経営計画の作り方⑦競合分析で計画にストーリーを!
経営計画を作る時には、競合分析をします。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず(孫氏)
まずは競争相手と自社のことを比較して、違いがどこにあるのか確認しましょう。
■なぜ競合分析が必要なのか
経営者の視点は、頑張らないと組織の内部に向いてしまいます。
職場の内部のトラブルやもめごとは、放っておいても目につきますよね。
そのままにしておくと、組織の外で起きていることへの注意力が下がります。
そのような状況で、売上を伸ばすと言っても、本当にうまくいくでしょうか?
現代経営の第一人者、ドラッカーはこういっています。
組織の中に成果は存在しない。
すべての成果は外にある。
企業の場合、顧客が製品やサービスを購入し、
企業の努力とコストを収入と利益に変えてくれるからこそ、
組織としての成果がある。
経営者は、常に外部にアンテナを張る必要があります。
製品・サービスは買っていただけなければ意味はなく、
お客様は組織の外にしかいないからです。
競合を意識して、自社のサービスを買っていただけるようにしましょう。
■競合分析の仕方
自社と同業の大手企業、自社と同じ規模の会社の名前が4~5社出てくると思います。
それぞれの企業を、次の切り口で比較してみてください。
Q:Quality/品質
P:Price/価格
S:Service/QP以外のすべて
どのような業界でも、お客様は、QPSの組み合わせによる満足感を購入します。
■QPSの比較方法
初めてだと比較をすること自体が難しいかもしれませんね。
品質って、言葉にしにくいですし。
その場合は、
・高品質・中品質・低品質
・5段階のレベル評価
を使うといいでしょう。
価格についても、具体的な単価より、高・中・低が良いと思います。
この会社は品質低いものを安売りしてるだけ、とか、普段話しますよね?
まずはそこからでいいです。
できることから形にしていきましょう。
■Serviceの中で注目したいもの
Serviceは、QとP以外の要素なので、とても幅広いです。
商品の包装や、支払条件、納入期日など、なんでも含まれてしまいます。
その中で特に、他社と比較していただきたいものがあります。
それは、情報と理念です。
なぜかというと、お金をかけなくても、この2つで差別化できるからです。
情報だと、たとえばこういうものがあります。
・製造工程でこだわっていること
・仕入先が他社と違う
・製品・サービスの開発秘話
・製品の使用方法
・他社製品との違いに関する説明
・会社の歴史
・SNSでの情報公開
理念だと、
・企業理念
・起業した経緯(困った経験を元に起業など)
・なぜその製品・サービスを売るのか
これらに興味を持ってもらえると、多少高くても買ってもらえます。
同じものでも高い値段で売れるのは、ブランド力。
ブランド力が、あなたの会社をさらに大きくし、安定させるのです。
■iPhoneがなぜ売れるのか?
大手企業の話になりますが、iPhoneがなぜ売れるかをご存じですか?
AppleのMissionは、世界を変える製品を作ることです。
彼らの製品発表会では、たとえばこんな風に新製品を紹介します。
私たちの使命は、世界の人々の生活を変える製品を作ること。
そのために消費者のニーズを先取りし、圧倒的な品質とデザインにこだわります。
今日、ついに全世界の生活を変えるデバイスが誕生しました。
あなたも一台、欲しくないですか?
(ここでシンプルで美しいiPhoneの映像が登場)
こういう「理念」を、かつてはスティーブ・ジョブズがプレゼンしていました。
実際にはそのあと、製品の機能と価格説明が行われるのですが、
人々はAppleマジックにかかってしまい、もう欲しくてしょうがなくなります。
これが、逆だったらどうでしょう?
今回の新製品は、89000円の新型携帯電話。
画面はきれいで、インターネットもメールも見られます。
頑丈なアルミで作られた本体の色はグレーです。
デザインをシンプルにすることで、製造工程を単純化しました。
欲しいですかね?
1カ月待てばどこでも買えるようになるのに、徹夜でApple Storeに並びますかね?
もちろん、人々を熱狂させるストーリーをつくるのは難しいです。
でも、
価格と品質以外の「理念」「情報」の大切さ。
買わせる気にさせている、ということがお分かりいただけると思います。
■情報と理念の伝え方
まずは、理念について考えてみてください。
ウソはダメです。
たとえば、こんなことは考えられないですかね?
・あなたの会社の業界で納得がいかないルール。
・お客様が一方的に不利になっていることはないですか?
・これらを変えることで、Win-Winになる工夫はできないですか?
・自社のサービスを使うと、その点が改善されることはないですか?
それと、
なぜそのサービスを売りたいのか、考えてみるといいです。
儲かるから、以外の理由があるはずです。
そういう「思い」「こだわり」は、他社は真似ができません。
ウソは結局、ばれますからね(笑)。
次に情報ですが、社内のイベントや製造工程、仕入の状況など、SNSで発信してください。
最初はうまくいきませんが、SNSは真剣にやれば徐々に結果が出てきます。
やり切れるかどうかがポイントです。
■競合企業の選び方
競合企業を選ぶときには、大手企業、上場企業も含めてください。
つい、自社と同レベルの会社を選んでしまいがちです。
上場企業のホームページには、たくさんの業界情報が載っています。
「投資家情報」「IR情報」というページに、年次報告書など資料が出ています。
これに、業界のトレンド予測と自社の対応などが掲載されています。
これと中小企業の競合、自社を並べてみましょう。
業界の構造が良く分かるようになります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?