『やわらかい文法』ご恵贈御礼
著者の定延利之さんから頂きました。
目次は版元ドットコムにあります。
著者の定延氏の研究を知る者なら分かるが、「文法」と言ってもたとえば「雨のようだ」と「雨らしい」の違いとかではなく、そういったことも含みながら、「それでね」で「ね」の声は下がらないことや、「あの人って話、長くない?」とこっそり聞かれたとき、「だよね」とか「よね」とは返せるけど、「だ」とは返せないことなど、言われてみるとたしかにとなる例がたくさん挙げられている。
説明のキーワードも「発話の権利」や「非流暢性」など普通の研究ではあまり聞かないものだ。
この本は全ての現象に綺麗な説明が与えられているわけではない。特に終盤の非流暢性や話し方(口をすぼめさせるなど)の問題は十分に検討される余地があるだろう。
ただ気になるのは、定延氏の研究を受けて新しい現象を見つけたものなどはほとんど目にしないことだ。これだけ面白いのに。なんというか、もったいないことだ。