【詩】人のいない街が好き。
悲しいことがあったから、
人がいないわけじゃなくて。
朝やけの静けさ。
嵐の前の空っぽ。
誰かがいるはずなのに、誰もが息をひそめて
どこか安全な壁の中で包まれて。
そんな時、自分だけが街を歩いていると。
いつもみんなで使っている
大きな街を独り占めするみたいで。
いつもみんなで大事にしているから
きれいで、快適で。
いつもみんなのものだけど
今だけ、特別だよ、って、許されて。
そっと見守られているような気がして。
何者でもない私が、主人公みたいに
スキップしたり、胸を張って真ん中を歩いたり。
特別な瞬間を少しだけ味わって。
みんなに返す気持ちで、
特別な時間はおしまい。
おうちに戻っても
胸に誇りの息吹がまだあって。
だから私は、人のいない街が好き。
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