ライカ M10 を選ぶ理由
LEICA M10について書いてみようと思う。
私が購入したのは2022年の暮れ。その1年前にライカのフルサイズデジカメ Q2 を購入していたが、レンズ交換ができない点に物足りなさを感じ、更にシンプルなデザインに魅かれてM10の実機を触ることのないまま購入。それまで所有していたニコン製のハイエンドレンズ群を多数全力で手放しての入手だった。
M10 に限らず Q2 も、「ライカ」というブランドに魅かれて購入したことにウソ偽りはない。"使ってみて買いたくなった"のではなく、"使ったことないけどほしくなった"クチなので、私はただただ「ブランディング」に乗せられて興味を持った人間の一人だった。
不具合 / 不満点
今まで本NOTEでは私の感じた「ライカ」についての所感をいくつか書いてきたがそのほとんどはネガティブ要素が多かった。それは、実際に使ってみて感じた「ブランドへの憧れ」と「高価格製品」という要素からくる"自身の中で勝手に生まれた無根拠な信頼性"や、レビュー記事等で見るような前情報に比べて非常に残念に思う点が多かったためだ。
ライカのレビュー記事は NOTE だけで検索しても無数にHITするのだが、そのほとんどで書かれているものは個人によって感じ方が異なる「官能性」に関してのレビューが多い。かたや純粋に国産カメラとの基本性能・画像処理性能・撮影性能・UIレスポンス等を、中立的に比較している記事が極端に少なく思う。上記リンクの記事内でも記載しているが、実際に使ってみると本当にポンコツな部分が見えてくるのだ。その事を何故世間のほとんどのライカユーザーは発信しないのだろう。無頓着なのか。しかも私が"残念な点"として挙げているファクターさえも人によっては「むしろ愛せる。」程度の表現でしか書けていない記事も見受ける。頭お花畑かよ。
私の記事内でも書いていることだが実際に起きた不具合や不便な点をここにまとめておく。本記事の本題はその下から始まる。
突然、画像再生画面でサムネイルが「破損しているファイル」と表示され再生できなくなった。メモリーカードは古くなく削除ボタンさえ使わない。機内フォーマットも毎日実施していたのに、だ。しかもその後、これまた突然に現象は改善した。(Q2)
ライブビュー撮影中スルー画に電子ノイズが走り、レリーズするとフリーズする。(M10)
画像ファイルに日時が記録されていなかった。一枚だけ。前後は正常なのに。(M10)
スマホ転送時に条件によっては、ファイルに記録される時刻情報が分数までで秒数が記録されないため撮影時刻ソートが正常に出来ない。(M10)
起動とシャットダウンのプロセスに時間がかかりすぎでシャッターチャンスを逃す。(両機種)
測光性能が低すぎてハイコントラストの際に白飛び、黒潰れが多発する。ピーカン下での撮影で使えない。(M10)
さらにはセンサーのハイライト描写能力が極端に低いため、明るい被写体を写したりややオーバーで露出すると空などが直ぐに飛ぶ。(M10)
AWB精度が悪く人物の血色が悪く写る。その割にWBの微調整機能が無い。(両機種)
マジ使えねー。国産カメラの方が優秀だ。どんなにこれから以下の本文で褒めようともこの事実は変わらないから。
と、そんなに長くない期間使用してきた中であってもこれだけ☝️の不具合、不満があるにもかかわらず、最近は比較的多く外へ持ち出している。それは外出するときに防湿庫の中身を見、持ち出す機材を考えて、実際に「使いたい」と思う機材を持ち出してる訳だ。自ら「使いたい」と判断しているのにだ、このように腐しているだけなのは往生際が悪いというか、流石に自分でも素直じゃないような気がしたので、購入した理由、使っている理由を無理矢理にでも書き出してみる。
ライカ M10 を選ぶ理由
私がカメラに求める要素は以下のものがある。それぞれを解説していく。
小型サイズ
重量
フルサイズ
レンズ交換式
永続性
それ以外の理由
まずサイズ。小さい。これが重要な要素。
カバンの中でスペースを取らない。気合を入れている機材に見られにくいサイズ感である。マウントが小さい分レンズも細い鏡筒の物、他現行国産マウントに比べて小型レンズの選択肢が多い。カメラボディもペンタプリズム構造が無い為スリムだ。小さいカメラは好きだ。
私は年々、小型軽量のカメラを求めるようになっている。小型であることは一つの正義だ。大型だったり重たい物等、持ち出すのが億劫になるような物だとどうしても気分が向かない時はまま在る。言い訳はしない。
小さいだけでいいなら小型カメラなんて国産メーカーにもたくさんあるが、フルサイズでレンズ交換式で出来るだけ小型なものがいい。その要素を備えているカメラは、残念ながら国産カメラでは中々無いのだ。α7c? Eマウントはカバーガラス厚による描写劣化が他よりも酷いのでなかなか選択肢に挙げる事ができない。てかそもそもダサい。
M10は重量こそ少し重めに感じるがシステムとして小型という点がその強みと言える。かといって重すぎるわけではなく適度で良く、許容範囲内であり「重っ!」とネガティブに感じた事は無い。むしろ軽すぎるよりは、メタルを感じる程の適度な重量感は重要な要素だと感じている。
フルサイズである事もこだわりだ。「機材にこだわる奴に良い写真なんて撮れない」と思う人もいるかも知れないが、私はソイツに見せる為の良い写真を撮りたいわけじゃないからそんな感想どうでもいい。
M10とニコンZ 30を同時に持ち出すことが多い。Z 30には広角を付ける。撮影地でのレンズ交換は散歩のリズムが崩れるのであまり好きではないのだ。「Z 30はAPS-Cだろ!」って矛盾だと言われそうですけど。別にいいでしょ、これで使いたいレンズがAPS-C用なんだから。
レンズ交換式であること。これも重要だ。レンズ一体式カメラでは内部センサー上にゴミが入り込んだら分解清掃・修理が必要でランニングコストが高騰する可能性がある。怖っ。Q2はレンズ一体式だけど買った時にはあまり気にしてなかったので仕方がない。
ただ小型な国産カメラでいつでも持ち出したい、って欲望だけならGR IIIがうってつけだった。しかし手放した。どうも好きになれなかったのは上記の要素が漏れていたからだ。
永続性。これは「半永久的に使い続けていきたい」という願望。つまり壊れないで使い続けられるかどうか…となりそうだが単にその言葉だけではない。
壊れにくいこと
壊れても撮影ができること
壊れる可能性が低いこと
が挙げられる。
初めの【壊れにくいこと】。これはどこにも保証が無い。壊れない保証はない。しかも私が使っているのはデジカメだ。デジカメって時点で基盤がいつ壊れてもおかしくない。この時点で矛盾しているが仕方がない、フィルムは性に合わないからデジカメを使っているまでだ。
【壊れても撮影ができること】とは、例えばオートフォーカス等。
最新のレンズ機材ではAFレンズをマニュアルで使用するときでさえもフォーカスリングの回転角が電子信号に変えられ内部でモーター駆動している製品もある。これはいけない。完全に電子制御なため、そのレンズマウントのカメラが壊れたり、その上サポートが切れたり、抑々レンズ内部の基盤が壊れたら使い物にならなくなる。
どれだけ素晴らしい写りのするレンズであっても"いつかは使えなくなる物"が世の中には増えてきているのだ。そう考えるとAFが使えなくなってもフォーカスリングがフォーカス機構に物理直結しているレンズならばマニュアルフォーカスで使い続けられる…そういう製品を選択していきたいのだ。
【壊れる可能性が低いこと】とは、言い換えると「壊れる要素が少ない製品」ということになる。たとえは簡単だ。上記の下りのまま言えば「基盤を使っていないこと」等が挙げられる。
重複するがデジカメである以上いつかほぼ確実に壊れる日が来て、その時には修理サポートも終わっているかもしれない。しかしその日が来るまでは使い続けたいがそれでもここ数年 私の中では「壊れて使えなくなる可能性の低い製品」を選んで入手したいという考えが強い。
ライカは初めに書いた通り電子的な不具合も散見されているが、AFが無かったりレンズに基盤を使っていなかったり小さい物が多いなどの理由により、今の私の欲望には割とマッチしているのだ。
そんな私でもいつかはフィルムカメラに傾倒する時も来るかもしれない。その時はおとなしく ニコンF2 を入手しようと思っている。
なぜその時はライカではないのか。そしてレンズはアナクロマニュアルな物を求めていてもなぜ今現在、ボディはデジタルライカを選んでいるのか。
そこが最後のそれ以外の理由につながる。
ライカを使っている最後の理由
今まで頑張って「良い点」をひり出してきたが、一つだけ、ライカを使わなければならない決定的な理由がある。明確な理由だ。
それは、
ニコンがレンジファインダースタイルデジカメを出さないから
だ。
ニコンがS型オマージュデザインのフルフレームレンズ交換式デジタルカメラを出せば M10 を使用する理由が全てなくなる可能性がある。初めに書いた不満点も解消するだろうからなおさらだ。もはやそれはニコンではなくても良いのかもしれない。
結論:他には無いから。(パッシブ。)
終。
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