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並ぶ ~子どもたちのロボット競技会その3~

2009年国際大会 

 初めて子どもたちやご家族の方、学校の先生方と国際大会に参加したのは2009年の韓国大会でした。「浦項(ポハン)」という都市で開催されました。
 国際大会の共通語は英語です。子どもたちも大人も会場にアナウンスが流れるたびに「え、なんて言ったの?」とソワソワ。他の国も同様です。それでもなんとかなるものです。

並んで待とうね

 タイムレース競技は、本番前に試走の時間が設けられています。自分達の大事なロボットを持って皆競技台の前に並びます。
 私は日本の小学生の男の子3人のチームの様子を見ていました。到着後の疲れからか、そのうちの一人が元気がなく、ご家族の方も同行していなかったので気になっていたのです。そのチームのコーチは子どもたちが通う学校の先生です。

 眺めているうちに気になることが。並んで待っているその3人の前に他の国の子たちが割り込みしたのです。男の子たちは「あれ?」といった感じでお互いに納得いかない表情をしながらもそのまま並んでいました。

 すると、その割り込んだ子たちがお互いにおしゃべりをしている間に、さらに違う国の子たちがその前にすっと入ってきました。おしゃべりしてる子たちは気づいていません・・・。

 私は、となりにいた男の子三人チームのコーチに、「先生、どんどん割り込みされて後回しにされて試走ができなかったら本番にも影響します!損するのはうちの子たち(国際大会の場では、日本チームの子はみんな「うちの子」という感覚になります(笑))です!やったもん勝ちです!自分達も前に行け!と言って下さい!!(怒)」と言いました。すると先生は、
「教育者としてそれは言えないんだよね・・・」
おお・・・そうか。じゃあ、私が代わりに言おう、いやそういうことではないか。うーん。

 その時、さらにちょっとの隙間を見つけて当然のように入り込もうとした子たちに、「うちの子」が手をかざして首を振ったのです。
 すると、割り込もうとした子が「sorry!(ごめん!)」と言ってうちの子たちの後ろに並びました(結局割り込みの位置を変えただけではあるのですが)。

 自分達でソリューションを見つけた子たち。ジェスチャーで「だめだよ」と伝えました。そして相手もそれを理解しました。

 私は、「通訳」の役目も担って国際大会に随行していますが、「言葉はわからないけど何とかして伝えたい」という気持ちを身体全体でせいいっぱい表現する子どもたちの姿にいつも感動しています。コミュニケーションの原点だと思うのです。


 




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