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#40『10月 自然と生活、行事』
10月:神無月、神去月、神在月、鎮祭月、坤月、陽月、良月、吉月、初霜月、時雨月と別名が多くあります。
・10月1日:「衣替え」
平安時代の貴族は、旧暦の4月1日と10月1日に衣替えをしたそうです。
江戸時代には、幕府の指示で武士を対象に年4回の衣替えが行われました。
明治時代には、新暦6月1日と10月1日に公務員の制服の衣替えが定められました。
制服のある学校や会社などで衣替えが行われるようになりました。
・秋晴れといわし雲
「いわし雲、うろこ雲、さば雲」とも呼ばれます。そして、これより少し低いところにあらわれる雲を「ひつじ雲」と呼びます。気象用語では、「巻積雲、高積雲」といいます。
・冬鳥の渡り
秋から冬にかけて渡ってくる鳥を「冬鳥」
:ツグミ、アトリ、ジョービタキ、カモ、
ハクチョウ、ユリカモメなど
春から夏に渡ってくる鳥を「夏鳥」
:ツバメ、ホトトギス、オオルリ、
カッコウ、コチドリ、ブッポウソウなど
渡りの途中で立ち寄る鳥は「旅鳥」と呼ばれます。
:キアシシギ、アオアシシギ、ハマシジ、
トウネンなど
・10月8日(頃):寒露
秋分から15日目にあたり、高い山では初冠雪が見られ、稲・柿・栗の収穫時期を迎えます。
・10月9日・10日:「高山祭」
岐阜県高山市で春は、日枝神社の山王祭り、秋は、櫻山八幡宮の八幡祭が行われます。手の込んだ屋台が有名です。
・旧暦9月9日(新暦10月):「おくんち(お九日)」
九が重なるおめでたい日とされています。稲の収穫を感謝する秋祭りです。長崎くんち、博多くんち、唐津くんちなど九州北西部が有名です。
・旧暦9月13日(新暦10月):「豆名月」
中秋の名月とならんで月が美しいことから、古くでは月見が行われました。豆や栗の収穫時期にあたることから豆名月/栗名月と呼ばれたそうです。
・10月10日:「体育の日」
1964(昭和39)年に東京オリンピックの開会式が行われたことを記念してさだめられました。2000(平成12)年からは10月の第二月曜日になりました。
・10月10日:「目の愛護デー」
数字の10を二つ書いて横にすると目のようになります。1931(昭和6)年に「視力保存デー」とさだめられたのが始まりです。
目的は、「失明防止」でした。
・10月12日・13日:「お会式」
日蓮上人が亡くなった10月13日にちなんだ法会(集り)です。全国各地で行われますが、上人が亡くなられた東京大田区池上の本門寺の法会が盛大です。12日の夜は、万灯とよばれる提灯をかかげ、うちわ太鼓をたたきながらの行列で賑わいます。
・秋の魚
春から夏にかけて黒潮に乗って北に上がり、秋になると親潮の乗って南に下ってきます。
:サンマ、カタクチイワシ、マイワシ、
ウルメイワシ、マハゼ、ボラなど
・秋の星
秋から冬にかけては空気が澄んで、星が美しく見える季節です。
Mで表される星雲や星団は、フランスの天文学者「シャルル・メシエ」がつくったリストが基本になっており、現在はM1~M110まであります。
・10月19日・20日:「べったら市」
東京中央区日本橋にある、宝田恵比寿神社の門前で行われる市です。
10月20日におこなわれるえびす講の前日に市がたち、お供えに使う道具や魚、野菜などを売ったことが始まりですが、名前の由来は、市で売られた「べったら漬」が評判になり、「べったら市」となったようです。
・芋煮会
東北地方では、各地で秋の河原などで「さといも鍋」を囲む催しが盛んに行われます。さといものほかに牛肉/豚肉/鶏肉を使うなどいろいろな食材やいろいろな味で楽しまれているとのことです。歴史をさかのぼると、江戸時代、山形県を流れる最上川の船頭たちが、船荷の棒鱈と地元のさといもを交換して宴会をしたことにさかのぼるようです。山形県では、毎年9月の第一日曜日に大規模なイベント(芋煮会フェスティバル)が行われています。
・結婚式
天気の穏やかな10月は結婚式が多い月の一つでした。
何周年目かの呼び方を紹介します。
・1年目:紙婚式 ・2年目:綿婚式
・3年目:革婚式 ・4年目:書籍婚式
・5年目:木婚式 ・6年目:鉄婚式
・7年目:銅婚式 ・8年目:青銅婚式
・9年目:陶器婚式 ・10年目:錫婚式
・15年目:水晶婚式 ・20年目:磁器婚式
・25年目:銀婚式 ・30年目:真珠婚式
・40年目:ルビー婚式
・45年目:サファイア婚式
・50年目:金婚式
・55年目:エメラルド婚式
・60年目:ダイヤモンド婚式(75年の場合も)
・きのこ
:食用きのこ
マツタケ、シメジ、シイタケ、ハツタケ、
クリタケ、マイタケ、ナラタケ、
ホウキタケ、ハラタケ、シャカシメジ、
ホウキタケ、ショウロ、ナメコ、
アミガサタケなど
:毒のあるきのこ
ツキヨタケ、イッポンシメジ、
タマゴテングタケ、ベニテングタケ、
テングタケなど
・10月22日:「時代祭」
京都市の平安宮の祭りです。
桓武天皇が794年(延暦13)10月22日に都を平安京に移したのを記念して、平安神宮のできた1895年(明治28)に始まりました。
各時代の様々な人物にふんした、約2,000人が京都御所から平安神宮までの約2キロをねりあるき、平安を祈願するお祭りです。
・10月23日(頃):「霜降」
二十四節気のひとつで、「寒露」から15日目あたります。
秋も深まり、いよいよ寒さが本格化しはじめる時期です。
・10月31日:「ハロウィン」
*オマケで取り上げます。
「ハロウィン」は、キリスト教の聖人をまつる「万聖節」という祝日(11月1日)の前の夜に行われる祭りです。
もともとは、ヨーロッパに住むケルト人の祭りで、先祖をまつり、収穫を感謝する祭りでした。ケルト人の暦では、10月31日が大晦日で、先祖の霊が帰るとともに悪い霊や魔女も出現すると考えられてきました。そのため、火を焚いたり、仮装をしたりして身を守る風習が生まれました。
その後、キリスト教の世界で広く取り入れられるようになり、特にアメリカでは、「子どもの祭り」の要素が強まりました。賑やかに騒ぎ、ご馳走を食べて収穫を祝うお祭りになり、カボチャの提灯(ジャック・オー・ランタン)を飾り、子ども達は仮装して近所の家々をめぐり、「トリック・オア・トリート(おかしをくれないといたずらするよ)」といっておかしをもらいます。
キリスト教文化圏でない日本でも盛んになり、暴走気味の出来事も起きています。
日本では、10月は「神々の集まる月」に対し、欧米では、「魔女や化け物たちが山頂に集まる」伝説があり、考え方や文化の違いを感じます。