見出し画像

ハーマンモデル(2/2)&(LLMプロンプティングとAIエージェント)

前回に引き続き、ハーマンモデルについて説明します。
前回はこちら(ハーマンモデル(1/2)

(後半は番外編として、LLMのプロンプティングとAIエージェントについて記載しています。思いのほかこちらが長くなってしまいましたが、今話題だしハーマンモデルの内容とセットで読むのも面白いので、分けないでおきます)

■組織での活用

<組織開発>

ハーマンモデルを組織開発に活用することで、個々の社員の強みを理解し、それを最大限に生かすことができます。たとえば、新しいプロジェクトチームを編成する際には、各タイプのバランスを考慮してメンバーを選出することが重要です。ABタイプの人は計画立案や実行に向いており、CDタイプの人はチームのコミュニケーションを円滑にする役割を果たすことができます。ADタイプの人は革新的なアイデアを提供し、BCタイプの人は安定した運営を支えることができます。

LLMで生成した具体例:
地方の製造業である「田中金属工業」では、ハーマンモデルを基にした組織改革を実施しました。工場の生産ラインにおいて、Aタイプの品質管理担当者「佐藤さん」は、彼の細かい注意力を活かして、製品の不良率を削減するための新しい検査基準を導入しました。Dタイプのプロセスエンジニア「伊藤さん」は、佐藤さんの基準をもとに、従来の生産ラインにはなかった自動化システムの導入を提案し、これが実現すると生産効率が20%向上しました。ABタイプの生産マネージャー「山田さん」は、彼女の計画性と実行力を活かして、伊藤さんの提案を現場に落とし込み、チーム全体の協力を得て新システムのスムーズな導入を実現しました。CDタイプの従業員「鈴木さん」は、チームのモチベーションを維持し、変化に対する不安を軽減するためのコミュニケーション活動を行い、従業員の不安を和らげることに成功しました。この取り組みにより、田中金属工業は生産性の向上だけでなく、従業員の働きがいの向上にもつながりました。

※ChatGPT4.0 Turbo

<コミュニケーション戦略>

ハーマンモデルを活用して、組織内のコミュニケーション戦略を構築することも可能です。例えば、組織内のトレーニングプログラムを設計する際に、各タイプに合わせたコミュニケーション手法を取り入れることで、より効果的な学習が促進されます。また、社内報や会議の進行方法等にも、各タイプの特性を考慮したアプローチを取り入れることで、全員が参加しやすい環境を作ることができます。

LLMで生成した具体例:
全国展開するスーパーマーケットチェーン「フレッシュマート」では、顧客満足度の向上を目指して、ハーマンモデルに基づく適材適所の人員配置を行いました。Aタイプの分析担当者「中村さん」は、顧客データを徹底的に分析し、顧客の購買パターンや好みを把握。このデータをもとに、ABタイプの店舗マネージャー「木村さん」は、顧客のニーズに合わせたスタッフの教育プログラムを策定し、顧客対応の質を向上させました。Dタイプのマーケティング担当者「高橋さん」は、感性に訴えるプロモーションキャンペーンを企画し、例えば「地域の食材を活かしたレシピコンテスト」を開催し、顧客の興味を引きつけました。CDタイプのカスタマーサービス担当者「小林さん」は、顧客とのコミュニケーションにおいて、共感と理解を深めることで、顧客のエンゲージメントを高める役割を果たしました。これらの戦略により、「フレッシュマート」の顧客満足度は大幅に向上し、リピーターの増加につながりました。

※ChatGPT4.0 Turbo(1か所手補正「エンゲージメント」←「忠誠心」)

<リーダーシップ開発>

リーダーは組織内で多様なタイプの人々をまとめ上げる役割を担います。ハーマンモデルを理解し、活用することで、リーダーは自身の強みと弱みを知り、それを補完するために他のタイプの人々と協力する方法を学ぶことができます。また、リーダー自身がABCDタイプでなくても、チーム全体でABCDバランスを取ることにより、リーダーシップの効果を高めることができます。

LLMで生成した具体例:
「クリエイティブ・ソリューションズ」は、リーダーシップ開発プログラムの一環として、ハーマンモデルを用いた実践的なプロジェクトを行いました。Aタイプのリーダー「田中さん」は、新しい広告キャンペーンの目標設定において、論理的かつ効果的な指標を定めることに長けていましたが、Dタイプのクリエイティブディレクター「佐々木さん」が提案した、感情を動かすストーリーを用いたビジュアル広告には自らは思い至りませんでした。佐々木さんの提案したキャンペーンは、ある有名なスポーツ選手の日常を追ったドキュメンタリー風の広告で、視聴者に選手の情熱と挑戦の姿勢を感じてもらうことを目的としていました。田中さんは、この大胆なアプローチを取り入れることで、キャンペーンは大きな反響を呼び、クライアントのブランドイメージを飛躍的に向上させました。ABタイプのリーダー「小野さん」は、このプロセスを通じて、自身の論理的な思考に感情的な要素を取り入れることの重要性を実感し、リーダーシップの幅を広げることができました。

※ChatGPT4.0 Turbo

■番外編:LLMのプロンプティングとAIエージェント

上に示した3つの具体例の作成には、LLMを用いましたが、何度かやりとりを行ってブラッシュアップさせたのでその過程をご参考までにお示しします。

①事前準備

いきなり答えを求めるより、その前提などの話題を振って思考の過程を作るようにすると精度が上がるそうなので(CoT: Chain of Thought)、最初はハーマンモデルについて、従業員に説明するように命令しました。役割や条件を与えることも重要です。

あなたは大企業の人事担当者です。長年組織運営や人の心理などについて勉強、経験しているベテランで、経営理論にも精通しています。ハーマンモデルについて、従業員に分かりやすいように説明してください。

入力プロンプト①(返答略)

②最初の指示

その後、前回の記事や今回の記事の途中までを示して、具体例を考えるよう指示しました。

知見を活かして以下のような記事を執筆中です。 特に後半の、「■組織での活用」の箇所、<組織開発>、<コミュニケーション戦略>、<リーダーシップ開発>について、具体例が足りていないので、実際の仕事の現場で起こりうる具体的な例を提示して、組織での活用方法に深みを持たせてください。
#記事(略)

入力プロンプト②(返答略)

③60点⇒70点

その後は、私が出力結果を読んで(レビューし)、もっとこうしてほしいと繰り返し要求しました。相手が人の場合は点数とか提示しないですが、LLMの場合は良いかもしれません。(また今回はやりませんでしたが、こんな出力形式で出力してほしいという例を複数提示することで、LLMに分かってもらうのも非常に有効な手段です:In-context Learning)

ありがとうございます。提案は60点くらいです。100点にするためのアドバイスを以下に記載するので、再度生成をお願いします。
#アドバイス
・機械的に各タイプと人を当てはめているように見えます。人間同士の日々の営みが感じられないため、もっとしみじみ感のある、人と人との関係性を深掘りした分析を交えた文章を生成してください
・元々の例では、ABタイプやCDタイプなど二つの特性を組み合わせた例を挙げていますが、具体例では、Aタイプ、Dタイプなど一つの特性のみを持つ人も登場させてください

入力プロンプト③(返答略)

④70点⇒80点

ありがとうございます。良くなりました。70点くらいです。100点にするためのアドバイスを以下に記載するので、再度生成をお願いします。
#アドバイス
・「コミュニケーション戦略」の「戦略」とは、リソースの配分のことを指します。つまり、人員配置の最適化、適材適所の意識づけ、不足している役割の担当者の補充、という視点を含めた例にしてください
・全体的にABタイプやCDタイプなど複数のタイプを持っている人の登場回数が少ないです。もう少し増やしてください
・具体例がまだ抽象的です。例えばキャンペーンのアイデアであれば、具体的にどんなアイデアなのか、Aタイプの人はなぜDタイプの人が作ったアイデアの発想が出てこなかったのか、それぞれの特徴をもう少し深掘りしたうえで、より詳細な説明をしてください

入力プロンプト④(返答略)

⑤80点⇒90点

やはり「ステップバイステップ」(CoT)は精度上がる気がする。

ありがとうございます。良くなりました。特にリーダーシップ開発は良いです。3つの具体例全体として80点くらいです。100点にするためのアドバイスを以下に記載するので、再度生成をお願いします。
#アドバイス
・今までのアドバイスを再度読み返して、ステップバイステップで検討ください
・<コミュニケーション戦略>でのみ「人員配置の最適化」という言葉を使い、<組織開発>や<リーダーシップ開発>では「人員配置の最適化」という言葉を使わないでください
・もう少し文字数を増やして、具体例の詳細内容を入れてください

入力プロンプト⑤(返答は前述「LLMで生成した具体例」3つ)

⑥90点⇒80点

ありがとうございます。更に良くなりました。90点くらいです。最後に、文章作成のプロ、ビジネス雑誌の編集者として、今生成いただいた内容をあまり変えずに、読み手に刺さる表現や論理展開を意識して編集し、100点に近づけるために、再度生成をお願いします。

入力プロンプト⑥(返答略)

最後⑥は、編集者として更にブラッシュアップさせようとしたのですが、実際に生成された文章は劣化してしまったので、結局はその前の⑤の出力を掲載しました。ちなみに、「ステップバイステップで」は、「深呼吸をして、ステップバイステップで」の方がもしかしたら良かったかもしれません(「深呼吸」も出力精度を上げる有名なフレーズです)。あと⑥でもこのフレーズ入れていれば、精度は上がったかもしれないですね。

こうしてやってみると、プロンプトを工夫して何度もLLMに実施させて精度を上げていくのは、AIエージェントシステム(※1)みたいだなぁと感じました。ここでは私が全体をコントロールする(指示出しする)エージェントや内容を評価(レビュー)するエージェントなどを担っていますが、プロンプトの工夫に関する知見はエージェント設計にも役立つので、よりよいAIエージェントシステムを作るには、自分で工夫してやってみるのがより良い設計への第一歩なのだと改めて感じたのでした。(最後、ハーマンモデルに関係なくてすみません)


※1 AIエージェントシステム:
今回の例に当てはめると、具体例を作成するエージェント、指示を出すエージェント、内容をレビューするエージェントなどなど、様々な役割を与えられたAIエージェントが、自律的に自動で相互にやり取りし出力(目的達成)までを実施するシステムのこと。


お気軽にお声がけください。
X: @keisuketanabe
Linkedin: tanabekeisuke
本noteについて|Keisuke Tanabe

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?