【経営計画の作り方】戦略と戦術の違いを知らないと取り返しがつかなくなる話
戦略と戦術の違いのお話をしたいと思います。
普段、違いを考えることはないかもしれませんね。
神父と牧師が違うように、言葉が違えば意味が違います。
今回の記事で、その違いを理解して、明日からの経営に役立ててください。
■戦略と戦術の違い
すごく簡単に言います。
戦略は、「今できるかどうか」は一旦置いておいて、
どちらへ組織を方向付けするか?ということを考えるものです。
戦術は、「戦略を実現するためにできるアクション」です。
たとえば任天堂。
任天堂は元々、花札やトランプを作る会社でした。
当時は賭博のイメージが強い商品です。
そこに、家庭向けの需要を掘り起こす!という命題を当時の山内社長が打ち出しました。
賭博向けの需要だけでは成長が見込めなかったためです。
これが、戦略です。
家庭向けの販路があるか、ブランド認知があるか、社内に経験者がいるか、
こういうことはいったん脇に置いといて、俺たちどうすべきかな?
ということを話してるわけです。
そのために、具体的なアクションとして、
という、具体的に「できること」を積み重ねます。
これらが、戦術です。
戦略で決めた方向に向かって、具体的に何する?ということを話してます。
この時には、非現実的な話をしてはいけません。
できることを積み重ねていく。
ここで、できもしないことを指示すると、社員のやる気が急降下します。
どんなに立派な理念も戦略も、絵にかいたモチです。
■戦略を話し合うときに戦術の話はしない
戦略の話をするときに、戦術の話をしてはいけません。
「なすべきこと」と「できること」は、性質が違います。
できるかどうかにかかわらず、やると決めることが戦略なのです。
ところが、似たような言葉なので、理解がバラバラになっていると、
会議をしても話が進みません。
よく、こんな会話、ありませんか?
これが、戦略と戦術が混乱している議論のよくある例なんです。
戦略が正しいなら、どうやったらできるかを考えないといけません。
社内の人材では対応できないなら、外部の人材を活用しよう、とか
お金が足りないなら、短期的に稼げる商売に集中してから取り組もう、とか
こういう、できる方法(戦術)を戦略を決めたあとに考えないとダメですね。
もし、戦略と戦術がうまく区別できているなら、
など、「何をするほうがよいのか?」という議論になるはずです。
できる、できないの話はしてないですよね。
また、戦術から逆算した戦略も、うまくいきません。
戦略を戦術に落とし込むときに、具体策が思いつかないからと言って、
できることを積み重ねて戦略を作ってしまうと、
本来会社が目指すべき方向に進めなくなってしまうからです。
順序が大切。
戦略を決めて、戦術を決める。
戦略を決めるためには、
事業ドメインに経営資源を集中投下するために、
となります。
■戦略の失敗は戦術では取り返せない
戦略が間違っていると、いかに戦術で挽回しようとしても、取り返せません。
これも、戦略と戦術の違いの理解が必要となる、大きな理由の一つです。
たとえば、自動車のマツダ。
バブル時代に、系列ディーラーを増やして拡販を狙いました。
・マツダ
・オートザム
・アンフィニ
・ユーノス
それに見合う新車開発ができる体力がなく、景気悪化に伴って業績は一気に悪化。
アメリカのフォード社からの追加出資を受け入れました。
これは明らかに戦略レベルの失敗です。
このとき、いくら販売店の現場で売り方を工夫しても、限界があります。
製造現場のカイゼンを積み重ねても、状況はあまり変わりません。
日本とアメリカの戦争も同じです。
資源の規模で言ったら、全くかなわないわけです。
真正面からケンカしたら、いずれ負けるのは目に見えているはず。
いくら局地戦で、零戦が勝ったところで、
少人数のエリート飛行士に依存した体制では、長期的に勝ち続けることはできません。
経営者は、つねにこの違いを意識しなければなりません。
戦略レベルで間違っている場合に、いくら現場を改善しても、変化は見込めないからです。
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