スミレナガハナダイの性転換
石垣島もこの9月の連休は、コロナ前に戻ったかのような賑やかな光景が戻りました。
コロナ禍では、感染者が増えたり減ったりするなかで、予約をするもキャンセル。また予約、そしてキャンセルというゲスト様も多く、なかなか先が読めない期間でもありました。
ですが、少しのんびりとした日も毎日、海に潜り、海の感覚やひらめきを尖らせて磨いておりました。
ここ1カ月は、子孫繁栄におけるオスの誇示行動を観察していました。
こちらの写真は、「アカネハナゴイの雄の求愛シーン」
こちらは、「ハナゴイ」という魚のオス同士の縄張り争い、誇示シーンです。
別の言い方をすると全身の背びれを広げるフラッシング。
上記二種は、子孫繁栄に励む模範となるようなわかりやすい行動です。
ですが、いまいちピンと来ない・・・理由が分からない種というか、個体がいます。
写真のスミレナガハナダイ。
スミレナガハナダイは、オス1に対しメス数匹を囲い一夫多妻制を採用し、種の繁栄をするのですが、ハレムのオスが何らかの利用でいなくなるとハレムの中の1番強いメスがオスに性転換をします。
この写真のコは、”性転換中の体色”の個体。
よく、オカマ体色と評されるが、メスからオスへなので厳密に言えば、オナベ体色なのである。
このポイントに居るこのオナベ個体。かれこれ僕が観察するにもう10年近くは、この体色なのである。
このスミレナガハナダイのオスは、
このような四角い模様が特徴で、ダイバー達の間でこの種は「サロンパス」と呼ばれています。
そのサロンパスが現れる訳でもなく、メスの真っ黄色な体色な訳でもなく、体色はオレンジ色、頭部模様は限りなく、オスに近い模様。
そして、しっかり求愛行動をしてハレムを保とうとしているわけです。
スミレのオナベの婚姻色
頭部がまだら模様に変化します。
婚姻色に変化して、メスに体当たりをするペアリングと言われる行動をちゃんとメスにして子孫繁栄をおこなっています。
上写真、奥にいるのがスミレのメス体色の黄色です。
分かりやすくいうと、オスの体色になり切れていないオナベ体色の個体が、いかにもオスなのかと思うようにオスと同じ行動をしているのです。
しかも長い期間、この状態。
おそらくダイバーさんなら、ガイドさんにスミレのオカマ体色ですと紹介してもらうことがあると思うのですが、一時的にオスになるための準備期間のオレンジ体色と思いきや、このオレンジ体色がすこぶる長い。
この個体は、この体色でオスの役割を担っているからあえてこのハレム内でオスの体色になる理由がないのか。
他に敵対するオスがこの場所にはいないので、このままで不便は感じていないのであろうかと思う。
生物的な進化の必要性がないのであろうか。
ただ、ガイドとして、スミレのオカマ体色(オナベ体色)は
性転換中の一時的なオレンジ体色なので珍しいから、写真におさめてくださいとは、言えなくなっている。だっていつでもこの体色なのである。
他のオス、すなわち恋のライバルがいないと紫色のオスの体色、スミレ色になる必要がないのであろうか。
そんなことを考えながら、懸命に生きる、スミレ名がハナダイ色のオスの紫色、黄色のメスの体色、オナベのオレンジ色、それぞれの色その姿に目を奪われてしまうのです。
そして、伝わることはないと思うが、このオレンジ色のスミレナガハナダイに僕がちゃんと見ていることも伝えてみたいものです。
あー楽しい毎日だ。
今後も、ガイドとして魚たちの生きる輝きを伝えていきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?