20年ほど教えて変わったこと
専門学校や大学で教えるようになって20年ちょっとになる。教える科目は音声学、言語学、日本語だったのが、15年ほど前からはほぼ1年次の日本語表現に変わったけど、スタイルはそんなに変わったイメージはなかった。
でも先日ふと思い返してみたところ大きく変わったことがあった。それは授業中に学生を指名しなくなったことだった。
以前は名簿代わりに受講生の名前を1人ずつ別の紙に書いておき、指名するたびに正の字を書いて半期でだいたいの数が揃うようにしていたのだが,今は全くと言っていいぐらい授業中は指名しない。
思い返すと色々理由はあるけど結局は指して即答で「分かりません」と答えられるのが辛くなったからである。もともと分からないと言われたら、前提知識の確認、質問の繰り返し、プリントの該当部の確認、それが分からなければ第1回からのトピック確認など、あの手この手で何かを答えさせ、正解に至らせた。
しかし即答の「分からない」はただのコミュニケーションの拒絶だから、そんな拒まれ方をするとさすがにちょっと辛くなる。
そんなわけで学生を指すことが無くなった。かと言って「一方通行」の講義をしているわけではない。相変わらず授業内作業は多くて作業中に机間巡視をして必要そうな人の手助けをすることが多い。
またタブレットに書き込みながら解説するけど、そこも答えを見せるのはかなり後で基本は解説を聞いて自分で確認するようにしている。教育的効果なんてわからないけど、これも案外悪くないだろうと思っている。
余談だが当然寝ている人は起こさない。声が大きいから起きちゃうけど。