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ピア・サポート(の論文を探すの)は難しい:もしくは複雑な条件の検索方法

ここ数回,北星ピア・サポーターの活動に関する記事を書いてきました。おかげさまで下の2つの記事は特に好評を頂いているようです。

ピア?

ところでピア・サポーターあるいはピア・サポートとは何でしょうか。私は北星学園大学に着任以来「日本語表現」という特にレポートを中心とした文章の書き方の科目を担当しています。その中にも「ピア」という言葉が時折出てきて,実際に業界では有名な教科書もあります。

また,理論編として「ピア・ラーニング」に関する書籍もあります。

上の書籍紹介にも書いてありますが,ピア(peer)というのは「仲間」と訳されます。ただ,もうちょっとあって,英英辞典での定義を見た方がいいかもしれません。そこでLONGMANの説明を見ると次のように書いてあります。

your peers are the people who are the same age as you, or who have the same type of job, social class etc

LONGMAN現代英英辞典

同じ状況・環境にある人のことを指すので,会社で言えば同僚,学校で言えば同級生というのが近いです。同級生だと同じ学年という意味合いが強いのですが,ピア・サポートだと学年は必ずしも同じである必要はなさそうなので,そこをぼやかす意味でも「仲間」は妥当なのかもしれません。

研究をOR検索

私の任期は2年間あるので,その間に何かピア・サポーターの成長を促すこともできたらと思います。そのためには研究者目線で行くと論文をはじめとした研究を探すわけです。論文や研究プロジェクトを探すには専用の検索サービスを使いますが,CiNii Researchはその代表的なもののひとつでしょう。

早速「ピア・サポーター」で検索すると,882件ヒットしました。

「ピア・サポート」で検索

ところで「ピア・サポート」の「・」はちょっと気になりますよね。これは外来語を並べて複合語にするときには「・」を付けるというルールがあって,それに従った表記です。でも「ドアミラー」のように「・」なしの方が一般的なものも多く見られます。そこで「ピアサポート」でも検索します。すると,1029件ヒットしました。ちなみにnoteのハッシュタグも「・」のあるなしで結果や数が変わります。

「ピアサポート」で検索

「ピアサポート」の方が多いので,こちらに「ピア・サポート」も含んでいるように思えますが,そうでもありません。実際,「ピア・サポート」の1件目の論文を「・」なしで検索してもヒットしません。

「ピア・サポート」1件目の論文を「・」なしで検索

つまり,「ピア・サポート」と「ピアサポート」では違う論文がヒットします。このときどちらもまとめて検索した結果を見たい!となります。このとき使うのがOR検索です。2つのキーワードの間にスペースとORを入れます。すると,両方の表記の文献が1783件ヒットしました(100件ほど消えてますが…)。

「・」ありとなしの両方がヒット

これでだいたい解決しますが,見てみると「ピア・サポート」は学校外の文脈でも使われています。典型的なのが医療,福祉といった分野でしょうか。これらを除くにはもう少しキーワードを追加する必要があります。例えば「大学」はどうか(このときORの範囲をカッコで括ります)。

検索の失敗(雑誌タイトルもヒット)

はい,失敗です。「大学名のついた雑誌(紀要)に書かれた論文」が多くヒットしちゃいます。そこで「学生」にすると,348件のヒットでけっこう絞れました。それでも関係なさそうなものはあるのでもう少し工夫が必要です。

「学生」を追加

ちなみに「大学生」にしても同じように関係なさそうなものは残ります。それでもだいぶヒットする研究の数は減るので見ていけそうです(ちなみに論文だけに限定すれば292本です)。あとはタイトルだけに絞るとか,キーワードを追加するとかで大学生のピア・サポート研究をまとめることはできるでしょう。

ひとまずこれぐらいに留めますが,検索も意外とコツがあることが分かると思います。このようにして日々目的に合った論文や研究を探しています。



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