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アジアカップ出場各国の帰化、二重国籍選手



前回大会の記事はこちら

◆パターン分け

パターン①

血縁関係ない選手の国籍取得、いわばサッカーの為だけの王道の帰化
日本でいえばラモス瑠偉、呂比須ワグナー、アジアではカタールのセバスチャン.ソリア(ウルグアイ)やUAE、中国のブラジル出身組など。
現在はその国に居住して5年以上たたないとAマッチに出れない規程。なのでデメリットとしては時間がかかる。大抵30代以後になって全盛期を過ぎ、帰化どころか同化しちまってる場合も

パターン②

二重国籍パターン
オーストラリア、カタールのような移民国家は当たり前のようにいる。
日本や中国など二重国籍認めてない国ではハーフ、または一方の国籍を放棄するケース。日本の現代表なら鈴木彩艶、野澤大志ブランドンがハーフ。

パターン③

近年増えてるのがUターン型(または逆輸入)。②との違いは生まれも育ちも他国である点。だがルーツがある国の代表を選択するパターン。
中国の蒋光太李可(共に英国出身、中国系)が該当するが、中東諸国に多い。特にイラク、シリアなど政情不安の国から北欧移民のパターンが多い。
1番著名なイランのゴッドスのように、スウェーデン代表歴ある実力者も。

アジアカップ参加各国の状況

ソースはWikipedia、TransferMarkt、中国のアプリ懂球帝など

◆グループA

カタール

開催国、前回優勝チーム。
かつてはパターン①で派手にやっていたが、近年はアスパイア・アカデミーに代表されるように育成からコツコツ。そもそも移民国家で、純カタール人が少ないので、そもそもカウントする意義も?なのだが
今大会参加メンバーで少なくとも15人が帰化または二重国籍
Pedro Miguel(ポルトガル/カボベルデ)Bassam Al-Rawi、Mohammed Waad(イラク)Ahmed Fatehi、Salah Zakaria、Mostafa Meshaal、Ahmed Alaaeldin(エジプト)Ali Assadalla(バーレーン)Almoez Ali
、Meshaal Barsham、Abdulaziz Hatem、Yusuf Abdurisag(スーダン)Boualem Khoukhi(アルジェリア)Akram Afif(タンザニア)Lucas Mendes(ブラジル)
パターン①に該当するのは最近代表入りしたLucas MendesやKhoukhi、Pedro Miguelあたりか。殆どはパターン②

中国

今大会では蒋光太(Jiang Guangtai)パターン③に該当。
直前で離脱した李可(Li Ke)同様に中国系のルーツ持ち、英国で生まれ育ちイングランド年代別代表歴あり。19年中国へ来て国籍を取得。
前回大会以降、協会やクラブ(というか広州恒大)が巨額投資し多くのブラジル出身者(パターン①)中心に中国代表入りさせようとした。しかし①は5年以上中国でプレイ、全盛期を過ぎてしまう。高齢化に加え、資金源広州恒大の経営難などで殆どの選手は去った。残ったのは血縁ありの比較的若い選手たち。非血縁者の帰化は当分無いだろう(金もない)。
例えばリカルド・グラルの帰化に4億人民元(約80億円)を費やした結果、1度も代表召集されることなく中国を去り引退。金をどぶに捨てた
あと戴偉浚(DaiWeijun/DaiWaitsun)香港出身で香港の年代別代表招集歴あり。英国で育ち、中国本土の代表入り。同じ国だが協会は別。

レバノン

隠れた移民大国。今大会登録中二重国籍は12人
Mehdi Khalil、Walid Shour(シエラレオネ)Yahya El Hindi(オーストラリア)
Soony Saad(マレーシア)Hilal El-Helwe、Omar Chaaban(ドイツ)Robert Alexander Melki、Mouhammed-Ali Dhaini(スウェーデン)Jihad Ayoub(ベネズエラ)Bassel Jradi(デンマーク)Gabriel Bitar(カナダ)Daniel Kuri Lajud(メキシコ)
欧州、アフリカ、南米、北米、全世界から散らばっている。それぞれの背景は省くが、恐らくパターン②か③
個人的に注目はFWラユド(DanielLajud)メキシコ育ち、昨年はメキシコ1部(2部相当)アトランテで13得点のアタッカー。

タジキスタン

旧ソ連のウズベキスタン、キルギスなどと同様にロシアとの被りが多い。まあずっと同じ国だったから当たり前だが。
ブルガリアでプレイするキャプテンのウマルバイェフ(Parvizdzhon Umarbayev)筆頭に、Rustam Yatimov、Amirbek Juraboev、Alisher Dzhalilov、Ruslan Khayloevの5人がロシアとの二重国籍。
大会初出場だが、年代別ではU16が準優勝するなど躍進しそう

◆グループB

オーストラリア

カタール同様、お国柄多いのは当たり前なので詳細は割愛。
Mathew Ryan、Harry Souttar、Martin Boyle、Aiden O'Neill、Cameron Burgess、Jackson Irvine (スコットランド)Gethin Jones(ウェールズ)Samuel Silvera、Kusini Yengi(イングランド)Lawrence Thomas(イタリア)Jordan Bos(オランダ)Aziz Behich(トルコ)Keanu Baccus(南アフリカ)Thomas Deng(南スーダン)Joe Gauci(マルタ) またPatrick Yazbekがレバノン系、、
FWフォルナロリ(Bruno Fornaroli)が唯一パターン①、ウルグアイ出身36歳のベテラン。15年から同国でプレイし22年に代表入りした。

ウズベキスタン

Igor Sergeyev、Abdukodir Khusanovがロシアとの二重国籍。パターン②、旧ソ連なのでまあ当然か。個人的に注目は後者のDFフサノフ(Abdukodir Khusanov)はU20ワールドカップで活躍し、フランス・ランスへ移籍。欧州CLにも出場。今後アジア代表するDFになるかも。

インド

今大会メンバーは二重国籍や帰化選手は確認されず(いたら教えて下さい)
まあ顔つき見ても、大きな国なのでチベット系は東アジアの顔だし、黒人系、白人やアラブ系、、そもそもが多民族国家なのだ。

シリア

戦乱で不安定な国情もあり、スウェーデン筆頭に北欧などの移民系は以前から多かった。
今大会では24歳のDFオウス(Aiham Ousou)が初招集。スウェーデン生まれ、22年親善試合でスウェーデン代表1試合出場のCB。現在チェコのスラビアプラハ所属。今年シリア代表選択
他にも欧州育ちのAntonio Yakoub(フィンランド)Maksim Sarraf(ロシア)Elmar Abraham(スウェーデン)Abdul Rahman Weiss(ギリシャ生まれ育ち、U21ギリシャ代表歴)、いずれも若いまたはキャリア殆ど移住先で過ごしており言葉とか話せるのか・・?

なお現監督はあのエクトル.クーペル。その関連もあり近年南米路線を開拓。アルゼンチンや南米からの輸入。特にアルゼンチンにはシリア系移民が150万人いるらしい、多い。
まず南米出身の即戦力2人を紹介、しかし国籍取得したばかりですぐには活躍できないパターンだが長期的にどうなるか注目
2人以外にもEzequiel Ham(アルゼンチン生まれ育ち、18年FC岐阜に在籍。)Ibrahim Hesar(アルゼンチン)が今大会メンバー入り

MFエリアス(Jalil Elias)
96年アルゼンチン生まれ、昨年サンロレンソで25試合2得点。24年からマレーシアのジョホール(JDT)加入。シリア移民の血を引くが、この帰化はシリアだけでなくジョホールも絡み、資金はジョホールが提供してるらしい。ジョホールとしてもアルゼンチンリーグ主力級がAFC枠になるメリット&契約期間中は必ず在籍する条項を設けてる模様。

FWサバグ(Pablo Sabbag)
コロンビア出身の27歳、昨年はペルーの名門アリアンサリマで21試合9得点。チームは決勝(春優勝チームと秋優勝チームの優勝決定戦)で敗れ2位だったが2試合とも出場している。彼もシリア移民の後裔

◆グループC

イラン

二重国籍は前述のMFゴッドスのみ。スウェーデン代表経験あり、欧州5大リーグ(フランス・イングランド)で長くプレイする実力者。
イランも他の西アジア諸国同様政情不安で国外移民したパターン②、③は多いはずだが、W杯出場国クラスは自前で充分選手を育成でき移民系に頼る必要もないのは羨ましい。

ワールドカップにも出場したゴッドス。

UAE

既にブラジル出身のファビオ.リマ(Fabio Lima)カイオ(Caio)が代表入り。彼らはみな5年以上同国でプレイし30歳を超えたパターン①。脅威ではあるが、同国のエース、マフブートを凌駕するには至っていない。あとAbdalla Ramadanがエジプト国籍あり Ali Sarehが母スコットランド
同国でむしろ気になるのは、20歳前後の他大陸出身の若手が多量に同国クラブに加入している。例えば今季ACLで同国最強のアルアインは、少なくとも5人の欧州、アフリカ、南米出身の20代前半の若い選手が在籍。
青田買い→国籍取得→今後代表入りを目指すのは確実。今後こっちが脅威になるかもしれない

ファビオ・リマ。93年ブラジル生まれ。14年からUAEへ渡りアルワスルで150ゴール以上

パレスチナ

こちらも地味に移民大国。イスラエル5人の他、例によってスウェーデンが多く、Amr Kaddoura/Michel Termanini。今大会スウェーデン系選手だけで1チームできそう。
チリにはパレスチナ人のクラブがあるほど多いが、今大会ではCamilo Saldanaのみ。他にMohammed Rashidはアメリカ、Yaser Hamedはスペイン、Mousa Farawiはヨルダン。

香港

旧宗主国英国や欧州系の人が多く、欧米系のパターン②、③が多い。
エース格のFW安永佳(Matt Orr)は父がニュージーランド人で同国籍も保有。昨年中国2部得点ランク2位。DF陳晋一(Shinichi Chan)は東京出身で日本/香港のハーフ。DF周縁徳(Oliver Gerbig)はドイツ系、DF謝家強(Sean Tse)は英国出身でイングランド7部相当でプレイ。
FWウデブルゾル(Michael Udebuluzor、父ナイジェリア人)DFヌニェス(Vas Nuñez英国/メキシコハーフ)Everton Camargo、Stefan Pereira、Juninho、Hélioはいずれもブラジル出身、パターン①の帰化選手。

安永佳、サウジアラビア戦後サウジコーチのヤヤ・トゥーレと

◆グループD

日本

二重国籍不可だが、近年パターン②(ハーフ)の選手が急増。今大会代表は鈴木彩艶(ガーナとのハーフ)野澤大志ブランドン(アメリカハーフ)
自前で三苫、遠藤航、久保、、のような選手を輩出できるので、パターン①に頼る必要もないが、サッカーより日本社会の外国人増加傾向で、ハーフの選手はどんどん増えていく。アジア諸国の中では珍しいパターンかも

イラク

フセイン政権、アメリカの進攻、、長く政情不安だった影響が北欧中心に移民が多く、半数が二重国籍や国外出身者
Rebin Sulaka、Hussein Ali、Allan Mohideen、Amir Al-Ammari、Danilo Al-Saed、Montader Madjed(スウェーデン)Frans Putros(デンマーク)
Merchas Doski、Youssef Amyn(ドイツ)Ali Al-Hamadi、Zidane Iqbal(英国)
Osama Rashid(オランダ)Ahmad Allée(フランス)
注目はMFジダン・イクバル(Zidane Iqbal)。マンチェスターUでは定着できなかったが、オランダのユトレヒトで再起を図る。

ベトナム

セレッソ大阪に在籍したGKダン・バン・ラム(Đặng Văn Lâm/ロシア出身)が負傷で招集外も、代わりにGKフィリップ・グエン(Nguyễn Filip)チェコ出身でチェコ代表招集歴も。23年からベトナムリーグに移り今大会で代表入り。
他にもベトナム系移民は世界中におり、20人以上の候補がリストアップされているとか。

インドネシア

以前も南米や欧州からの帰化選手はいたが、近年旧宗主国オランダ中心に欧州のインドネシア系選手が急増。今大会のメンバー中Shayne Pattynama/Marc Klok/Ivar Jenner/Justin Hubner/Rafael Struickの5人がオランダ生まれオランダ育ち。パターン③。Elkan Baggott、Sandy Walshが英国。
最大の大物はDFアマト(Jordi Amat)スペイン1部リーグやプレミアで長くプレイ、スペイン年代別代表歴ある実力者。祖母がインドネシア・マカッサル島出身で22年にインドネシア代表入り。現在マレーシア・ジョホールに。


◆グループE

韓国

純血、日本など同様移民や帰化選手に頼る必要ないのも事実。ソンフンミン、キムミンジェ、ファンヒチャンのレベルはブラジルにもそういない。
90年代ロシア出身選手が帰化したが代表入りはしていない。値する選手がいなかったのか、方針の問題か、筆者知る限り外国出身の代表選手はいない。

マレーシア

他の東南アジア諸国同様移民系だけでなく帰化も多く12人
Endrick/Paulo Josué(ブラジル)Mohamadou Sumareh(ガンビア)Natxo Insa(スペイン)Romel Morales(コロンビア)がパターン①。
他にオーストラリア、イングランド等欧州系が多く、Daniel Ting/Darren Lok(英国)Matthew Davies/Stuart Wilkin/Brendan Gan(オーストラリア)Junior Eldstål(スウェーデン)
主将Dion Coolsベルギー育ちで同国年代別代表歴あり。父ベルギー/母マレーシア。クラブブルージュ時代欧州CL出場経験。タイのブリーラム所属。
La'Vere Corbin-Ong、ジョホール所属。ロンドン出身、父バルバドス&母マレーシア華僑。カナダで育ち17年にカナダ代表1試合出場。4か国の代表資格

La'Vere Corbin-Ong どう読むのか、頭の中は何語なんだろう?

ヨルダン

Mohammad Abu Hasheesh(シリア)Bara' Marei(サウジアラビア出身)
Rajaei Ayed(パレスチナ) 詳細は不明

バーレーン

MFモーゼス(Moses Atede)ナイジェリア出身。
MFイブラヒム・アルワリ(Ibrahim AlWali)チャド出身
DFベナディ(Amine Benadi)モロッコ出身、21年にバーレーンに帰化。
恐らく全員パターン①

ナイジェリア出身のモーゼス、現在マレーシアのケダ所属

◆グループF

サウジアラビア

MFムフタル・アリ(Mukhtar Ali)イングランドU17代表歴、チェルシーの下部組織育ち。オランダでもプレイした珍しい国外経験者。ソマリア出身説も。
他に二重国籍は発見できてないが、カタール同様外国出身労働者や移民が多く、国外にルーツを持つ選手はまだいると思われる。

タイ

インドネシア、マレーシアなど同様に欧州中心に移民選手が増えてきた。
今大会のメンバーでは2人。
DFエリアス・ドラー(Elias Dolah スウェーデン出身、父がタイ人) 
DFミケルソン(Nicholas Mickelson)ノルウェー出身、同国U21代表歴あり、母がタイ人。現在デンマークリーグでプレイ。
東南アジア勢の伝統的な弱みを、北欧の高さで補ってる感じか

ドラー。小柄な選手が多いタイ代表で196CMの高さは武器

キルギス

旧ソ連なのでKadyrzhanov(ロシア)Marsel Islamkulov(カザフスタン)、以外にドイツ系が多く、Kai Merk&Kimi Merk兄弟はドイツ生まれ、Kurmanbek Nurlanbekovもドイツ系。
FWコジョ(Joel Kojo)は98年ガーナ出身。17年からキルギスに渡り23年代表入り。現在はウズベキスタンのサマルカンドでプレイ。パターン①

ガーナ出身コジョ

オマーン

Ahmed Al-KaabiがUAEと二重国籍。他は確認できず

◆まとめ、傾向

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