小学低学年に伝えたい性教育のはなし|子どもの未来のために
「そろそろ子どもに性のことを教えた方がいいのかな。」
「“性教育”とはどんな事なんだろう。」
子どもが小学生にもなると、我が子に対してこんなことを考えはじめる親御さんも多いのではないでしょうか。
はい、私もその一人です。
ヨーロッパに比べて、日本はまだまだ子どもへの性の教育が遅いと以前からよく言われています。
しかしここ数年は、それを問題視する教育に携わる専門家などによって、性教育の重要性を広めようとする動きが多く見られるようになりました。
書店で気にしてみてみると、意外と性教育に関する本は沢山並んでいるのです。
「性教育」とは、性についての知識を伝えるだけでなく、これからの成長の中で自分の存在そのものを大切にし、他の人の存在も大事にするということ。
"人”に対する価値観を知り、同時に性犯罪や予期せぬ妊娠の減少にも繋がる、安全の為の学びでもあります。
親として、伝えたい事の一つですよね。
そこで、私が学んだ「小学低学年向けの性教育について」を記します。ぜひ読んで見てください。
家庭での性教育の大切さ
わざわざ家庭での性教育をする必要はないのでは?と思う人もいるでしょう。
そこで「なぜ家庭での性教育が大切なのか」ということからお話したいと思います。
いま日本では、遅れているとは言うものの、性について学校教育は行われてはいます。
しかし、どうやら少し内容が足りていないようなのです。
文部科学省によると「学習指導要領」では、性行為は取り扱わないことと決まっています。(現在、見直しも検討されているそう)
小学性3、4年生から性の学習は始まりますが、体の発育や発達については学べるものの、ごく一部の内容のみ。また、学校や地域によっては温度差もさまざまであるようです。
また厚生労働省がまとめた「令和2年衛生行政報告例:結果の概要」によると、日本の人口妊娠中絶件数は約14万1,433件。
そのうち1万309件は20歳未満で、19歳は4,592件、18歳は2,723件と算出されており、多くの未成年に予期せぬ妊娠が起きているとわかります。
そこで、未来ある子どものために性について正しく知る機会を作る必要があるのでは。
学校任せではなく、家庭でも教育することが大切なのでは。
と、近年子どもに向けての性教育の重要性は、多く取り挙げられるようになりました。
性教育のメリットは生きる力になる
性教育のメリットは、生きる力につながる事です。
自分の身体を正しく知れることで、健康で安全に生きられます。
また自分の存在を肯定的に受け止められ、これも生きる力となります。
特に家庭で風通しよく親と子が性について話ができる子は、性暴力に巻き込まれにくく、自分で自分を守れるようになるそうです。
逆に親が性についての話を避けるようにしている家庭の子は「そういうことは親に話してはいけない」と察し、性の心配ごとや万が一の性被害などがあったとしても、なかなか親に話すことができずに、自分で抱え込んでしまうことがあるといわれます。
"なんでもオープンに"とまでは行かなくとも、我が子が悩みごとや不安ごとを抱えているのであれば、話してもらえるような関係でいたいですよね。
まだ幼いと感じる"小学低学年"であっても、今から教えられることは少しづつ伝えていけたらいいのではないでしょうか。
「まだ小さいから大丈夫」ではなく「今からできること」を正しく伝えていきたいものです。
小学低学年向けの性教育3選
小学低学年に教える性のことには、どんなことがあるのか。
いざ性について子どもに教えようとも、何から伝えればいいのか。性の話と思うと少し恥ずかしいと感じる人もいますよね。
教えるポイントがわかると、今までなんとなく教えていたことも、不安がなくなり話しやすくなります。
私でも実践できた、小学低学年向けの最初の性教育3つをご紹介します。
プライベートゾーンのこと
「プライベートゾーン」とは、性に関わる大切な場所のことです。
“大切な場所”を教えることは、子どもを性犯罪から守る為の大切な初期の性教育だと言われています。
プライベートゾーンとはどこなのか。
それは男女問わず、「胸」「口」「性器」です。
教えたいことは『自分の体の大切な場所「プライベートゾーン」を人に見せたり、触らせたりしてはいけない』ということ。
幼児期のころから、園などで教育する地域もあるそうで、習慣として繰り返し教えていくことが大切だと言われています。
自分の体に興味関心が湧く時期や、男女を意識し始める小学低学年の時期に、
自分の体にプライベートゾーンがあること
プライベートゾーンはとても大切な場所であること
を、決して”恥ずかしいところ”などといったネガティブな表現ではなく、しっかりと伝えていきましょう。
性器の洗い方のこと
性器の洗い方について伝えることも、性教育の一つになります。
『体の大切なところだから、きれいに洗うんだよ』と教えることが必要です。
男の子であれば、ペニスに先は尿の汚れが残りやすいので、せっけんで優しく洗ってお湯でしっかりと流します。
洗い方については、医師の指導でも意見は分かれるようですが、幼い時から包皮をずらして、むいて洗うのが良い。とする人と、自然にむけるので無理にむいて洗わなくてもよい。とする人がいるようです。
女の子であれば、性器の表面は泡立てたせっけんで優しく洗います。
ひだになっているところは汚れがたまりやすいため、指の腹などで丁寧に洗って、しっかりすすぎます。
中まで指を入れて洗う必要はありません。
性器に触ること
子どもが集まる場所で色んな子を観察していると、股を気にして触っているの子を見ることがあります。
もし、我が子がそうしていたら「やめなさい」と、つい言ってしまいそうになりますよね。
そんな時は“いけないこと”として位置づける事はせず、“マナーについて話をする”とよいそうです。
基本的に体は自分のものであり、どこを触っても問題はありません。
大事なのは、
性器(プライベートゾーン)が自分の大切な場所であること
清潔な手で優しく扱うこと
誰にも見られない一人だけの場所で
と言うことです。
子どもが性器を触る理由は色々ありますが、尿意の場合であったり“触るとなんとなく安心する”とか“落ち着く”とか、そんな理由の場合もあります。
ただ何となく触っていることが多いようです。
性教育におすすめの本
ここまで、小学低学年に伝えたい性のことについてご紹介しました。
しかし、急に性の話を子どもにするのもなんだか難しい。
ごく自然に伝えたれるいい方法があったらありがたいですよね。
そんな時、本を通じて伝えるのがいいのではないでしょうか。
一緒に読むのもよし。さりげなく絵本の並ぶ本棚に仕込んでおくのもよし。
絵本であれば、ポップで可愛らしい挿絵と共に物語のように、性について語られており、親と子どもが自然に性について話をするきっかけにもなります。
また同時に命の尊さにも触れ、我が子が生まれた時の事を思い出して涙が流れそうになることも。
日々の忙しさや大変さを感じている親にとっても良い時間になるかもしれません。
性教育に繋がる、おすすめの絵本をいくつかご紹介します。
おちんちんのえほん
「男の子の性教育の絵本がほしい」という声から生まれた、幼児から読み聞かせられる絵本です。
男の子向けのテーマではありますが、女の子についても書かれており、性別問わず読むことができます。
男の子と女の子の体の違いや、プライベートゾーンのこと。性被害についてや命の誕生までを優しくわかりやすく語られています。
性教育の第一歩として、購入する人が多いようです。
筆者は子ども(息子)が年長の時に購入しました。親子ともに好きな本です。
あっ!そうなんだ!性と生 ―幼児・小学生そしておとなへ―
絵本編と解説編の2部構成になっている、小学生向けの性教育の本です。
絵本編では、テーマに合わせて絵とカナの振った文章で、子どもの疑問に答えるような読みやすい内容で、わかりやすく身体のことや、命のことが解説されています。
解説編では、おとなに向けての絵本編のテーマについての補足や、子どもへの伝え方や配慮したいポイントなどが、丁寧に説明されています。
筆者はちょうど、教育委員会主催の性教育の講座を受けたあとに購入しました。
ちょうど小学低学年の我が子に、これから伝えていきたい性についての内容の本です。
13歳までに伝えたい女の子の心と体のこと
13歳の体は、ちょうど成長のスパートを迎えているころです。女の子なら生理が始ま子もいるでしょう。
そんな時期の女の子に向けての本です。
子ども自身、大人に向けての体の変化に不安になったり、異性への心の変化に敏感になったり。
親としても、我が子のそのあたりの事情が気になる頃です。
そんな年頃の女の子に向けて、自分が自分らしくいられる為に、漫画でわかりやすく身体の成長や性について伝える内容になっていて、親から娘へのプレゼントとして購入する人も多いようです。
同じ著者の男の子向けの本で「13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと」、また更にステージアップした年齢に向けて「15歳までの女の子に伝えたい自分の体と心の守り方
」もあります。
最後に
ここまで、小学低学年の我が子に伝えたい性についてご紹介しました。
紹介しきれていない性のテーマもありますが、どのテーマにおいてもポイントは共通しています。
・自分を大切にすること、守ること、そして他者も尊重すること
・自身の身体を知ることで、健康に安全に生きること
・人は多種多様であり、ありのままの自分を受け入れること
未来ある我が子を守るためにも、知ってほしい性のことや命について、良くも悪くも情報が溢れる今の時代だからこそ、正しい知識をもって、自分のことを大切にしてほしいですよね。
そのためにも「親自身が正しい事を教える意思と、知識を持つ必要がある」と筆者自身が感じ、性教育について学ぶ講義に参加して、記録としてこの記事を書きました。
同じような想いでいる、小学低学年の子を持つ親や、小学・中学生の子を持つ親に少しでもお役に立てたらうれしいです。
子どもへの性教育を、一緒に少しずつ始めていきませんか?
最後までお読みいただきありがとうございました!
参考https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/20/dl/kekka6.pdf