#54『塩の話』Vol.4
「縄文時代以前の塩は」
農耕生活が始まると、食料を入手することは狩猟採集に時代よりも安定するようになりました。しかし、穀類から塩を摂取することはほとんどできませんので、塩を手に入れる必要が生まれました。狩猟採集の時代は雑食でしたので、獲物の肉や血液、骨髄に含まれている塩で最低限を確保することができました。
草食動物は、土を舐めたりして塩を補給しますが、肉食動物は、獲物の肉や血液、骨髄から塩を補給しています。人間でも、アフリカの「サン族(=ブッシュマン)」やアラスカの「イヌイット」は、現在でも基本的に狩猟採集の生活を送っているため塩を直接使わないといわれています。
「白い黄金」
アフリカでは昔、塩は同じ重さの金と交換されるくらい価値が高く、「白い黄金」と呼ばれていたそうです。ヨーロッパでもローマ帝国時代に、「すべての道はローマに通ず」という言葉がありましたが、その街道を使って運ばれる重要な品の一つが塩であったそうです。また、街道を守る兵士の給料には「サラリウム」という塩が含まれていました。給料のことを「サラリー」とか働く人を「サラリーマン」と呼ぶのは「サラリウム」が語源になっています。オーストラリアにザルツブルクという都市がありますが、ドイツ語の「塩の城」の意味になります。
「塩の神様」
宮城県の「塩竈(=しおがま)神社」全国の100以上ある塩竈神社の総本山です。塩土老翁という塩つくりの神様が祀られていて、毎年7月には「藻塩焼神事」とうい行事で塩作りが行われています。
大相撲の土俵に塩をまく、お葬式の後で塩で清める、お祭りで神輿を神社に奉納するとき海水につけて禊をする、料理屋の店先に盛り塩をするなど塩は「清め」として昔から使われてきました。確かな資料や文献は未確認ですが、「腐らず保存する」ことと関係しているようです。
「世界の塩」
塩は、大別すると海水からつくられる「海塩」、地層の中にある「岩塩」、濃い塩水が溜まった水海の「湖塩」からなります。海塩が最も多いだろうと思われがちですが、海水の塩分は3%で海のない国も多く存在します。世界の塩で最も多いのは、「岩塩」で世界でつくられる塩の2/3にあたります。「湖塩」で有名なのは、イスラエルとヨルダンの間にある「死海」とアメリカの「グレートソルトレイ」、南米ボリビアの「ウユニ」湖があります。
まだまだ「塩」の歴史は広くて深いと思いますが、このへんで前座を終わらせていただきます。ビューありがとうございます。