読書感想文『本質思考』
私がこの本を読もうと思ったきっかけは、「本質とはなにか?」が知りたかったから。
本質的に似ている・本質的に相容れない・本質を捉える・・
世の中には、こんなにも本質という言葉が溢れている。気軽に使いやすいのに、曖昧。
この本では、本質とはなにか?を紐解き、本質思考ができるようになるステップが4段階で示されている。
作品情報
「本質思考 MIT式課題設定&問題解決」平井孝志著、東洋経済新報社
2015年 第1刷発行
本質にたどり着けない思考のクセ
「スジの良い答えは本質から考えないと生まれない」とは、冒頭の一文。
想像してみてほしい。
問題に直面した時、解決に向けて考えなければいけない場面で意見を求めると、まずは情報を集めようという先延ばしの意見、もっともらしく聞こえるが平凡で一般的な意見、対症療法でしかない意見・・・
どれも考えているようで考えていない、解決にたどり着けない回答といえる。
著書の中で、これらは「思考のクセ」とされている。
このクセに気づかなければ、ジレンマに陥り迷走してしまうことに。
まずは、自分がどんな思考をもっているか?客観的に捉えることが大切。
本質思考とはなにか?
では著者のいう本質思考とはなにか?
それは、起きている現象を構造(モデル)と因果(ダイナミズム)として捉えることである。
モデルとは、起きている現象を生み出す構造や構成要素、相互関係のこと。
一枚の紙に抽象的なイメージで四角や矢印で書いてみるとわかりやすい。
ダイナミズムとは、起こった現象について、長い目で見ればどのような結果や動きが見られるか?モデルが生み出す結果や動きということ。
つまり本質から考えるということは、起きている現象だけをみて考えることではなく、モデルとダイナミズムを想像し、そこから紐解いていくことである。
本質思考の4ステップ
本質とは何か?がわかったところで、本質思考への4つのステップが描かれている。
問題解決のための本質思考ができるようになるためのステップとは、
①モデルを描く
②ダイナミズムを読み解く
③モデルを変える打ち手を探る
④行動し、現実からのフィードバックを得る
つまり、現象を解決しようとするのではなく、その裏側にあるモデルを変えることが問題解決のための本質思考といえる。
本質思考を身につけるためのトレーニング方法
この本では、どうしたら本質思考ができるようになるのか?
そのトレーニング方法を具体的に6つ紹介している。それは特別なことではなく、日々の生活の中で意識することで身につく。
どれも今すぐ取り組めることなので、思い立ったらやってみるといい思う。
まとめ
私は最初にこの本にふれたのはオーディオブックからだった。
難しそうなタイトルだが、中身は、本質思考とはなにか?という出発点から実例をふんだんに織り交ぜながら進むため、理解しやすい。
その後、本を購入・読み始めてから、その読みやすさに驚いた。
図解が大変多く、理解の一助になっている。
また目次からして、文字の大きさや太さで大事なポイントが分かり、見出しも載っている親切設計になっている。
私は今まで、冒頭で紹介された「思考のクセ」のいくつかにあてはまるところがあったように思う。
そのクセを自覚できたこともよかったし、そもそもの疑問「本質とはなにか?」という問の答えもわかったことにも満足している。
これから日々の中で少しずつ本質思考できるよう意識してみたい。
本質って何?と少しでも思ったことのある人におすすめしたい一冊。
#読書の秋2022 #本質思考MIT式課題設定&問題解決