ハーマンモデル(1/2)
■ハーマンモデルとは
<前提>
ハーマンモデルは、MOT(技術経営)で経営戦略の「戦略的人間関係の構築 – 自分(他人)の思考のクセを理解して人間関係をうまくやろう」(西村克己)(※1)という講義の中で学びました。
この講義は個人的にかなりはまってしまい、講義以降、相手がどのようなタイプなのかモデルに当てはめて考えるようになり、客観的に人と接することができるようになった気がします。講義を受けて10年以上たった今でもよく使っています。
この人はこのタイプだからこういう風に接するとうまくいくかなとか、この人はこのタイプだから自分と考えが合わないけど、でも組織としてはこういう人は重要で、言っていることをきちんと理解すれば、自分も成長できるかな、とか思ったりしています。
ですが、人は4つのタイプになんか分けられません。ステレオタイプの決めつけはかなり危険ではあるのですが、人は複雑なものを複雑なまま処理するのは苦手です。何かに思い悩んだり抵抗を感じたりしたときには、一旦物事を単純にしたうえで、少し客観的に世の中を見ることも必要です。DE&I的な観点でも、自分と異なるタイプの人とどううまく付き合っていくのか、違いをうまく活かすにはどうすればよいかを考えることは大切です。ハーマンモデルはみんな違うことが前提の世の中において、他人のことを理解し、リスペクトするための一つの道具としてとても役に立つものだと思うのです。
<概要>
ハーマンモデルは有名な理論で、検索すればいくらでも解説は出てくるので、モデル自体の説明はAIモデルに書かせた方がまとまった情報を得られると思います。
執筆時、Perplexity(※2)に、「ハーマンモデル」と打って回答させたものは以下(図1)、せっかくなのでBingのも付けておきます(図2)。
(PerplexityやAIについては色々語りたいこともありますが、一旦ここでは一つの少し曖昧な情報源として見ていただければ)
講義資料を元に、別のまとめ方をしたのが図3です。
似たような説明が3つもあるので、各タイプがどのようなものか大体はつかめたと思います。
当たり前ですが、各タイプ間に優劣はなく、得意/不得意や合う/合わないがあるだけです。また生まれ持った優位脳は30%、残りの70%は訓練次第で変化できるそうです。たしかに、自分のタイプも相手や場面によって少し変わることもあるかもしれないなと思いました。私はAとDが強いのですが、Bタイプの人と会話していると、よりDの要素が強く出てきてしまいます。BとDは相性が悪いので、そういう時は出来るだけAの要素を出すように心がけています。
重要なのは、全てのタイプの人が組織内で良好なコミュニケーションがとれれば、組織力は最大化する、ということです。DE&I的にこれはとても重要です。自分と合わない人とどう向き合うのか、違いがある人同士を適切にマネジメントできれば組織の力が大きく向上するのです。
<複合タイプ>
4つのタイプについて、ABタイプやCDタイプのように、二つ以上のタイプを併せ持っている人もいます。ABタイプは理性派、実務的で現実的、BCタイプは現実派、安定した仕事に向いているようです。CDタイプは感性派、人間関係の仕事に向いていて、ADタイプは知性派、研究者向きのようです。
ABCDタイプは、全体の約2.5%しかいないそうです。ABCDタイプはリーダー向きですが、ほとんどいないので全体でABCDをバランスよく配置し機能させるのが良いようです。
同じあるいは似たタイプの人と一緒にいると、仕事がやりやすいですが、一緒に間違った方向に行ってしまうリスクがあります。単発、小規模であれば問題ない場合もあるとは思いますが、長期、大規模を意識したときには様々なタイプが混ざり合っている状態、つまり多様性を重視した組織を戦略的に取ることが、組織としての安定性を確保する上で非常に重要なことなのです。
■私の場合
<仕事>
私はAが強めのADタイプと自分では思っています。仕事ではたまにBが出ることもありますが、自分以外にBの人がいるとよりDの要素が浮き彫りになる気がしています。ルールそのものよりもなぜそのルールがあるかの方が大事で、基本的にはそのなぜに応えていればルールは破っても構わないと思っているので、ルールを守りしっかり計画をしている人とは意見が合わないのです。Bタイプの口癖「前例がない、ルール違反」、Dタイプの口癖「なんとかなるさ」、と書いてある通り、正にぶつかることが多いと感じます。実際にこのようなことが起きたときに、ハーマンモデルを頭に思い浮かべながら会話するのとそうでないのとでは、全然違います。(この人はBタイプなので、自分と思考の方向性が全然違うんだな、でも言っていることはもっともなことで、自分の自由奔放な意見はある程度この人の意見によって制限されるくらいが、組織として良いパフォーマンスを上げるにはちょうどいいかもしれないな)などと考えることもあります。この人はこういうタイプだからと、どこかで納得できれば、ある程度は気持ちもおさまるものです(もちろん毎回そんなにきれいに行くわけではないですが)。
組織の管理職としてはどのタイプの人とでもコミュニケーションが取れるような環境づくりに専念する必要があります。繰り返しになりますが、全てのタイプの人が組織内で良好なコミュニケーションがとれれば、組織力は最大化するからです。
最初の前提で申し上げた通り、人は4つになんか分けられません。人には色んな側面があり、そのうちの一つがハーマンモデルのタイプに過ぎないので、ある視点から見れば全然合わない人とでも、別の視点から見るとしっくりくる、意見が合うということはたくさんあります。辛い、きつい、というときにそれを和らげるツールとして、また組織全体を考えるときなどに利用し、人それぞれと向き合うときはたくさんある人の側面のほんの一部でしかないと考えることが大切だと思います。
<家族>
コンサルという職業柄か仕事中にCの要素が出てくる場面は少ないのですが、子どもと接するときはCがないとどうにも成り立ちません。子どもはそもそも、小さい頃はAタイプはいなく(※3)、論理的に話しても全く通じないからです。私はどうしても癖なのか、「それは論理的に正しくない」などと言いたくなるのですが、そこは押し殺して、「そうだね」とか「すごいね」とか「かわいいね」とか言っています(テキトーに返事しているわけではないです。ちゃんと聞いた上で、論理的な反論をしないように言葉を選んでいます。ほんとですよ)。
一般的に男性はAが多く、女性はCが多いそうですが、恐らく私のパートナー(妻や夫という性を意識した言葉よりインクルーシブな表現らしいです。保育士とか客室乗務員とかと同じ?時代と共に変わるのでしょうか)は、CDタイプと思います。Dの部分が心地いいので一緒にいて、相性がいいなとよく感じます。
ですが、うちにはBタイプがいない。同じことが出来ない、ルーティンが出来ない、正確に出来ない、よく忘れる、よく間違える。私のパートナーは非常に行動力があり旅行好きで、よく飛行機や電車の特急、宿やお店などの予約を取ってくれるのですが、日付を間違える、ダブルブッキングする、仮予約のまま、など本当に多いのです。あまりに多いからできるだけ転送してもらい、私の方でも確認するようにしているのですが、転送しないこともある、私も確認が漏れることがよくある、ということで、どうにもこうにもうまくいかず。まぁいいか、なんとかなるか、というDタイプ丸出しで過ごしています。両親がこんなだからか、子どもたちもだんだんDが強くなっていっているような気がします。気のせいでしょうか。
※1 芝浦MOT大学院講義資料「戦略的人間関係の構築」(西村克己)
※2 Perplexity: AI検索エンジン(perplexityを一般の人に分かるように短い文で説明してください)
※3 Aタイプが小さい子供にいないというのは私の予想です。10歳くらいまでは論理的に考えられない(例えば1kgの鉄と1kgの綿、どっちが重い?という問いに、10歳くらいまでは鉄と答えるらしい)とどこかで聞いた記憶はあります。
お気軽にお声がけください。
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Linkedin: tanabekeisuke
本noteについて|Keisuke Tanabe
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