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【試論「人工知能概念はいつから存在したといえそうか?」9パス目】「内臓も考える」とはどういう意味?

以下の投稿では、2010年代の海外ネットで「男と女どちらが性器で考えてるか?」論争を目撃した話をしました。

改めて再確認しておくと、この投稿シリーズでは「(細胞の集まりである)個体や(個体の集まりである)群の準安定状態の発足・持続・終焉の系統的観察」を進化論的アプローチと呼んでいます。その観点から当時を振り返るに…

  • この場合の観測対象はあくまで内臓全体であり、そこに宿っていると仮定され、抽出対象となるのは「ホメオタシス=準安定性(Metastable State)を可能な限り持続させる為に埋め込まれたフィードバック機構」という話になってくる。

ホメオスタシスとは、「外界がたえず変化していたとしても、体内の状態(体温・血液量・血液成分など)を一定に維持できる能力のこと」です。ホメオスタシスという言葉そのものは、「変化しない」という意味を持ちます。しかし人間の場合は、全く変化しないというよりは、ある一定の狭い範囲を変動している平衡状態と捉えてもらった方が良いかもしれません。

私たち人間の体は、数十兆個の細胞からなっています。それが一定の営みを続けていられるのは、ホメオスタシスを維持できているおかげです。たとえば私たちの体温は、約36℃程度に保たれています。外が暑い・寒いに関わらず、体温は一定ですよね。

ごく当たり前のことのように思われますが、もし体温が高くなった時に「体温を一定に維持しよう」という機能がはたらかないと、体に熱がこもったままになり、脳がうまく機能しなくなってしまいます。「体温が高くなったら、体温を下げるためにはたらこう(発汗など)」というプロセスは、ホメオスタシスを保つために脳にインプットされているはたらきなのです。

上掲「自律神経のしくみ③自律神経とホメオスタシス」

魔が動かなくまでにはかなり長い時間があり、この時間は相当ひきつづくので、この魔の活動基盤を準安定状態(metastable)いってよい。準安定状態にある魔が実際には存在しないと考えるべき理由は存在しない。実際酵素は準安定状態にあるマックスウェルの魔といってよく、これは早い粒子と遅い粒子とを区別するかわりに、おそらく何かこれに相当する操作によって、エントロピーを減少させるのであろう。生体とくに人間自身もこの考え方で見る事が出来よう。酵素や生体は確かにどちらも準安定な状態にある。酵素の安定な状態とは効目のなくなる事であり、また生体の安定な状態は死ぬ事である。全ての触媒はしまいには効かなくなってしまう。触媒は反応速度を変えるものであって、真の平衡状態を変えるものではない。しかし触媒も人間もどちらも、十分はっきりした準安定状態をもつので、これらは比較的恒久性のある状態と考えてよいほどである。

ノーバート・ウィナー「サイバネティクス(1948年初版、1961年増補)」
  • クラゲやイソギンチャクや貝類の様に脳の代わりに全身を均一に巡る神経網が感覚器官や運動器官に直結している場合、とりあえずそこに宿っている仮定される知性の多様体性から「感覚器官よりの入力に従って、運動器官がその個体をより生存に適した環境に運ぼうとする振る舞い」を「ホメオタシス=準安定性を維持せんとする活動」と捉えて抽出し、これを観測する展開を迎える。ノーバート・ウィーナー「サイバネティクス」はそうした生物学や生理学のアプローチを「そういう風にルベール測度b-aを設定する(それ以外を外測度として切り捨てる)」と表現している。

  • 実は機械学習において「N次元ニューラル・ネットワーク上の各点に加えられる「生存確率」を最大化する為の数理処理」はアフィン変換(平面座標系における平行移動・拡大縮小・回転)に分解する事が可能であり、かかる「生存戦略」とピッタリと重なってくる。

  • その一方、それぞれが特定の感覚器官や運動器官に直結している訳ではない人体の各器官の寄せ集めについて、かかる「ホメオタシス=準安定性」の抽出を目指すなら、自明の場合として「内臓全体の集団対応としてのホルモン分泌の連鎖メカニズム」などが観察対象となる訳である。

ホルモン(hormone)は、体の状態を一定に保つ(ホメオスターシスの維持)ために神経系、内分泌系、免疫系がお互いに密接な関係を保ちながら働いている内分泌系の情報伝達物質(メッセンジャー)で、全身のいたるところでつくられています。以前は内分泌臓器でホルモンがつくられ、血液中を流れて遠く離れた標的となる細胞(標的臓器)に到達して、そこで働くと考えられていました。最近では、つくられた場所のすぐ隣にある細胞(傍分泌)、またはつくられた細胞そのもの(自己分泌)に働くこともわかり、局所でも作用します。今では、体の中でいろいろな情報を伝え合うものの物質をまとめて、ホルモンと呼んでいます。

上掲「内分泌の不思議ホルモンは生命のメッセンジャー」より

実はホルモン(hormone)やフェロモン(pheromone)のこうした「擬似言語的作用」についてはノーバート・ウィナー「サイバネティクス(1948年初版、1961年増補)」の時代から既に注目が集まってきました。

フェロモン(pheromone)は生物が体外に分泌し、同種の個体間で作用する化学物質のことをいいます。そのため、体内に分泌されてその個体に作用するホルモンとは区別されています。フェロモンは同種の個体間で作用することを反映して一般に種特異性が高く、多くは微量で作用します。

フェロモンには、他個体に特定の行動を引き起こさせる解発フェロモン(releaser pheromone)と生理作用にかかわる起動フェロモン(primer pheromone)があります。前者には、性フェロモン、集合フェロモン、警報フェロモンなど、後者では階級分化フェロモンなどが知られています。

上掲「フェロモンの種類とその利用」

こういう方向に話が進むと「使用する語彙範囲がその人物の振る舞いに影響を与える」と想定する人格心理学のビッグファイブ理論との関係まで浮かび上がってきますね。

その一方で「ルベール測度b-aが設定可能な(科学実証主義的アプローチが可能な)」範囲の外測度領域においては、こんな話題が盛り上がったりしてい流という全体像…

  • この話、もしかしたら人間集団に投影すると、移民や外国人労働者の問題に射影されるのでは?


今回はあえて風呂敷を広げるだけ広げて畳まない方向で話を進めてみました。そんな感じで以下続報…

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