子どもが不登園になった#02
不登園のはじまり
子どもがお友達から理由なく顔をひっかかれて3日後、
「今日は保育園いかない」と暗い表情で言ってきた。
「またあの子が暴れるかもしれないから怖い、先生達も止めてくれるけれど、先生もケガしてる」
確かに1年前くらいから、特定のお子さんが暴れているというのは聞いていたけれども、ただの癇癪だと思っていた。
「先生ケガするの?」
私が聞くと、息子は頷いた。
「そう、先生もひっかかれるよ」
どの程度なんだろう?
先生の怪我も、その子が暴れているところも見たことがないので、息子の言うことがどこまでのことなのか判断がつかない。
ただ、この時の息子は表情は暗く、うつむいたまま口数が少なかった。
明らかに不安を感じていたのと、この日は金曜日だったので、日曜日まで休ませることにした。
「じゃあ今日は休もうか」
そういうと、息子はほっとした表情になった。
まあ、今週大変だったし、週末は休んでのんびりできればいいよね…、
この時は来週になればいけるかな、とのんきに構えていた。
クラスに入れない
保育園にお休みの連絡をした後、週末だったのでお昼寝のシーツ類だけ取りに行くことにした。
息子を家に一人にできないので、「シーツ取りに行くだけだから、いこ?」と声をかける。
息子は「う~ん…」と渋い顔。
とはいえ、一応自転車に乗ってくれたので、保育園に向かう。
外は蝉の声と蒸し暑さで、夏真っ盛りだった。
いつもの登園時間ではない時間に、預けるためじゃないけれど、園に向かうのか不思議な気持ちで、違和感があった。
保育園に到着し、駐輪場に自転車を止めて息子を降ろそうとすると、息子は固まったまま降りようとしなかった。
「ぼく、ここにいる」
表情は硬く、緊張している様子がうかがえた。
「ここは暑いから、中に入ろう?」
「いや!いやだ!絶対入らない!!!」
絶叫に近い、痛々しいほどの叫び。
「一人で外にいるのは危ないんだよ。クラスに行かなくてもいいから、保育園の中に入るだけ入ろう?」
「じゃあ、くつぬぐところにいる」
何とか説得して、保育園に入る。石のように固まった息子を下駄箱に待たせ、年長クラスの部屋に向かった。
クラスではちょうどお昼を食べているところだった。
「あ、せいちゃんのママだ!せいちゃん今日お休みなの?」
仲の良いお友達が駆け寄ってくれる。
「そうなの、今日はお休みなんだ。また来週来たら遊んでね」
そういいながら、なんだか少し悲しくなってしまった。
先生持ってきてくれたシーツを受け取り、早々に退室。
下駄箱に戻ると、座ったままの息子がいた。
「せい、お待たせ、行こう」
息子は無言のまま、のろのろと立ち上がり、保育園を出た。
活力のない息子に反して、夏の日差しは強力で、木々も虫も周りには生命力が満ちていて、それがうっとおしくなるほどつらかったのを覚えている。
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