『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 2

2001年6月14日

『白昼艶夢』朝山 蜻一(あさやま せいいち) :未読

肉体的・精神的な拘束を主題としたサディズムとマゾヒズムの世界を描く作品を多く発表し、マゾヒズムミステリというジャンルを確立した

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E5%B1%B1%E8%9C%BB%E4%B8%80


おだやかに波のうちよせる入江の砂浜で、若い女の白骨死体が発見されたが、その胴回りは人間とは思えないほど細くくびれていた。アトリエで異常な性技に耽る画家の奇怪な告白「白昼艶夢」をはじめ、新興宗教内部の凄絶な心理闘争を描いて、新人コンクール第一席に輝いた傑作「巫女」、特異な題材で江戸川乱歩をうならせたデビュー作「くびられた隠者」等、幻の異色作家・朝山蜻一の傑作、代表作を網羅したふしぎ小説の決定版。処女作品集「白昼艶夢」を完全収録、単行本未収録作品5篇を含む全16篇。

白昼艶夢 - 株式会社 出版芸術社 出版芸術ライブラリー、ミステリーコレクション、SFコレクション、ふしぎ文学館の出版芸術社 http://www.spng.jp/book/b241089.html


艶夢(えんむ)という単語を初めて知った。


この本は未読なのだが、紹介文などを見る限り、自分が既読のものの中では『O嬢の物語』に似た方向性の本のようだ。


『八本脚の蝶』を読んだ回数このタイトル(白昼艶夢)を見ているはずだが、今思うとこれまで調べることがなかった。ゆっくり読んでみて初めて、これがどのような本なのか、著者はどういった人なのかを、簡単にだが知る機会ができた。
 「本を読んだ」ということの定義が曖昧であることはよく話題になるが、何度も読んだ本でさえも、このように無意識に読み飛ばしてしている情報が大量にあることに気付く。


「コルセット」は、奥歯さんが、自分の体を自身で形作る、というような文脈で出てくることが多いように思う。「イブニングドレス」・「ヴェルヴェットのマント」についてはイメージできなかったので調べた。


画像1

画像は上記 Wikipedia より。

「イブニングドレス」はその名の通り、夜の舞踏会などで着られていたドレスを指すようだ。「ヴェルヴェットのマント」については、ヴェルヴェット(英語)自体は素材の名前で、どちらかと言うとビロード(ポルトガル語)という単語の方が身近に感じる。画像を見た限り、漫画などで魔女が着ているような頭から全身を覆うローブのようなものがイメージに近い。
 ドレスにも合うものも多いようなので、ドレス・マント・仮面を仮面舞踏会用の一式として、それと玄関先に置いてある非常袋という、二つの非日常のための道具を対比しているようだ。今まで全く気が付かなかった。



非常袋は市民の心得。コルセットは乙女の心意気。
文庫版 P.10

こう並べられて、「心得」と「心意気」という言葉の使い訳が曖昧であることに気付く。辞書に当たってみると、心得はどちらかと言うと何かへの準備、必要な知識など、心意気は積極性のある気構えといったニュアンスがあるようだった。両方「心」が入っているが、前者は道具的な意味合いが強く、後者の方がより心について強調されている。


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