他社との競争に勝つためのOODAループ(4/4)
4. OODAループとPDCAサイクルは、使い分ける
PDCAサイクルの考え方については「古い」と言われがちだが、そもそもOODAループとPDCAサイクルは対極的であり、両者は併用・使い分けが可能である。特に管理について、OODAループだけでは、人・モノ・金の管理はできない。
<PDCA>
・確実性が高く、データにより裏付けられる事象に有効。下流工程に向く。
・実務ではPDCAサイクルが偏重される傾向が強い。
・Plan重視:そこに時間をかけるあまり、適切なタイミングを逸するという弊害もみられる。
<OODA>
・不確実性が高く、データがあまりない状況に有効。研究開発上の上流段階や新規事業開発に向く。
・まずは観察が重要。
・財務的コントロール、予算等の管理には適用できない。計画は別途必要。
OODAループとPDCAについて、この記事の参考図書『OODA LOOP』(チェット・リチャーズ 著)の訳者である原田勉氏は、日本語版の「訳者解説」の中で、ステージ・ゲートモデルの中でOODAループを回すことが可能と説明している。
ビジネスでは、それぞれの仕事に工程やステップがあり、各ステップの終わりには上司や関係者のレビュー・承認を受けて、次の作業に移るという方法を採択していると思う。又は、改善対象となっている業務についてはP、D、C、Aのステップをそれぞれチェックポイントとしてのレビューや審査会を行って進めているはずである。
ステージ・ゲートモデルは、まさにその方法のことである。この場合、原田勉氏は、PDCAサイクルとOODAループを上下で融合できるとしている。
個々の工程の中ではOODAループを回し、ゲート/レビューで次の工程に移るかをレビューして判断するということである。少々抽象的なので実際にどのように適用できるかイメージしにくいかもしれないが、ビジネスでのあらゆるプロジェクトは、まったく計画をしないという状態はあり得ないので、計画があった上で、個々の工程においてOODAループを使うというニュアンスでご理解いただきたい。
このようなステージゲートの仕組みは、PDCAサイクルの計画偏重、形式的硬直性を回避するとともに、OODAループの乱雑さ、どんぶり勘定によるコスト増、時間遅延に対するけん制メカニズムとなる。
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以上でOODAループに関する説明を終わる。日本の各企業内の各組織が、健全な競争力を身に着け、日本国内及び世界に向けたビジネスで切磋琢磨して繁栄することを願うものである。
(以上)