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【数理的溢れ話6パス目】「限界効用逓減の法則を巡る数理」あるいは「愛(i)に出来る事はまだあるかい」?

以前、一般に「1杯目のビールは常に2杯目のビールより美味い」と要約される事の多い「限界効用逓減の法則」について、その展開過程を円弧で説明してる記事を見掛けた衝撃から、こんな投稿をしてしまいました。

この法則については「ヴェーバー‐フェヒナーの法則」を援用して対数表現される事が多いのですが…

ヴエーバ・フェヒナの法則(Weber–Fechner law)

確かに円関数$${e^{θi}=cos(θ)+sin(θ)i}$$もまた指数関数の一種であり「消費量が一単位増加した時、これに伴って増加する満足度の大きさ」なる限界効用の定義も複利計算に由来するネイピア数$${\lim_{n→\tilde{∞}}(1+\frac{1}{n})^n=e(2.718282…)}$$概念と重なってきたりする次第。

「円弧上の任意の点は中心から下ろした垂線と垂直に交わる一方、隣点とは水平に交わる」円の定義の図式化。あえて「1杯目のビールは常に2杯目のビールより美味い」の様に定式化するなら「どんな好きなものでも欲しいだけ得られる様になったら何も感じなくなったり、逆に嫌いになってしまう事もある」。流行語を援用するなら「蛙化現象」とか、そんなイメージ?

この辺り詳細を明らかにしようと思って挑戦した結果が以下となります。

垂直断面は「川の流れの様に上流は激しく奔放に、下流はゆったり雄大に」?

まず全体像として以下の様な高杯の様にも見える「朝顔の花を根元で切って繋ぎ合わせた様な回転体」が得られました。

指数関数を用いた効用概念の定義と、その対数写像。

$$
\left\{
\begin{array}{ll}
e^{-x} & (-∞≦x<0) \\
e^0=1 & (x=0) \\
e^{+x} & (0<x≦+∞)
\end{array}
\right.
$$

そのままでは何も思いつかないので、とりあえず対数写像を求めると$${y=log(a)x}$$なる線形関数が得られました。

  • ここに現れた線形性は、いわゆる需要供給曲線に対応。元指数関数$${a^x}$$のaがネイピア数eの時に対数写像が対象式y=xとなる。この関数によって「均衡のサイズ」が定まり、それを巡って需要が供給を上回った場合に価格高騰、逆に下回った場合には価格崩壊が起こるイメージ?

  • 係数が対数なので傾きが1を超えて以降は増大に次第に相対的に抑制が掛かる。まさしく「限界効用逓減の法則」の顕現。経済学者はしばしば「限界効用逓減の法則を考慮に入れず(生産設備拡充など線型推移が想定される)供給量増大に血道を上げていると、やがて供給量が需要を上回り始めた時に対応が間に合わず地獄を見る」と説明するが、この概念もここに含み得る。

  • 逆に傾きが1を下回る(さらには「反転」まで起こる)範囲については、次第に相対的に変化量が増大するが、この種の活動活性化は一般的に市場サイズが比較的に小さいほど頻発する印象がある。そう、まさに川が上流では流域を頻繁に変えながら激しく流れる一方、水が集まるにつれ流れがゆったりとなり流域もそんなに動かなくなっていく様に。するとこのグラフはまだ不完全で、さらに無差別曲線の様な等高線を引く必要があるのかもしれない。その一方でこの領域こそが過去も未来も「Captains of Industryの故郷」となり続けてきた/なり続けていく事実も揺らがない。

ざっと調べた感じでは、無差別曲線は反比例相関の一種と捉えられているらしく、ならば$${\frac{π}{4}}$$=45度回転させて双曲線関数問題に痴漢するのも容易な筈?
1 消費者行動 2 効用関数と無差別曲線

前回投稿時は「欲しいものが得られないほど渇望も高まる」逆「限界効用逓減の法則」が発見されるのではないかと期待したものですが、その時点では「全体サイズに対応した自然で自明な場合としての変化量変遷」「量子力学の様に一定サイズ以下の世界では方向すら確率論的に存在するに過ぎない」なる原理原則が意識からすっかり抜け落ちてました。人間世界って、それほど単純な原理で動いてる訳ではない様だ? そして同時に湧き上がってくるのが「ここまでは割と単なる物理量」すなわち「人間の主観が写像されたりする心理量である必然性に乏しい」という感想…

水平断面は「名状し難きクトゥルフ神話の怪物的な何か?」

全体構造としてある種の回転体なので水平断面は当然円の一種となります。ただし普通の円ではなく単極球状体(Monopolar Sphere)となります。

無限遠点の概念を援用した単極球状体(Monopolar Sphere)概念の定義。

簡単にまとめると…

  • ガウスによる直線定義「曲率半径無限大、曲率0」の真逆「曲率半径0、曲率無限大」として定義される。

  • 「定義上、円弧上の任意の点は中心から下ろした垂線と垂直に交わる一方、隣点とは水平に交わるとされるが実際には後者は隣点との距離が限りなく0に近くないと成立しない」「N次元上の超立方体の対角線概念$${\sqrt{N}}$$(Nが無限に近付く時、その全体イメージが半径無限大の球面と半径1の単位球面に分裂する)と正方方眼を一直線に連ねた長方形の対角線$${\sqrt{N+1}}$$の両方が無限大の球表面に到達する(しかも超立方体の最後の方眼は球表面に45度の角度で接するとされる)」「球表面上の任意の隣点は原則としてそのままでは名義尺度(Nominal Scale)しか構成し得ない(従って半径概念はあっても、直径概念はデフォルトでは存在しない。符号概念もない)」といった正多角形/正多面体の極限としての円弧/球面が備える(矛盾に満ちた)神秘的な特徴を、とりあえず多様体(Manifold)概念を用いて束ねた結果でもある。
    第4章 多様体の基礎のキソ

  • 「全ての半径が無限遠点(観測距離は常に0)」なる定義を「観測される任意の半径が全て一緒」と解釈するなら「貸方と借方の合計金額が常に0である複式簿記概念の自然で自明な場合としての」コーシーの積分定理$${\oint_Cf(z)dz=0}$$が自然で自明な場合として通るが「実際の半径は0から無限大にかけてどれでもあり得る」と解釈した場合は「八重洲ミッドタウンのシンボル」尿道結石像を思わせる名状し難き全体像となり、その限りではない。いずれにせよ元々多様体の一種で「部分的にしかユークリッド座標系が設定出来ない(全体を包括する座標系が構築可能なら、それはもはや多様体ではない)」という考え方なので確かめる手段もない。

この様に、それ自体について論じる事に意味がない(そこからどの様な無矛盾の複雑怪奇なユークリッド座標系が抽出できたかだけに意義がある)概念なので、ここでは抽出成功例の一つとして「フーリエ級数概念の複素フーリエ級数概念への次元拡張」例について紹介するに留めましょう。

フーリエ級数は様々な波形をcos波やsin波を合成して生成する技術です。例えばsin波を重ねてノコギリ波を生み出す例。cos波側で何が起こっているかは完全視野外となります。

$$
g(t)=\frac{π}{2}-sin(2t)-\frac{1}{2}sin(4t)-\frac{1}{3}sin(6t)-\frac{1}{4}sin(8t)-…-\frac{1}{n}sin(2nt)-…
$$

Sin波を重ねてノコギリ波を生成するフーリエ級数

ところが複素フーリエ変換では観察範囲が拡大し「全体としてのバランスを取る為に」cos波側で何が起こっているかも視界に入ってきます。

フーリエ変換におけるcos波は実数側に、sin波は虚数側に現れる。これは複素フーリエ級数においてsin波=虚数側にノコギリ波が合成される時の実数側=cos波側の推移。

一緒に表示するとますます訳がわからない事になります。初見の私が感じたのは「異次元から既存常識のの全く通じない相手が侵入してくる宇宙的恐怖」。クトゥルフ神話系展開なら、まさしくSAN値チェックを免れられない展開…

複素フーリエ級数による「ノコギリ波」合成(2次元観点)

実は「フーリエ級数から複素フーリエ級数への概念拡張」は、一緒に認識次元の拡張も行わないといけないのでした。

複素フーリエ級数による「ノコギリ波」合成(三次元観点)

こうして立体図を構成してみれば、全体像が自明の場合として自然に浮かび上がってきます。これを側面から眺めた結果が「ノコギリ波」という次第。未知の領域への概念拡張に際しては、この様な「未知との遭遇」経験こそが役に立つのです。

複素フーリエ級数による「ノコギリ波」合成(側面図)。「斜辺への情報集中」が著しい?

既視感?

ただし、こうした漸進主義的アプローチが必ずしも正解とならない辺りが20世紀以降の時代を生きる私達の辛いところ…

  • 「いかなる分布もサンプル数を無限に増加し続ければ正規分布に回帰すると」考える正規分布原理主義(統計学の進化、特にベイズ過程導入の影響を受けて最近は活動が収束気味)。

  • 「ユークリット座標系など切れなくても、セル数が$${2^{10000}=10^{30}}$$を超えた辺りから予測精度が急激に上がる」Transformer系AIの登場。

ここで思い出すのが有名な「赤の女王仮説」における定理「他の生物種との絶えざる競争の中で,ある生物種が生き残るためには、常に持続的な進化をしていかなくてはならない」という…

「注目株効用(Remarkable Utility)」としての世界商品(Global Product)概念

ここまで「限界効用逓減の法則」概念を巡る数理を俯瞰してきた訳ですが、とにかくいかなる形でも水平次元に何らかの形でユークリッド評価軸を設定しないと話が始まりません。

ところで、ここまで書いてきてふと思ったのですが、我々が「効用」と言われた時に脳裏に思い浮かぶのは、こうした複雑怪奇な全体像でしょうか? 「ビールは常に1杯目が2杯目より美味い」という時の「ビール」は、上掲の様な有象無象が蠢きながら、普段は誰の注目も集めない「日常性(Commodity)の壁」なる闇の奥から這い出す事に成功した「注目株効用(Remarkable Utility)」の代表例の一つで、それ以外に「効用」の定義を満たすものがあっても普段は意識外に追いやられてそれまでなんじゃないでしょうか?

そう、統計学の世界が正規分布を比較対象とした帰無仮説の棄却によって「有意水準を超えた観察対象」に関心を絞る様に…

ならば「世界中が羨望する貴重品として始まり、完全に日常品化する事でその輝きを失った」過去のいわゆる世界商品( Global Product)の足跡を追う事で何か見えてくるかもしれません。例えば「砂糖」…

日本との縁深さでいうと「昆布」…

そんなアプローチに辿り着いた時点で以下続報…

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