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40代パパが語る「子どもとつながる趣味のカタチ」

💡本記事は、オンラインキャリアスクール「SHElikes」のインタビューライティングコースの実技試験に投稿した作品を再掲したものです。

「子どもが今のところ1番の趣味なのかもしれません」

そう語るのは、IT関係の企業に勤務している柏原康宏さん。私生活では4歳の娘さんと0歳4ヶ月の息子さんを育てている。多忙な毎日を送りながら、どのようにして子どもとの時間を大切にしているのか。数々の幅広い趣味を通じた親子のつながりについて、たっぷりお話しいただいた。


キャリアチェンジで実現させた子どもとの趣味時間

ーー柏原さんは、教員を辞めて現在のIT企業で働かれていると伺いました。なぜ今の会社に転職されたのでしょうか?

いくつか理由はありますが、1番はライフスタイルを変えるためです。以前は中高一貫校で生物を教えていたんですが、もっと家族や自分のための時間を大事にしたくて、時間や場所に縛られない働き方が理想だなと思うようになりました。

今の職場はフルリモートで仕事ができるし、時間もフレックスなので、家族、特に子どもと過ごせる時間がだいぶ増えましたね。

ーー理想の働き方を実現できたんですね。お子さんとの時間はどのように過ごしていますか?

一緒に趣味を楽しんでいます。最近ハマっているのはクッキー作りと家庭菜園ですね。

ーーいいですね。クッキー作りはもともと好きだったのでしょうか?

いいえ、全く。最初は、妻が生まれたばかりの息子にかかりっきりになってしまうので、娘と何か一緒にできることがないか探していたんです。そうしたら、娘の方から「クッキーを作ってみたい」とリクエストされました。試しに一緒に作ってみたら、型抜きやデコレーションの作業がとても気に入ったようでした。

ーー休日に一緒にクッキーを作ってくれるパパ、素敵ですね。

今では毎週「クッキー作ろう」と誘われるので、休日のたびにクッキーを焼いています。おかげでデコレーションのスキルが上がりました。ゆくゆくはアイシングクッキー作りにも挑戦してみたいと思っています。

ーーどんなデザインにしたいですか?

僕も娘も国旗が好きなんですよ。なので、国旗柄のクッキーを作ってみたいねとよく話しています。クッキー型もいろいろあったほうが楽しいので、暇さえあればよくメルカリを覗いていますね。この間は鳥獣戯画に出てくるうさぎとかえるの型を見つけて、思わず購入してしまいました。 

ーーそうなんですね。家庭菜園はどういった経緯ではじめられたのでしょうか?

我が家では毎日食卓にサラダが出るんですけど、その中でもミニトマトの消費が特に激しいんです。それで、「どうせなら家で育ててしまおう」と思って、娘を誘ってホームセンターに苗を買いに行きました。

ーー食育にもなりそうですね。実際にミニトマトを育ててみて、お子さんの反応はいかがですか?

水やりを手伝ってもらっているんですが、僕が庭に出ると「わたしの仕事だ」と言わんばかりに必ずついてきます。ミニトマトがはじめて緑色の実をつけたときは、とても喜んでいました。妻にも何度も自慢していましたよ。

ーーかわいらしいですね。どのくらい収穫できましたか?

それが、この暑さのせいでうまく育ってくれなくて。本当は鈴なりに実がついているところを見せたかったんですけど、なかなかうまくいきませんね。

育て方や肥料についても結構調べたんですが、結局今年は小指の第1関節サイズの実が3,4個できただけでした。それでも娘が喜んで食べてくれたのでよかったです。来年もリベンジしたいので、今メルカリで家庭用のビニールハウスを探しているところです。

「やってみよう」の精神が、すべての趣味を育てる

ーー柏原さんはこれまでにどのような趣味と出会ってこられましたか?

音楽が好きで、独身の頃は好きなアーティストのライブや音楽フェスに行ったり、ドラムを演奏したりしていました。妻がキーボードを弾くので、結婚式の二次会でライブ演奏をしたこともありますよ。あとは鉄道を乗り継いでちょっと変わった駅名を探したり、カフェ巡りや旅行に行ったりするのも好きです。

ーーどんどん出てきますね。趣味にまつわる思い出のエピソードはありますか?

「水曜どうでしょう」という番組にハマって、高校時代の友人と一緒に番組の企画を真似をしたことがあります。サイコロを振って出た目で行き先や移動手段を決める旅をしたんですが、日中だけでなく、夜も夜行バスで移動しっぱなしだったので、旅の間、体がずっと悲鳴を上げていました。

ーー聞いているだけで体のあちこちが痛くなってきそうですね。

でしょう?さすがに今はもうできないので、DVDを集めるだけにとどまっています。

ーーお子さんが大きくなったら、一緒にサイコロの旅をしたいですか?

どうでしょうね、とりあえずDVDを見せて反応を見ようと思います。それで興味を持つようなら、一緒に行ってもいいかな。問題は、そのときに僕の体力が持つかどうかですね。

ーー体力づくりをしないといけませんね。さまざまな趣味をお持ちということですが、柏原さんが趣味を楽しむときに、何か自分の中で軸としているものはありますか?

軸というほど大層なものではないですが、気になることは何でも「やってみよう」の精神でいよう、と決めています。

ーー「やってみよう」ですか?

実際に自分でやってみると、見聞きした情報だけではわからなかったものが見えてきます。そうすると自分の中の情報の受け止め方も変化するので、また違う楽しみ方ができますね。そうやって楽しんでいるうちに、趣味がどんどん増えていきました。

ーーたくさんの趣味の背景には、柏原さんのチャレンジ精神があったんですね。

そうですね。このチャレンジ精神は、子どもと趣味を共有するときにも役立っているんです。さきほどクッキー作りの話をしましたが、一緒にクッキーを作ってみることで、焼き上がりがあまり膨らまない方がデコレーションがしやすいとか、夏場は生地が柔らかくなりやすくて型抜きしにくい、といった新しい発見がありました。

だから「今週もクッキー作りたい」と言われても、「じゃあ次は膨らまないように焼けるクッキーのレシピを探してみようか」と、子どもだけでなく自分も楽しみながら続けられるんです。

ーー親が楽しんでくれると、子どもは嬉しいですね。

子どもよりも楽しんでいるときもあるので、呆れられていないかだけが心配ですね。

子どもの発見が新たな趣味のはじまり

ーー趣味を共有しているということですが、やはり多趣味な柏原さんからお子さんを誘うことが多いのでしょうか?

いえ、基本的には子どもが興味を持ったものや、「やりたい」と言ったものを一緒に楽しむようにしています。たまに、「こういうことやってみない?」と僕から提案することもあるんですが、興味がなさそうなら無理には誘わないようにしています。

ーーなるほど。お子さんがきっかけとなった趣味にはどのようなものがありますか?

たとえば、娘と一緒に散歩に出たら、娘がブロック塀を指さして「見て、いろんな形があるよ!」と言ったんです。それまでまったく気にしていなかったんですが、確かにブロック塀っていろんなデザインのものがあるんですよね。それで、家に帰ってから調べてみたら、そういうブロックのことを「透かしブロック」と呼ぶことを知ったんです。しかも、地域によっては透かしの形も違うんだとか。これは見に行きたい、と思いましたね。

ーー見に行ったんですか?

透かしブロックを探すために、というよりは、家族で旅行したり、お互いの実家に帰省したりしたときに、近所をうろうろしながら透かしブロックの写真を撮りためています。もう写真集が1冊出せるくらいになりました。

ーーお子さんのおかげで趣味の幅が広がったんですね。

そうですね、今の趣味を楽しめているのは、子ども特有の柔軟な視点や発想があってこそです。次は何を教えてくれるのかと思うと、子どもたちの一挙手一投足から目が離せません。そういう意味では、子どもが今のところ1番の趣味なのかもしれませんね。

ーーお子さんと趣味を楽しむようになって、今、何を感じますか?

子どもの姿を見て、成長してるな、と感じることが多くなりました。ついこの間までできなかったことができるようになっていたり、「パパやって」と言っていたのに「自分でやる」と言い出したり。

ーー自分1人で趣味を楽しんでいるときには味わえない気持ちですね。

本当にそう思います。もちろん自分だけの時間がほしくないわけではないですが、極端な話をすると、子どもが大きくなって巣立って行ったら嫌でもそういう時間は増えますから。それよりも、子どもの今だけの姿を間近で見られる方が僕は嬉しいですし、同じ趣味を楽しめることに喜びを感じています。

※ ※ ※

「趣味」と1口に言っても、その楽しみ方は十人十色である。今回お話を伺う中で、柏原さんが子どもと過ごす時間を心から楽しむためのツールとして趣味を活用していることや、趣味を通じた子どもとの関わりが親子間のコミュニケーションを活発にし、絆を深めているということがわかった。

忙しい日々を送る読者の中には「子どもとの関わり方がわからない」「子どもが好きなものに興味が持てない」と悩んでいる人もいるかもしれない。そんな人にこそ、まずは1度「やってみる」を実践してほしい。その経験が子どもとの新しい関係性をつくり、ともに成長していける時間を増やしていってくれるだろう。

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柏原恵理(トトロ)
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