、(自滅……は言い過ぎですが、)どんどんと追い込まれ、思い切った句が作れなくなります。

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席題が難しいというか、アイディアを募りにくいこともあるのでしょうが、句を考え始めてから約20分で、ほとんど進展せず、そのことに焦ってしまうという悪循環に陥ってしまう村上さん。
特に「月落つ」という季語や、「生配信」について書こうなどと自分で更に縛りをかける“自縄自縛”状態に無意識に陥ってしまっているからでしたね。

※私はいっそ「真っ白いスケッチブック」を貼って、『100句目は、貴方が書き込んで下さい!』とすれば、それ自体アートになるのかなww なんて考えてたりしました。

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しかし、考え始めて20分経ったあたり(1時間22分過ぎ)に、おもむろに、

・『月落つや光を減らす紙の文字』
・『月落つや「おやすみなさい」はまだ早い』

などと、普段であれば採用されていてもおかしくない様な句は出来ていて、それをボツにしての選考であることを明かします。

すっかり弱気になってしまっている村上さん。ついには『100句目をギブ(アップ)』することなどを考えてしまう始末ww

※まあ、100句目をギブしたら、事務所の先輩方も手を叩いて笑って下さるかと思いますがww

しかし、口から何度も『ごめんなさい』という言葉が飛び出している内に、『そうか、配信と言わなくて良いのか』などと気づきが生まれ、少しずつ詠みたいことが固まってきます。そして、最初に披露したのがこちらの句。

【 5句目(当初) 】
『月落つやチャットに残るラグのコメ』 村上健志

本人は『むちゃくちゃや!』と何故か関西弁で投げやりな感じで出しましたがww 「生配信終了後も、暫くはチャット欄が動いていて、名残惜しむかのようにチャットが投稿されて、しばらく動いている」様子を描こうとした作品。出来には本人も十分に満足している分けではないようですが、何より100句目に「YouTube生配信」を題材に詠んでくださろうとしている事に感謝の思いで一杯です。

しかし一通り説明した後に、「残る」という動詞を使わなくても表現できることに気が付き、すぐさま推敲に…… という所で、まさかのスパチャが!

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フライングのオレンジスパチャに、アタフタしてしまう村上さんでしたが、結局は、さらに推敲し、ついに100句目が完成します!

【 通算100句目! 】
『月落つやコメント欄はまだ動く』 村上健志

あっちゃんとのコラボで、「俳句実況 × YouTube」が開拓され、最初期のYouTube俳句の金字塔的作品だと感じます。素晴らしい100句目です!

皆さんからもスパチャを始めとするお祝いコメントが寄せられました。

《 Rx自作句⑤ 》

村上さんが最後の1句を絞り出すのに相当苦労している間に、私は何と5句も作ってしまいましたww

⑤-1『月今宵 終着駅が始発駅』 Rx
⑤-2『月の舟さよならの声ふるえてた』 Rx
⑤-3『満月や えっ続編があるのかよ』 Rx
⑤-4『引退を師匠に告ぐる更待月』 Rx
⑤-5『名残惜しきか百句目できぬ月百句』 Rx

多分、村上さんは『月百句』を作るにあたって、100句しか作らないため、最後の100句目に緊張感やプレッシャーを覚えたのでしょうが、私のアプローチとしては、100句以上(約150句)作り、その中から厳選して100句なので、その方が変なプレッシャーを掛からずに行けるかなと思いました。

ここに出来た5句は、かなりの力作だという風に思っています~

6.エンディング

ここから、一部補ったりしていきますが、村上さんの『月百句』完成の言葉を残しておきたいと思います。

コメント沢山書いて頂いて、それも見つつですけど、100句、もともとはあっちゃんとコラボさせて頂いて、配信の中で「考えているんだけど」→「やりなよ」と背中を押して頂いて俳句実況というのを始めるようになって、
「月百句」というものを、昔、夏井いつき先生に聞いて、「いつか……挑戦したいけどどうせやめちゃうだろうな」と思っていたのを、皆さんに見守って頂ければ、やらざるを得ないだろうということで始めまして、
何とか今日まで走りくることが出来ました。本来は、月という季語には沢山の傍題があって、100句なかなか出ないぞーって言う修行をしている人もいるんでしょうけど、僕は皆さんと本当に楽しくやらしてもらって。
本来の『月百句』やる人からしたら、「そんな俗っぽいものばっか作ってもしょうがないんだよ、もっとしみじみした月を詠みなさい、一物仕立てを作りなさい~」とかあるかも知れないけど、それはそれとして、『月百句』を作るということが出来たことが良かったかなと思います。
本当に見て下さった皆さん、お力添えして頂いて本当に感謝しています。

放送当日の土曜日は、この後「ラジオ」があるため、お酒も呑めなかったけれど、いずれ日を変えて、振り返り配信をしたいと語っておられました。

(↑)私も、今回まで22回にわたって「月百句」の記事を「note」にアップしてきましたが、いよいよそれを纏めて厳選し、『Rxの月百句』を発行する段にまで来ました。

ぜひ、私のnote第一句集となる『月百句』を楽しみにして頂ければと思います! 追って続報をお知らせしますので、ぜひお楽しみに!

という訳で、名残惜しいですが、7月にスタートした『月百句』シリーズは今回で完結と致します! 沢山のご閲覧ありがとうございました~! 村上さん同様、いわゆる「名残惜しい」感じで、配信(記事)を終えたいと思います。

しかし、『コメント欄はまだ動く』です。皆さんのnoteコメント欄での反応もお待ちしておりますねー 以上、俳号:Rxでした、ではまたっ!


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