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韓国における美容ツーリズムの成長について

医療ツーリズムという言葉は日本では未だ馴染みが薄い人が多いが、例として“韓国に美容治療を受けに行くのも医療ツーリズムの一環です”というと理解してもらえることが多い。それほとまでに韓国への美容ツーリズムは日本で一般的になってきた。
 
その韓国の保健福祉部は4月29日、昨年に韓国を訪れた外国人患者数が60万6000人を記録し、22年(24万8000人)と比べて2.4倍に増加したと発表した。これは医療観光が本格的に始まった2009年以降最大で、コロナ禍直前の2019年の水準を上回っている。
https://news.biglobe.ne.jp/international/0501/rec_240501_6490238883.html
 
さらに韓国はこの水準を高め、2027年には70万人を目指すことを宣言している。
今回の記事では、もう少し深掘りして数字を見たいと思う。
下記のグラフは韓国への海外からの観光客(紺色)、及び医療ツーリストの数(水色)だ。見ての通り、観光客・医療ツーリスト共にコロナ禍までは右肩上がりだが、伸び率は医療ツーリズムの方が高い。例えば2009年時点では医療ツーリストは全体の観光客のうち0.8%程度だが、2019年には2.8%程度まで増加している。
 

 
出典:https://www.mohw.go.kr/board.es?mid=a20401000000&bid=0032&list_no=1481263&act=view
 
このグラフは2022年までしかないが、今回冒頭で紹介した記事が2023年の数字でそれが60万人ということになる。2022年が50万人だったことを考えると恐るべき伸び率だ。70万人の目標はコンサバティブにすら思える。
 
同じ情報ソースからは国別の内訳も見れる。2019年までは中国が大きな割合で成長しており、次いで日本が成長していることがわかる。それに次いで規模が大きいのはUSだ。USから韓国への医療ツーリストが多いことは意外だったが、アジア系アメリカ人だろうか?
 

韓国への医療ツーリズム患者の国別内訳


さて、ここまで韓国が美容ツーリズムで躍進を続けていることについて、それを強力に後押しする国策について見てみたいと思う。韓国にしろタイにしろ、医療ツーリズムが盛んな国はほぼ国策の中にそれが入っている。
韓国の場合、2023年に発表された外国人患者誘致活性化戦略には4本の柱がある。
 
1.     出入国手続きの改善:
・   ビザ発給の利便性向上:電子ビザ申請権限のある優秀誘致機関の指定を拡大し、ビザ発給プロセスの効率化を図る。
・   入国手続きの簡素化:医療観光目的の入国が容易になるよう、関連法令を改定し、ビザ申請時の審査期間を短縮。
・   出入国優待審査台の利用特典:誘致活動を支援するため、専用保安検査場及び出入国優待審査台の利用特典を提供。
2.     地域・診療科偏重の緩和:
・   医療・観光連携強化:ウェルネスと医療観光を融合した複合クラスターの構築、地域特化型誘致モデルの開発を進める。
・   国別オーダーメイド戦略:診療科目ごとの需要に応じた国別戦略を策定し、診療科目の偏重を緩和する。
・   地域均衡発展:地域ごとに医療観光のモデルを開発し、ソウル圏に集中する医療需要を地方へも分散させる取り組みを行う。
・   誘致産業の競争力強化:
3.     誘致機関の品質管理強化:誘致医療機関の評価・認証制度を改善し、品質管理を強化。
・   ICTを活用した事前相談・事後管理:ICTを活用して効果的な治療と患者満足度向上を図る事前・事後管理支援事業を拡大。
・   非対面診療の制度化:「医療海外進出法」の改正を通じて外国人患者の非対面診療の制度化を推進。
4.     韓国医療のグローバル認知度向上:
・   国際イベントと広報活動:メディカルコリア国際カンファレンスの運営やオンラインプラットフォームを活用した広報活動を強化。
・   官民協力事業:在外公館や韓国文化院などとの常設協議体を構成し、国際的な官民協力事業を活性化。
メディカルコリア支援センター:外国人患者総合支援窓口を通じて、韓国医療情報案内や医療紛争支援を提供。
これらの戦略を通じて、韓国は医療観光業界での競争力を強化し、グローバルな医療観光のハブとしての地位を確固たるものにすること
 
 
これらの施策を通じて、魅力を高め、それを発信し、そして実際に韓国に訪れる際にはビザなどが簡便にできるように取り組まれている。
 
日本においても同様に包括的に取り組んでいく必要がある。が、とりわけ足りないのはグローバル認知度、いわゆる広報戦略だと思われる。日本がどの疾患領域で競合優位性があり、どこをターゲットにしていくのかを明確にしていく必要があるだろう。
 
 
 
 

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