前回に引き続き、ハーマンモデルについて説明します。
前回はこちら(ハーマンモデル(1/2))
(後半は番外編として、LLMのプロンプティングとAIエージェントについて記載しています。思いのほかこちらが長くなってしまいましたが、今話題だしハーマンモデルの内容とセットで読むのも面白いので、分けないでおきます)
■組織での活用
<組織開発>
ハーマンモデルを組織開発に活用することで、個々の社員の強みを理解し、それを最大限に生かすことができます。たとえば、新しいプロジェクトチームを編成する際には、各タイプのバランスを考慮してメンバーを選出することが重要です。ABタイプの人は計画立案や実行に向いており、CDタイプの人はチームのコミュニケーションを円滑にする役割を果たすことができます。ADタイプの人は革新的なアイデアを提供し、BCタイプの人は安定した運営を支えることができます。
<コミュニケーション戦略>
ハーマンモデルを活用して、組織内のコミュニケーション戦略を構築することも可能です。例えば、組織内のトレーニングプログラムを設計する際に、各タイプに合わせたコミュニケーション手法を取り入れることで、より効果的な学習が促進されます。また、社内報や会議の進行方法等にも、各タイプの特性を考慮したアプローチを取り入れることで、全員が参加しやすい環境を作ることができます。
<リーダーシップ開発>
リーダーは組織内で多様なタイプの人々をまとめ上げる役割を担います。ハーマンモデルを理解し、活用することで、リーダーは自身の強みと弱みを知り、それを補完するために他のタイプの人々と協力する方法を学ぶことができます。また、リーダー自身がABCDタイプでなくても、チーム全体でABCDバランスを取ることにより、リーダーシップの効果を高めることができます。
■番外編:LLMのプロンプティングとAIエージェント
上に示した3つの具体例の作成には、LLMを用いましたが、何度かやりとりを行ってブラッシュアップさせたのでその過程をご参考までにお示しします。
①事前準備
いきなり答えを求めるより、その前提などの話題を振って思考の過程を作るようにすると精度が上がるそうなので(CoT: Chain of Thought)、最初はハーマンモデルについて、従業員に説明するように命令しました。役割や条件を与えることも重要です。
②最初の指示
その後、前回の記事や今回の記事の途中までを示して、具体例を考えるよう指示しました。
③60点⇒70点
その後は、私が出力結果を読んで(レビューし)、もっとこうしてほしいと繰り返し要求しました。相手が人の場合は点数とか提示しないですが、LLMの場合は良いかもしれません。(また今回はやりませんでしたが、こんな出力形式で出力してほしいという例を複数提示することで、LLMに分かってもらうのも非常に有効な手段です:In-context Learning)
④70点⇒80点
⑤80点⇒90点
やはり「ステップバイステップ」(CoT)は精度上がる気がする。
⑥90点⇒80点
最後⑥は、編集者として更にブラッシュアップさせようとしたのですが、実際に生成された文章は劣化してしまったので、結局はその前の⑤の出力を掲載しました。ちなみに、「ステップバイステップで」は、「深呼吸をして、ステップバイステップで」の方がもしかしたら良かったかもしれません(「深呼吸」も出力精度を上げる有名なフレーズです)。あと⑥でもこのフレーズ入れていれば、精度は上がったかもしれないですね。
こうしてやってみると、プロンプトを工夫して何度もLLMに実施させて精度を上げていくのは、AIエージェントシステム(※1)みたいだなぁと感じました。ここでは私が全体をコントロールする(指示出しする)エージェントや内容を評価(レビュー)するエージェントなどを担っていますが、プロンプトの工夫に関する知見はエージェント設計にも役立つので、よりよいAIエージェントシステムを作るには、自分で工夫してやってみるのがより良い設計への第一歩なのだと改めて感じたのでした。(最後、ハーマンモデルに関係なくてすみません)
※1 AIエージェントシステム:
今回の例に当てはめると、具体例を作成するエージェント、指示を出すエージェント、内容をレビューするエージェントなどなど、様々な役割を与えられたAIエージェントが、自律的に自動で相互にやり取りし出力(目的達成)までを実施するシステムのこと。
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本noteについて|Keisuke Tanabe