「仕事の準備」は仕事じゃない? ラジオ愛好家の先輩に覚える違和感
最近、「令和世代が引いていること」というトピックが話題になっていますね。その中でも特に、「始業1時間前に来て仕事の準備をするのは当たり前」という意見には、令和世代ではない私も啞然としてしまいます。
本当に、そのようにお考えの方がまだいらっしゃるのでしょうか。
仕事の準備とは、一般的にはメールチェック、スケジュール確認、必要な資料の印刷などでしょう。
しかし、私は「仕事の準備」は業務時間に含まれるべきだと考えています。
確かに私も新卒の頃は、1時間前に出社して機器のマニュアル確認や、資料の最終チェックなどを行っていたこともありました。でも、今ではせいぜい始業の10分前に席についていれば十分だと思っています。本人の努力であれ何であれ、朝早く来て仕事をしていたら、労働基準法の埒外にある不正な労働ではないでしょうか。
え? 10分前に席につくなんて、電車遅延があったらどうするの?
勤勉な方からは、そんなお声もあるかもしれません。
しかし、急いで行くよりも、労働者が自分の自由な時間を守りながら、安全に出社できる方が大事ではないでしょうか。電車遅延はどうしようもないのだから、遅れは管理側が想定・対策しておくべき。なぜ労働者だけがそれに備えてあらかじめ早く着く必要があるのか、本当に理解しがたいです(しかも、無償!?)。
もっと言うなら、勤務先で制服に着替える時間も仕事時間に含めるべきだと考えています。だって、仕事のために指定された服に着替えるのに、なぜそれが労働時間として認められないのか理解に苦しみます。
サービス残業もサービス早出も、労働者に対する搾取であり、労働者の目線からは賛成できません。これでは経営者だけが幸せで、労働者が蔑ろにされ過ぎているように感じます。
毎日1時間早出するなら、1か月でおよそ20時間ものサービス早出になります。その時間で家族サービスやらセルフケアやら婚活やら、自分の人生に時間を使えるでしょう。
このような特殊な趣味嗜好は、家族や恋人との時間を奪い、少子化にも悪影響を及ぼすに違いありません。
そういえば以前、40代くらいの男性の先輩と電車で一緒に帰る機会がありました。
気まずい沈黙を避けるためにあれこれ話を振り、仕事の話題になった際、彼は「いつも始業の30分前に来て、資料やタスクの整理を行ってから仕事に臨んでいる」と話しました。
思わず「えー、それってつまり仕事してるじゃないですか」と言うと、彼は固まり、「いえ、仕事の準備は仕事に含まれません」と固い口調で返します。
「でも、資料やタスクの整理って仕事ですよね?」と聞くと、岩のような不動の面持ちで「いえ、仕事の準備は業務中にやるものではありません」と繰り返します。
ピリッとした空気を感じたので、私はこれ以上深入りするまいと思い「そうなんですねー」と話を流して趣味の話題に切り替えました。
彼は今でも古典的なラジオが趣味で、お気に入りの番組を聞くのが毎日の楽しみなのだそうです。
「えっ、すごい! 私、ラジオってもうスマホとかで聞くものだと思っていました。でも、ちゃんとラジオを前にして聞くのは趣があって楽しそうですね。やっぱり、ポッドキャストとかで聞くのとは違いますか?」
と聞くと、彼は嬉しそうにその魅力を語ってくれました。なんでも、ラジオを前にして番組の開始を待っている瞬間が、なんとも言えない高揚感を生むのだとか。
私は「それは少し分かる気がします!」と答えながら、内心ではあまり同意できませんでした。
実は、私は20年ほど前から、テレビを見るのをやめています。
理由は単純で、「見たい番組を見るために、自分がわざわざ時間を合わせてテレビの前にいなければならない」という状況がどうにも気に食わないのです。テレビに自分の時間を支配されたくない、という謎の反発心ですね。YouTubeやNetflixが普及した今の世界は、ようやく時代が追いついた感じで、とても快適です。
だから、ラジオのためにわざわざ放送時間を待つ……と言われると、「自分ならイライラするだろうな」と思ってしまいます。
そんな、昔ながらの価値観を大事にし、誰かの都合に合わせることを良しとする先輩には、共感しにくい部分があります。
でも、多様性は大切です。
自分と違うからといって否定するつもりはありません。それも大切なパーソナリティです。
ただ、「仕事の準備を労働時間とみなさない」という考えから生まれる行動には、やはり疑問が残ります。こういう仕事の仕方をする人が多い職場では、一緒に働く人も息苦しさを感じてしまうでしょう。
結果的に、多くの人が嫌々ながらそれに倣ってしまい、組織全体の幸福を損ねてしまうのでは? という懸念が頭を離れません。
お互いに尊重しながら「人は人、自分は自分」と割り切って働けるなら、それが一番良いのかもしれません。
仕事のために生きるのか、幸せのために生きるのか……。
選択は人それぞれかもしれませんが、できれば、個人の尊厳を大切にし、ワークライフバランスを重視する社会であってほしい。
そう願うYeKuでした。
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