【小説】愛の稜線【第9回】#創作大賞2023
駅前のコインランドリーは薄暗く、ひどく居心地が悪い。ベンチに座って待つものの、ランドリーが古いのか、乾燥に時間がかかる。かといって、ベンチに乱暴に広げられた雑誌はどれも古ぼけていて、読む気にはならない。
わたしはポシェットからエルドラド用のスマートフォンを取り出し、たっつんからのメッセージを眺めた。譲さんと別れて随分経つのに、彼はまだSIMの契約を解除していないらしい。エルドラドで出会った人たちとまだ連絡がつく。
「クリスマスパーティーは十五時からです」
クリスマス