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異次元の少子化対策…幸子と一郎の物語…

2030年、日本は若者の未婚率は60%、国民1人の出生率は0.5人にまで落ちてしまっていた、政府は慌て「難民」を受け入れて雇用などに回したが、ハーフの子供ばかりが増えて「純正日本人」の人口は減少するばかりであった、

「このままでは日本は滅びる」政府は頭を抱えた、そんな時、ある大学の研究室が画期的な発見をした…


第一章 この発見は「是」か「非」か?

○○大学の研究室はこの発見に湧いていた…
「これは大変な発見だ!!!!」加瀬教授は叫んだ!!!

加瀬教授はあるたんぱく質の一種を発見したのだが、これは、閉経を迎えた女性の卵子を再び甦らせ、また精子を生産しなくなった男性の精巣を甦らせる事が出来る事が分かった

この発見は「不妊」の治療に役立つのではないか?
最初の加瀬はそう思っていた。


そして、このたんぱく質をワクチン化して注射をすれば、一週間以内に女性の卵子、男性の精子の活動が活発になるところまで研究は進んで行った…果たしてこれは「神」や「自然」に逆らう発見なのか?昔「体外受精」を発見された時と同じ論争が医学界に巻き起こった…


政府の上層部もかなりな論争になった、確かに画期的な発見ではあるが、果たして、閉経を終えた女性がまた「生理」が復活して、男性も老人なのに「勃起して精子を出す」これが正しいのか?神の領域なのでは無いのか?しかしこのままでは若者は結婚しないし、子供も作らない、政府は今迄の「異次元の少子化対策」は全て失敗しているのを実感していて頭を抱えていた。


東京都は2025年に都の独自の「出逢い系アプリ」を開発したが、若者にはサッパリ広がらなかった。


若者は「貧困」に喘いでいた…年収はなにしろ30年以上上がらない、せっかく結婚しても、パートナー同士が「奨学金返済」に追われて「子作り」などしているヒマは無かったひたすら働く日々に国民は疲れて希望を失っていた。


また、男女雇用均等法により、男女の収入に差は無くなっているので、女性も自分の母親の苦労を見ていて「あんなにしてまで結婚したくない」という意見が多かった。


親が「昭和」生まれの女性はまだまだ「男尊女卑」の風潮が残っている家庭で育ち、育児は全て母親任せの父親を見て男性に失望していたし、逆に「優しいお袋」に育てられた男性は今のバリバリ働くキツい女性に気後れして「口説く」勇気が出なく、お互い40代で「童貞」「処女」が多かった。


ジジイたちは「俺たちが若い頃は電車でもナンパしたぞ」と自慢げに言うから尚更、若い男たちは恐れて「草食化」して行った「肉食男子」や「肉食女子」は極端に減って行きこれが「少子化」を更に増やして行く無限のループ🔁になり政府は頭を抱えたが、どうしようも無い現実だった。


しかし、この大発見のニュースは世界中を駆け巡り、「不妊」で悩むカップルはワクチンの実用化にデモを国会前で始めた、日本は揺れていた…


第二章 首相夫妻の願い


加瀬教授はある日、総理官邸に極秘で呼ばれた何事か?と思ったがこの薬の認可が早まれば、かなりな反響になると思ったし、製薬会社が世界中からコラボの名乗りを挙げていて「これは凄いビッグビジネスになる」と確信していた


官邸の裏道で車は止まり、官邸の中から妙齢のスラッとした女性が出て来て「こちらへどうぞ」と案内してくれて、加瀬は「何処かで見た事がある女性だなぁ」と思いながら、彼女の後ろを歩いて行った。


やがて、大きなドアのある部屋に通され、お茶を出されて暫くすると、これまたスラッとした男性が登場した…加瀬はビックリした!!!!


山田首相!!!!思わず声をあげてしまったが、まずかったかな?と思い、周りを見回したが、誰もいない様でホッとした…


山田首相は「よくいらしてくださいました」と微笑み、よく見ると隣りに先程のスラッとした女性も微笑んで立っていた。


確か、照代夫人か?そうだ、何故先程に気が付かなかったのか?加瀬はおおいに焦った


山田首相はにこやかに「どうぞくつろいでください」と言い、夫人と並んで座った、確か山田首相は世襲で父親も議員だったなぁ、などど加瀬が考えていると…


「加瀬教授」と山田首相が口火を切り「そちらの研究には大変注目しています」と言った「ありがとうございます」思わず、加瀬は頭を下げた


そして、山田首相は言った「もし良かったら、私たち夫婦を実験1号に使って貰えませんか?妻ともかなり話し合いまして、私たちには子供がいないんです
ですから跡取りが必要なんですよ、長い不妊治療をしましたが、私たちは両方に欠落している所があり諦めていたんです」


「ハァ?山田首相本気ですか?」「勿論です」山田は言った「私はもう65歳、妻は60歳、なんとしても子供が欲しいんです!!!!」そう言いながら夫妻は加瀬に土下座した「いやいや、お二人とも頭をお上げぐださい」と加瀬は夫妻に焦って言った、心の底からビックリした。


参ったなぁ〜〜これは「失敗は許されない案件だ」「しかし、どうやってこの夫婦に子供を授けるか?先ず、何をすれば一番ベストなのか?」を考えて「暫く考えさせてください」と加瀬は官邸を後にした


そして、研究室に戻り、1番の助手の石川と2人でコッソリとミーティングした

えっ!!!!あの山田首相夫妻が子供が欲しいですって!!!!石川は思わず叫び、慌てて口を押さえて周りを見た、これは大変な事になってしまった…


それから、加瀬と石川の計画が始まった…

先ず、極秘で官邸に行き、夫妻にワクチンを打って様子を観る事にした、ワクチンはあっという間に終わり、後は、
照代夫人に「生理」が来れば、一つはクリアする事になる、ワクチンの効果は加瀬が考えている以上に絶大で、ナント!!!!翌月には照代夫人に「生理」が来た…同時に山本首相の精子の数を数えたら、これまたナント!!!!
20代前半の勢いの良い精子であった、これで妊娠しないのはおかしい、加瀬は夫妻に尋ねた

どうしますか?体外受精にしますか?それとも…と言いかけたら、山田首相は言った「私どもは本当に愛し合って結婚したんです、彼女の家はごく普通の家庭でして、私の両親はもっと家柄の良い女性をと大反対したんですが、私は反対を押し切り彼女と結婚しました、だから自然に任せてみたいと思います…」


流石に長く政権をこなすだけの人物だ、と加瀬は山田首相の大ファンになった

やがて3ヶ月後に夫妻は妊娠した…加瀬のチームと山田首相夫妻は泣いて喜んだ…


あとは、果たして妊娠期間がどうなるか?照代夫人は60歳子宮の弾力が固くなっていて赤ちゃんを育てられないケースも考えられたが、加瀬のワクチンは子宮まで「若返り」が出来るという、嬉しい発見だった…そして照代夫人は肌もツヤツヤしてきて、夫の山田首相もシワやシミが薄くなるという、嬉しさが倍増する効果もある事がわかった、後は如何に「認可」を国が認めて「実用化」に導くかが、大きな課題であった。

さて、照代夫人の「妊娠チーム」は毎日毎日彼女を観察した、夫人は少し悪阻があった程度で順調に妊娠生活は進んで行った、初めて「胎動」を感じた時は、夫婦で泣いて喜び「本当に待ち望んでいたんだなぁ〜〜なんて良い夫婦なんだ」と加瀬も感動した

やがて38週を迎えて照代夫人は出産した「無痛分娩」を勧めたが「陣痛を経験したい」と照代夫人たっての希望で、助産師、加瀬や様々な医師が見守る中、照代夫人は陣痛の中無事に男の子を出産した…


山田首相は照代夫人の手を握り泣きながら「ありがとう」と言ったあと、加瀬たちへ振り向き、深々と頭を下げた…


そして、加瀬は驚いたのだが、緊急記者会見を山田首相は行い加瀬も同席して、この一部始終を報告した「この人は素晴らしい人だ、これだけのリスクを背負い、下手をしたら首相辞任になるのに、子供を日陰の子供にしたくない一心から全てを報告したんだな」と加瀬も涙ぐんだ


第三章 ハッピーワクチン


やがてこのニュースは世界中を駆け巡り、日本の研究チームは話題になり、然も実験第一号が首相夫妻なのが話題に火を付けて世界中からオファーが殺到した、そして、このワクチンは加瀬に一番協力してくれた、ニーサ製薬が独占する事になり、「ハッピーワクチン」と名付けられてワクチンは量産されて世界へ拡がって行った、最初は「不妊」に悩むカップルに実用化されて行ったが、思わぬ方向へ進んで行くのを、加瀬はまだ想像していなかった

山田首相の赤ちゃんは「奇跡のベビー」てしてアイドル並の人気を獲得して、照代夫人が赤ちゃんを抱っこして歩く写真は女性週刊誌の恰好の話題になった、赤ちゃんは「希望」の望をとり「山田 望」と名付けられた、山田政権はますます人気を上げて行った

しかし、まだまだ若者は「結婚」「子作り」はしないままで、サッパリ人口は増えて行かなかった…

第二章 一郎の決意

ある秋の午後、幸子は縁側でお茶を啜りながら、庭をぼんやり眺めていた…この頃はこんなぼんやりした時間が増えた様な気がする、これが「老人」になるという事なのか?幸子は一抹の寂しさを感じていた…


「おい!バーさん」と一郎が呼ぶから「なんだい?ジーさん」と幸子は言った、出逢った時は「一郎さん」「幸子」子供が生まれたてからは「パパ」「ママ」成長したら「お父さん」「お母さん」今は「ジーさん」「バーさん」とまぁ、スタンダードな道を歩んだ夫婦である。


お互い70歳、完全なる「老人」である、一郎はつるっハゲ、幸子は真っ白な白髪で化粧っ気もない、デンとした尻をした「老婆」だった


「おい!!!宏は何歳になった?」「…アンタが28歳の時の子供だから42歳じゃないの?」「小百合は?」「アンタが30歳の時の子供だから、40歳でしょ?」小百合は一郎が吉永小百合の大ファンで小百合と名付けたが、吉永小百合とは全く似ていない….


「なんで二人とも結婚しないんだ?」
「そんな事知らないわよ」幸子はお茶を啜った


2人の子供は全く結婚する気は無く、長男の宏は市役所に勤めていて、福祉課にいるので、殆ど毎日老人相手に1日が終わり、趣味は1人キャンプ、長女の小百合はあるファッションブランドで働いていて、一郎が理解し難いファッションとメイクで、鼻にもピアスを開けていて、男と結婚よりは、いい歳をしてアイドルの推し活をしていて、今は名古屋のコンサートに行っている、2人共に一郎夫婦の近所に住んでいるので、幸子は気軽に友人とランチに行ったりカラオケに行ったり「自由な老後」を楽しんでいる、一郎は気難しいが人当たりは良く町内会の会長をやっている


「しかし、このまま行ったらヤバいぞ!!!!」
「何が?」「日本の人口が増えないぞ!!!日本は終わりだ」「そんなのジーさんが考えたって仕方ないでしよ?なる様になるわよ」「なる様ってなんだ?なる様って」と2人でいつもの雑談をしていたのだが、幸子から見ると


一郎は妙に「愛国心」が強過ぎる、万が一、日本に「有事」が起きたら真っ先に死ぬ覚悟だと真面目に話して幸子を呆れさせている「私たちが死ぬ頃の話しなんだからどうでもいいじゃん」と幸子はまたまたお茶を啜った


「…俺、考えたんだが…」一郎は言った「何を?」


俺たち子供を作らないか?😳


ハァ?子供?何言ってんのよ💢


いや、本気なんだ、このままじゃ日本の人口は増えないだろ?2人でハッピーワクチン打って子供を作って国に貢献しようじゃないか!!!


ハァ〜〜〜〜?


この押し問答を1週間続けたある日…幸子は言った

「だってジーさん、今から子供作ったら、子供が20歳の時は私たち90過ぎよ?生きてる?」そう言ったら「その為に、宏と小百合がいるだろ?後はアイツらに育てて貰おう、子供が如何にかわいいか、実感して結婚するかもしれん😤」「なるほどね〜〜」幸子はそこまで一郎が考えているとは思っていなかった


しかし、この歳で子育て出来るのか自信がなかった、子育ては体力勝負なのを幸子は身に染みて知っている、毎日毎日の授乳にオムツ変え、歩く様になったら追いかけるのも大変だ、それにベビーカーを押したりなんだかんだと果たして私に出来るのか?もう2人を育て上げてやれやれと自由を満喫してるのにまたあの苦労をするのか?ほとほと嫌だった


しかし…
「今度は俺も時間があるから協力する」と一郎は譲らなかった「ジョン.レノンみたいな父親になってやる」幸子は「出た出たビートルズ世代」と思った、一郎は全てが甘いと思った。


そして、3ヶ月後、2人は加瀬の勤務している病院へ2人で行った、加瀬は研究者だが、大学病院へ月に一回は外来に出ている、加瀬はいつまでも「医師」でいる事に拘りがあった。


2人は加瀬に挨拶して、現在、70歳だが、日本の為に子供を作りたいと言った、加瀬は少し驚いたが、冷静になって
「そうですか…」と言った「お願いします」と一郎は頭を下げた「…ご主人、妊娠、出産は女性の身体に大変ダメージを与えます、ましてや奥様はかなり高齢ですよ?わかっていますか?」「ハイ!!!!大切にするし、幸い時間はたっぷりあるので、育児に最大限の協力をする所存です!」「奥様はそれで良いんですか?」加瀬は質問した。


「私も悩んだんですが、主人の意思は固くてねぇ、それにもう一度新生児を抱いてみたい気持ちになって来ました、不思議ですね」とふっくらとした手をモジモジさせて幸子は言った、加瀬は「なるほど、この夫婦は本気なんだな、しかし、妻は70歳、果たして出産に耐えられるのか?加瀬は不安になったが一郎の「国の為に子供を作りたい」の言葉は不思議と心に響いた。


「…分かりましたハッピーワクチンを打ってみましょう」「ありがとうございます!!!!」2人は頭を下げた


その後、2人は血液検査やレントゲンを撮り「妊娠しても大丈夫な身体である」と加瀬は判断して、ハッピーワクチンを打った…


ひと月後、幸子に「生理」が来た、一郎も珍しく「朝立ち」があり、ワクチンの効果に2人はビックリした、幸子はドラッグストアで「ナプキン」や「タンポン」を何十年振りに買ったが、初潮を迎えた少女時代が甦り不思議な感覚が戻って来た…


加瀬からGOサインが出たので、いよいよその夜何十年振りかに2人はセックスする事になったが、2人でベッドに正座して一郎が幸子の肩に手を当てて「バーさん、いよいよだな…」と言うと幸子は一郎の唇に指を当てて「もうバーさんは辞めましょう、幸子って呼んで」「一郎さん」「幸子」2人は抱き合った、不思議と若い時の感覚が2人共に甦り嫌な気分にはならなかった…


そして3ヶ月後に幸子は妊娠して、一郎は大喜びで万歳🙌と叫び、玄関に日の丸🇯🇵の国旗を揚げた
全く「愛国心」の塊である…




そして、宏と小百合を呼び、幸子の妊娠を告げたら、2人は腰を抜かすほど驚いていた…


宏は「それで、親父、お袋とやったのか?」と質問した一郎は「当たり前だろ」と言った、幸子は恥ずかしくて下を向いていた。


宏と小百合は2人同時に「気持ち悪い💢」と叫んだ…


「気持ち悪くても良いんだ、この子は俺たちの愛の結晶だし、日本の子供なんだ!!!!」「日本の子供?」
「お前たち若いもんが、子供を作らないから、我々老人がお国の為に子供を作るんだ!!!何が気持ち悪い!!」と親子喧嘩になり「まぁまぁ、宏、落ち着いて」と幸子は言った「もう赤ちゃんは出来てしまったんだし、産むしかないのよ、あなたたちも覚悟を決めてね」「なんの覚悟だよ」「私たちが、先に逝ったら、この子は宜しくね」「ハァ?」「この子はお前たちの弟妹であり子供でもあるんだからね」今度は小百合が「ハァ?私、推し活忙しいんだけど💢」と叫んだ、しかし、幸子は「あなたよく言ってたじゃない?結婚はしたく無いけど子供は欲しいって、同じでしょ?宜しくね」「ハァ?」と一回目の大騒ぎの家族会議は終わった。


宏と小百合は久しぶりに兄妹で居酒屋に行き、ビールを飲みながら、2人で話し合った「全く!親父は何を考えているんだ?子供を作っただと?気持ち悪い」「兄貴、私も気持ち悪い、あの2人がヤッていたとはねぇ〜〜」小百合は生ビールをグイっと一気に飲んだ…


宏は「コイツ、男出来ないだろうな、仕草がもうオヤジ化している」と心の中で思い、小百合は小百合で「アニキ、オヤジに似てハゲて来たわね、もう結婚は無理だわね」と思っていた「やっぱりマー君よねマー君」と推しの20歳のアイドルと兄を比べた、しかしこの2人は全く「現実」を見ていない、今の非婚の男女の典型の様な2人だった…2人はやがて来る未来に不安しか無かった。

第三章 幸子と一郎の物語り 


幸子が一郎と初めて会ったのは高校に入学してからだ…
一郎は一年生のくせに「生徒会長」に立候補した「変わったヤツだなぁ〜〜」と思った、一郎は髪は7:3に分けてメガネ、幸子はその頃流行っていた、キャンディーズの蘭ちゃんが好きで彼女と同じヘアスタイルをしていた、男のアイドルは断然 野口五郎で彼みたいなロングヘアが好きだったので、今時7:3に分けているヘアスタイルを「カッコ悪い」と思っていた、まだ「ダサい」という言葉は無かった。


一郎は卓球部に入りそれも「カッコ悪い」と思い、幸子はギター部に入り布施明の「シクラメンのかほり」をよく演奏しながら、歌っていた、理想の彼氏は野口五郎、一郎とは真逆だった、ある日幸子は音楽室で「シクラメンのかほり」を歌っていたら、ふと、視線を感じで目を上げると一郎がこちらをジッと見つめていた「…何か用?」と聞いたら一郎は「いや、凄く良い歌だなと思って…」幸子は嬉しくなり「そうでしょ?これ、小椋佳の作詞作曲なのよ」「小椋佳?」「あなた小椋佳知らないの?」「うん」幸子はジャーンとギターを鳴らして「さらば青春」を歌った


目を閉じて一郎はジッと聴いていた….「凄い曲だね、♪僕は呼びかけはしない♪」なんだか、今の僕の心境だなぁ〜」そう言うから幸子は「じゃあ、カセットテープ貸してあげるよ、いろんな曲が入っているよ」とカセットテープを一郎に渡した、一郎は「ありがとう」と言ってカセットテープをポケットにしまった、帰る後ろ姿を見ていたら「あれ?あの人、髪の毛伸ばしたの?」と幸子は思った


それから一郎は度々 音楽室に顔を出して幸子の歌を聴いて「幸子の歌って凄く良いよな」と言った、いつの間にか「幸子」と呼び捨てになっていたが、幸子は別に一郎はタイプでは無いので「一郎さん」と距離を置く呼び方にしていた、ある日一郎が「この曲凄く好きなんだ」とカセットテープを幸子に渡した「家に帰って聴いてみて」と言って一郎は西陽の差す音楽室から帰って言った…


幸子は家に帰りカセットテープで音楽を聴いてみたら…



あがた森魚の「赤色エレジー」だった…




幸子と一郎の物語り?まるで私たちみたいな名前じゃないの?もしかしてこれは一郎の「告白?」そう思ったら震えが来たがそれは決して嫌な気持ちの物では無くて、寧ろ嬉しい震えなのに、幸子は気がついた、私は一郎が好きなのかしら?


そして、ある日、一郎に「ハイこれ、ありがとう」とカセットテープを返し、幸子は思い切って聞いた「もしかして一郎さん、この曲みたいに私を好きなの?」一郎はハッと目を見開いて幸子を見つめていたが、暫くして「うん」と言った「そう、ありがとう」と幸子は言った、一郎は更に目を見開き「あの、もしかして付き合ってくれるの?」と質問して来たから「うん、良いよ」と幸子は答えたら…
一郎はその場で「万歳」と叫んだので、幸子は「ちょっと一郎さん、大きな声で叫ばないでよ」と幸子は慌てて言った。


あの日から早や55年、幸子と一郎はずっと一緒だった


一郎は都内のそこそこの大学に入学して、幸子は家の近くの短大に通い、幸子の方が先に社会人になりやがて2人は26歳の時に結婚した、仲間たちは「赤色エレジー婚」と囃し立てた…



仲間の中では早い結婚の方だったが、一郎はある銀行に就職したので幸子の親も別に反対はしなかった、いや、寧ろ娘が早く片付いてくれてホッとしていた、一郎の両親も昔から付き合っている幸子を気に入っていて大賛成だった。


2人は両親の近くのアパートに住み、やがて幸子は宏を身籠った、本当に「普通の結婚」だったのだ、それだけに現在の一郎は本当に、2人の子供たちには腹が立って仕方ないのだ、何故2人共に「普通の結婚が出来ない?」と腹が立って仕方ないのだ。


なにがシングルキャンプだ💢
なにが推し活だ💢マー君だと?💢
普通に結婚して子供を作れ💢


なのだが、こればかりはいくら憤っていても「縁」という物がある、親が口を挟める領域ではない、だから、俺はまたこの歳で子供を作って「国」に貢献するのだ!!!と拳を握った…

さて、バーさんの幸子の妊娠生活は順調だった、悪阻には参ったが「そういえばこんか感じだったよなぁ」と懐かしさを覚えてむしろ楽しむ心の余裕があった


しかし、妊娠 4ヶ月を過ぎてもうすぐ「安定期」になるという時に幸子は出血した、慌てて加瀬教授の所に駆け込んだら…


「これは切迫早産になりそうですね、急いで入院した方が良いですね、とりあえず子宮口を縛る手術をしましょう」と言われて、その日の内に手術になり入院になった…

子供たち2人は直ぐに駆け付けて、宏は「だから言っただろ?お袋の歳で妊娠なんて無理なんだよ」小百合も幸子の点滴をされている腕を取り「お母さんかわいそうに、みんなお父さんが悪いのよ」と涙ぐんだ


第四章 変わって行く家族

「おい!!!!俺のどこが悪い!!!!幸子は妊娠を喜んでいるんだぞ!!!!俺が付いているんだ大丈夫なんだよ💢」と一郎は叫んだ、宏は「それが親父のエゴなんだよ!!!どうすんだ?これから」と2人の大声に、病棟のナースやドクターや、はたまた患者たちまで、見学に来た…


すみません、ここは病棟なんです、患者の皆さんは安静にしないといけないんです、静かにしてくださいと殴り合い寸前の2人を引き離した「とにかくお母様は絶対安静なんです、出ていってください」と言われて、3人は病院の近所のファミレスに行き話し合った


宏は「親父、あれじゃあお袋がかわいそう過ぎる、まだ 4ヶ月だろ?俺調べて見たんだよ、確か21週までは堕ろせるんだよ、子供は始末しろよ」「なんだと💢あれは俺の子供だぞ、お前たちの妹か弟になるんだ、よくそんな残酷な事が言えるな!!!!」「親父がお袋にしている事自体が残酷じゃないのか?子供だって両親が親父やお袋じゃあ、物心ついたら、かなりショック受けるぜ」


2人の大喧嘩を見ながら小百合はソッと席を立った、そして幸子の病室に行き「どう?調子は?大丈夫?」と言った
幸子は「うん、何とか頑張っているわよ」小百合は「ねぇ?」「何?」「お母さんは本当にその子を産みたいの?」真面目な顔で質問した、幸子は笑いながら…


「当たり前じゃない?いい?小百合、私もアンタ達を産むまでは愛の対象って男性とかペットとか、両親とかいろいろあったわよ、だけどね、オンナって、一回子供が出来ると、いままでの愛なんか何処かに飛んでいくのよ、子供が一番愛おしくなるのよ、私は久しぶりにその感動を味わっているの」幸子は笑いながら言った。


小百合は「この人は立派だわ、この人が私の母親で本当に良かった」と思った「わかったわ、お母さん、私、応援するわ、私に出来る事は何でも言ってね」そう言って幸子の手を握った、幸子は微笑み「ありがとう」と言った


その日から小百合は仕事が休みの日は必ず幸子の見舞いに行った、甲斐甲斐しく、パジャマを洗濯したり、幸子は絶対に安静だから、身体を拭いてあげたりと実にまめまめしく看病して、歩けない幸子の脚をマッサージしたりと父親の一郎もビックリしていた、なにより、小百合本人が一番ビックリしていて、赤ちゃんの成長を心待ちしている自分に「もしかしてこれは母性愛?」と思っていた、一郎は毎日毎日、幸子の所に通った、2人の子供たちの頃は仕事が忙しくて、なかなか幸子を助けてあげられなかったが、今は時間はたっぷりあるので、寧ろ2人の時より赤ん坊の誕生が待ち遠しかった、幸子は「切迫早産」の治療で24時間点滴をしていて、点滴が漏れると、また針を打ち直すのが痛かったが、胎動を感じた時はそんな悩みは吹き飛んだ…


小百合はどんどん大きくなって行く母親のお腹を見つめ「お母さん」「なぁに?」「お腹に手を当てて良いかしら?」「勿論よ」小百合はオズオズと手を幸子のお腹に手を当てた、すると胎動が起きて感動して「赤ちゃん、頑張ってね、私はお姉さんよ」とお腹の中の赤ちゃんに声をかけた、赤ちゃんはもうお腹の中から外の音や声は聞こえている、病室が幸せな雰囲気に満たされていた。


小百合はタバコを吸いに病院の屋上に行き、一服していると「ダメだなぁ〜〜女性がタバコなんか吸ってちゃ」と男性の声が聞こえてムカついたので振り向くと、そこには加瀬教授が笑いながら小百合を見つめていた「…別にタバコくらい個人の自由じゃないですか?余計なお世話ですよ」と小百合はプイッと横を向いてタバコの煙を吹き出した
「いや、女性が喫煙者の場合、もし妊娠したら、いろいろと障害のある赤ちゃんが産まれやすいんですよ」「ハァ?私、妊娠の予定ないんで」小百合は更にプイッと横を向いた、なんなの?この教授余計なお世話よと思った


「よくお母さんの所に来ていますね、立派ですよ、感心していたんですよ」と加瀬は言った「あら?良く見ているんですね?気がつかなかったわ」小百合はチラッと加瀬教授を見たら「あら?この人以外に若いのね?」と思った、凄い教授だから年配だと思いこんでいたけど、お兄さんくらいじゃないの?


加瀬は笑いながら「失礼しました」と言ったそして「お母さんと赤ちゃんを必ず助けますから安心してください」と重ねて言った、小百合は「宜しくお願い致します」と頭を下げた「私が出来る事って何かありませんか?凄く心配で仕事も手につかないんですよ」と言ったら…加瀬は「そうだなぁ〜〜」と言い「じゃあ、お見舞いに来たら、必ずこの時間に屋上に来てください、お喋りしませんか?」笑いながら言った


小百合はビックリした「えっ?もしかして私は口説かれているの?生まれて初めてなんだけど」胸がドキンとした💓


小百合はその日からタバコを辞めた…


さて、宏はまたまた茨城県の海岸で1人キャンプを楽しんでいた、いや?楽しんでいるつもりが、全く楽しく無かった「全くこれからどうなるんだ?40歳年下の弟妹?冗談じゃ無いぜ、将来は俺か小百合が育てるだと?勘弁してくれよ」焚き火を見ながら宏はぼんやりと考えていた….


その時「あの〜〜」と女性の声が聞こえて来て、ふと声の持ち主の顔を見たら…なんだか見たような気がした


「もしかして、伊藤さんじゃないですか?」そう言われてビックリして相手の顔をまじまじと見つめたら「あっ!確かあなたは同じ市役所の受け付けにいる方ですよね?名前はえ〜〜と」「佐藤です」「そうだ!!!佐藤さんだ!!!なんでこんな所に?」「私、キャンプが趣味なんですよ」と佐藤は笑った、「変わったオンナだなぁ〜〜女が1人キャンプ?」そう思ったが「佐藤さん、夜なんかは女性1人じゃキャンプは危険ですよ」と言ったら、佐藤は笑いながら「大丈夫ですよ、私はこれがあるんで」とスラッとナイフを見せた、枝を切ったりする大型ナイフだ「…佐藤さん本当にキャンプ好きなんですね」「勿論です、あの、カレーライス作ったんですが、一緒に食べません?」と宏を誘った…


宏はビックリした、この佐藤さんはミス市役所と呼ばれている美人で、まさかキャンプで偶然一緒になるのにも驚きだが、夕食まで誘われるとは、自分の40年間の人生でこんな事は初めてだった。


2人で焚き木の炎を見ながら、カレーライスを食べで、宏はお気に入りのワインを持って来ていたので、それで乾杯🥂をした、とりとめのない話しをしながら、しかし、佐藤は何故こんな地味な俺を知っているんだ?それも不思議で「佐藤さん、なんで俺を知ってるんですか?」「みどりで良いですよ」と笑いながらみどりは言った、宏は内心「佐藤みどりか良い名前だなぁ」と思った、みどりは続けて「伊藤さんて、いつもお年寄りに凄く親切じゃないですか?受け付けから見ていたんですよ、なかなかあそこまで親切にする人は少ないですよ」「いや、福祉課ですから当たり前の事をしているだけですよ」「🙂‍↔️いいえ、他の人はあんなにお年寄りや障害者の方々に優しくないですよ、見ているからわかるんです」宏は更にビックリした、「こんな俺を見ている女性が職場にいたとは」宏とみどりは話しが弾み、やがて朝日が海から上がり美しい風景だった、2人で朝日を眺めていて宏は生まれて初めて女性といてリラックス出来る自分に驚いていた


やがて、宏とみどりは仕事が終わると2人でデートする様になった、ある日、宏は思い切って言った「実は親父のヤツ、ハッピーワクチンを打ってお袋と子供を作ったんだよ、俺は大反対なんだが、2人は子供を産むと主張して譲らないんだ、この頃は妹の小百合まで取り込んで、俺は途方にくれているんだ」そう打ち明けたら、みどりは暫く黙っていたが…


「立派なご両親じゃない?70歳で子作りにチャレンジするなんて素晴らしいじゃない?なかなか出来る事じゃないわよ?宏さんあんなに老人や障害者の方々に優しいのにご両親には冷たいのね」そうみどりは言った、宏はみどりの心の美しさに感動した、そして「みどりさん、良かったら俺と付き合ってくれませんか?」と告白したら、みどりは「こちらこそ」と宏の手を握った、宏、40歳の初恋だった…


やがて宏はみどりを伴って幸子の病室を訪ねた…


幸子と一郎は宏が生まれて初めて女性を紹介したのにもビックリしたが、みどりはまだ30歳、宏より10歳も若く、オマケに凄い美人なのにも驚いた…


みどりは「お父様、お母様、宏さんからだいたいの事は聞いております、素晴らしい決断だと思います、頑張ってください」と言ってリボンに包まれた小さい箱を幸子に渡した、リボンを取り開けてみると、小さな白いベビーシューズが入っていた、幸子は感動して涙を流して「みどりさん、ありがとう」と言った


みどりは「私が出来る事は何でもやります、頑張ってください」と言って、幸子の手を握った


その日からみどりは仕事の休みの土日には必ず、美味しそうなフルーツやお洒落なパジャマやらをもって来て、甲斐甲斐しく幸子の看病をした小百合は店が休みの平日に来て土日はみどりと、幸子の病室は賑やかになった、幸子は
「この子が出来てから子供たちは変わった」と思った正にハッピーだった。


小百合は幸子を見舞ってから直ぐに屋上へ行った、先に加瀬がいたり、後から慌ただしく屋上に駆け上がって来る事もあった「ごめん!急にクランケの容態が悪くなってね」と言って肩で息をしているから「そんなにこの男は私に会いたいの?」と小百合はビックリした、なにしろ産まれてから38年間、年齢=彼氏いない歴を更新中だし、アイドルを追っかけていて、キラキラした美少年大好きな推し活オンナなので「リアル」なボーイフレンドは加瀬が初めてという、我ながら「拗れ女子」だと思う。


2人は屋上のベンチに座り、青空を観ながら「空が青いって素晴らしいと思わない?」と加瀬が言うから「そりゃそうだけど?」「僕は、仕事柄、毎日人の生き死を見ているから、こんな平凡な事にも感動する事があるんだよなぁ」
この男は本当に立派な男だ、小百合は心から尊敬したし、生まれてから父親すら尊敬した事が無かったから、初めて男性を「尊敬」した自分に驚いた、ふと、加瀬が「あれ?鼻のピアスはどうしたの?」「なんか、気分じゃないのよね」と言った加瀬とこうやって出逢ってから、タバコは辞めるわ、鼻のピアスは辞めるわ、小百合は我ながら変わったなぁと思っていた…


やがて、加瀬の長い指が小百合の指に触れて指を絡ませられた時、小百合は目を閉じた、そして、加瀬は優しくキスをした…


キスすら初めてだったが、小百合は何故か心も身体も熱くなり、加瀬に抱きしめられると、物凄い「幸福感」に包まれた…

 

「これがお母さんの言っていた、愛なのか、そして子供が出来ると更に母性愛がプラスされて女性は更に幸せになるのね」小百合は初めて「リアル」な「男」を愛してしまったのを自覚した…


やがて加瀬は小百合の手を取り、幸子の病室に行き、驚く幸子と一郎の前で「お嬢さんと結婚を前提にお付き合いをさせてください」と頭を下げた。


幸子と一郎もビックリしたが、一番ビックリしたのは小百合だった、自分にこんな日が来るなんて夢にも思っていなかったのだから、幸子は「あの、加瀬教授、ウチの小百合で良いんですか?我が家は本当に普通の家だし、教授ならもっと家柄の良いお嬢様がいるのではないですか?」と聞いたら、一郎も同意して「私はたかが銀行員だった男ですよ?そんな普通の家庭の娘で良いんですか?」


加瀬は「そんな事は関係無いんです、小百合さんは本当に心の美しい女性ですよ、一目惚れだったんです、愛してます!!!!」キッパリと加瀬は言った、小百合は加瀬の言葉に驚くと共に「愛されている」実感を噛み締めた…


幸子は涙ぐみ「小百合よかったわね、お母さん心配していたのよ、あなたにこんな日が来るなんてねえ〜〜」一郎はまだ現実を受け止められず「なんだか、我が家に一度に春が来たな…宏は凄い美人を連れて来るし、小百合は世界的に有名な加瀬教授だと?そういえば小百合は鼻ピアス無いな、服装もいやに地味になったと思ったら加瀬教授のおかげなのか…オンナは男次第と言うが本当だなぁ」と染み染み思い「加瀬教授、ふつつかな娘ですが、宜しく致します」と一郎は土下座した、伊藤家に一度に春が来た。


第五章 いよいよ出産


その時、幸子は「ウッ」とお腹を押さえた、加瀬が「どうしました?」と質問すると、幸子は「なんだかお腹が痛くて、ウッ」とまた呻いたので加瀬は「また36週なんだが、37週までなんとか保たせたいが」と幸子の点滴をチェックした、そしてナースたちを呼び、幸子を「陣痛室」へ移動させた


お腹にモニターを付けて陣痛の波のグラフ📈を点検しながら「これはやはり陣痛です、幸子さん、どうしますか?無痛分娩に持って行きますか?幸子さんの意志に任せます」幸子は痛みにたえながら「先生、私はこれが人生最後の出産でしょう、最後の陣痛を味わいたいです」キッパリと言った、加瀬は「首相夫人の照代さんといい女性は偉大だなぁ」と思った「分かりました、最大限の手助けをしますから、頑張りましょう」と言った。


やがて、宏もみどりと駆け付けてきて、一郎、小百合と 4人で立ち会い出産をする事にした、幸子は久しぶりの陣痛に「そうだった、こんなだったわ、思い出したわ」と30年振りの陣痛に苦しさより懐かしさを感じた…

一郎も2人の子供の時は仕事が忙しく病院から「産まれました」と電話があり、駆け付けたら、もう産まれた宏や小百合が病院の赤ちゃんベッドに寝ていたので、妻の「陣痛」に苦しむ姿を見るのは生まれて初めてだった、幸子はこんなに苦しんで産んだのかと、改めて実感した。


加瀬教授は一郎を呼び「万が一の時は帝王切開になりますので、一応手術の同意書にサインをお願いします」と言われて、震える手で同意書にサインをした….

幸子は産道が固くなっていて、なかなか赤ちゃんが産まれ無かったのだ、一郎は心の中で「もう、帝王切開で良くないか?」と思っていた。

家族全員で「頑張れ」と励まされて、幸子は幸せだった、最後の方はもう70歳、いきむのもヘロヘロで自分でも「歳を取ったわね」と実感したが、ここまで来たらもう産むしかないので、ひたすらいきんで、赤ちゃんを押し出した…

加瀬は「幸子さん、最後のいきみですよ!前をしっかり向いて目は開けて力を入れていきんでください!」と叫んだ!幸子は「そうだ、目を閉じてはダメなんだ前を見ていきまなきゃ」と思い出し、最後のいきみを頑張った…


ウ〜〜〜ッと汗まみれになって分娩台の手すりを力強く握り幸子は最後のいきみをした…


やがてオギャーと産声が聞こえた…


幸子さんおめでとうございます!女の子ですよ!と加瀬は叫んだ、分娩室の全員が泣いた、ナースと助産師とインターンのドクター達も、一郎と宏とみどりと小百合も皆んなで抱き合い号泣して、一郎は「万歳🙌」と叫んだ


幸子はもう、ヘロヘロになり、グッタリしたが、産まれたての赤ちゃんを加瀬は幸子のお腹に乗せて「おめでとうございます」と重ねて言った「この子がさっきまでお腹にいたのね、当たり前だけど、宏にも小百合にも似ているわ」
マジマジと見つめて「結構気が強そうな顔をしているじゃない?」と幸子は微笑んだ。


しかし、やはり70歳過ぎての出産はかなり幸子の身体にダメージを与えて、普通1週間の入院のところ、退院に1ヶ月かかった、赤ん坊の名前は、皆んなに助けられて産んだから「愛子」にした、ピッタリな名前だった、幸い母乳はかなり出たので、ミルクは必要は無かった、やがて退院の日を迎えて…幸子と一郎と小百合と宏と伊藤家全員が病院の玄関を出たら、パシャパシャと激しいフラッシュがたかれてビックリしたら、週刊誌やらテレビやらが「おめでとうごさいます!!!!」とテレビで見た事のある女子アナがマイクを向けて来た4人はビックリして、また病院へ引き返した

「どういう事なの?」小百合は加瀬に詰め寄ったが、加瀬も驚いていて「あれだけ秘密にしていたミッションが何故バレたのかわからない、内部告発かもしれない」と言った、小百合は「コレじゃあ家に帰れないじゃないの!」と初めて加瀬に怒りを露わにしたが


一郎は「もういい、いずれはバレるんだ、記者会見をしよう!」と叫んだ宏は「なんだと!冗談じゃない」と大反対をして父親と大喧嘩スレスレになったが「いや、記者会見をする!」と一郎は譲らず、病院の一室を借りて記者会見をする事になった


第六章 記者会見


 
さて、記者会見は一郎と加瀬教授と2人で行う事になった記者達は「何故70歳の高齢者夫婦が子供を作ったのか?」
「前回の山田首相は跡取り問題で子供が欲しかったのはわかるが、今回はもう成人している子供が2人もいるのに、何故、加瀬教授は協力したのか?」の2点が主な質問であった…


一郎は「現在の我が国の少子化に危機感を抱いていたので、国の為に一人でも国民を増やしたかったのです!」堂々と言った、記者団はザワザワとザワめいて「加瀬教授は何故協力を?」更に記者たちはマイクを向けた、加瀬は「私は研究者であり医師です、こちらの伊藤氏の希望を叶えるのが医師の仕事だと思いお助けしました」これまた堂々と言った。


記者たちはざわめき「それは神への冒涜だ」「いや?確かに伊藤氏の言う事も理解出来る」様々な意見が飛び交った一郎は「とにかく、私は妻を愛していますし、これからはの育児も協力して行きますし、この少子化を止めるには私たち老人が子供を作るのもひとつのあり方だと思います」と熱弁した「国の為に老人だが子供を作った」この言葉はたちまち拡がり、テレビをつけても、Xを見ても皆んなその話題で持ち切りになり、毎朝の通勤ラッシュでも乗客はその話題に華が咲き、いつもは静かな電車が賑やかになっていった…



静かな日本に一石を投じた事件になった…

その歳の「流行語大賞」は「国の為に子供を作った」になった。

第七章 変わって行く子供たち


そんな世間の大騒ぎには全く関係なく、愛子はスクスク成長していった、一郎は勿論必死に育児に協力した、風呂に入れたり、哺乳瓶でミルクをあげたり、オムツを替えたり育児をしてみてわかったが、確かに大変だが、もの凄く楽しい、幸子も昔は必死に子育てをしたが、この歳で久しぶりに育児をしてみると心に余裕があるせいか、愛子が可愛くて可愛くてしかたなかった、夫婦で毎日毎日愛子の写真を撮り、やれ笑った、寝返りを打ったと、些細な事でも夫婦で大喜びした、やがて愛子はハイハイを始めた、宏や小百合もしょっちゅう遊びに来て愛子をあやして遊んでいた


やがて愛子はつかまり立ちをして、歩くようになり、夫婦も子供たちも大喜びで、初めて「マーマ」と言ってくれた時、幸子は号泣した、一郎は少しムカついたが、すぐに「パーパ」とニッコリ笑って言ってくれた時は一郎も涙ぐんだ。

公園でも愛子は大人気で、若いママ友たちは、幸子にあれこれと育児について質問した、なんといっても幸子は二人の子供を育て上げて成人させているんだから、下手な育児書より余程頼りになる、愛子は本当に利発で話し始めるのも早く本当に育てやすい子供だった、いや、もう2人を成人させているから、ゆとりの気持ちで育てているのが良かったのだろう…

愛子は宏を「ニーニ」小百合を「ネーネ」と言って、2人が遊びに行くと奥の部屋から廊下をトコトコと歩いて来た小百合はもう愛子が愛しくて「私、子供がほしいなぁ」と思い、宏も「子供ってこんなにかわいいのか」と自分でも驚いていた、やがて宏はみどりと結婚する決意をして、2人でキャンプに行き焚き火の前で「結婚してください」と跪いてダイヤの指輪を箱から出した、みどりは泣いて喜び「ハイ」と言って宏に指輪をはめて貰った…

小百合も加瀬とは順調で加瀬が忙し過ぎるので、もう半同棲状態で、いろいろな料理を作りタッパーに詰めて、加瀬の健康管理をしていた、働いているブティックでは「あの愛子ちゃんのお姉さん」で顧客が増えてお店の売り上げは倍増して店長になった、しかし、小百合は加瀬からのプロポーズを心待ちにしてしていた…

そんなある日、加瀬は「ノーベル医学賞」を受賞した、ハッピーワクチンは「不妊治療」の痛みを伴う治療をワクチン一本で解消したし、一郎の様に「老人になっても子供が欲しい」人間たちの希望の星になったし、この素晴らしい発見は世界中が認めていたので、当然といえば当然だった


ある夜、加瀬は「小百合、目を閉じて」といきなり言うから小百合は目を閉じて「なぁに?いったい」と言ったら、何か暖かい物が肩にフワッとかかった「?」と目を開けてみたら、ナント!肩には黒いミンクのコートがかけてあり、ビックリしていたら、急に宝石箱を開けて、そこには大きなダイヤが煌めき「小百合、結婚してくれ、12月10日のノーベル賞の授賞式に一緒に行こう」と言われた、小百合は待ちに待ったプロポーズに涙が止まらなかった

先に宏が結婚式を挙げて、翌月は加瀬と小百合が結婚式をあげた…

「おい…」と一郎は結婚式で小百合と腕を組みながら言った「なぁに?お父さん?」小百合が言ったら「お前、今日は吉永小百合に似ているぞ、いや?そのものだ、加瀬のヤツ見る目があったんだなぁ」としみじみ言いながらバージンロードを歩いた 


小百合は嬉しかった「これが結婚?悪いものじゃないわね」そう思った、かわいいワンピースを着て幸子の腕の中で愛子がパチパチ👏手を叩き「ネーネ」と叫び「キレイ」と初めて2語繋げて言った、会場は笑いが起こった、素晴らしい1日になった。


第八章 変わっていく老人たち

やがて愛子は幼稚園に行く事になったが、幼稚園の入園式に出席したら、一郎は「あれ?」と思った、2組、自分たちみたいな老夫婦がいるのだ、あちらもこちらを見ていて、スッと近づいて来て「はじめまして坂東と申します」と握手を求められた、なかなかのイケおじで一郎みたいにハゲていなくて白髪をオールバックにしている、一緒の妻は以外に若く50代か?やはり美人だった、もう一人もやって来て「初めまして高田と申します」とやはり握手を求められて、こちらも一郎よりは少し若いが髪はかなり後退していて、かなり腹が出ていた

「私は、一郎さんの記者会見を観て感動しましてね」と坂東は行ったら「あっ!私もなんですよ!」と高田も言った2人は一郎の記者会見を観て勇気を貰ったと言った、坂東は妻が若いがもうお互い子供は諦めていたと言った、高田も長年子供が出来ず諦めていたが、やはり一郎の記者会見を観て、勇気を貰い子作りにチャレンジしたと言った、なんとママ友じゃなくてパパ友、いや?ジジ友が出来たのか?と一郎は嬉しかった、そして「私たちは国に貢献しましたなぁ〜〜」と染み染み言った

やがて入園式は賑やかに始まった

入園式が終わったと思ったら、今度は運動会だったが、流石にジジイには徒競走は無理だった、走るだけで足が腓返りをして倒れてしまった、幸子も皆んなでお遊戯は気恥ずかしかった、だが愛子は大喜びでお遊戯や歌が楽しくてキャッキャッと披露してそれがまた上手くて愛子は何処に行っても人気者だった愛子はそんな星の下に生まれたのかもしれない…

そして一郎の名言の「国の為に子供を作った」はムーブメントになり書籍まで出る人気で、収入は夫婦2人の年金だったので、一郎は愛子の為に頑張り、あちこちの講演会に招かれて講演をする様になり


一郎はちょっとした「老人の星」になって行った、愛子はスクスク育ち絵本が大好きで、何回も幸子に「読んで読んで」とねだり、幸子はまだ宏や小百合が小さい頃は、やれ幼児教育だなんだと熱心だったが、愛子には「生まれて来てくれてありがとう」の気持ちが強く、あまり勉強などは押し付けない様に自由に育てたのが良かったのか、愛子は好奇心が旺盛な子供に育って行った…
 

しかし、一郎に共感して老人たちは子供を作りだしたが、若者は相変わらずで、日本の人口はサッパリ増えない、国はもう老人たちの子作りを推奨しだして行き、60歳以上が一人子供を作ったら1000万の支給を決めた、物凄い予算だったが、国は老人たちを甘く見ていた、まさか、大量の老人が手を挙げるとは思っていなくて、国も老人のパワーにビックリしていた。


人口は徐々に増えていったが、殆どが親は60歳以上、こうなると親が高齢だと子供の将来が大変になる、兄姉がいればいいが、天涯孤独な子供も増えると、親が亡くなった後に何処が子供の世話をするのか?国会も連日討論が続いた
さて、どうしたものか?

そんな世の中の騒ぎの中、宏夫婦に子供が出来た、勿論、天然の妊娠だ「宏!!!でかした!!!」と一郎は一升瓶を持って宏の家に行った、宏はローンを組みささやかなマンションを購入していた、みどりは妊娠してますます美しくなっていた一郎は「お前がまさか、こんな美人と結婚するとはなぁ」染み染みと一郎が言い「これで日本の少子化に貢献だな」と酒をグイッと美味そうに飲んだ「親父、その言い方辞めてくれよ、俺は別に国の為に子供を作った訳じゃないんだし、それに俺の年齢だと国から補助金1000万出ないしなぁ」と言った

「ふぅむ、するとカネが出れば若者は子供を作るのか?」と一郎は言ったが「いや、それだけじゃないよ」「日本はもう40年年収が変わらないんだぜ、然も増税増税と未来を考えると俺みたいな仕事をしていると日本の将来は暗いなぁと思うよ、果たして子供たちが大きくなったならどんな国になっているか不安だろ?」


宏の言う事は最もだと思った、今の日本は本当に暗い、困ったもんだ、どうすれば若者は子供を作るのか?先ずは根本的に日本の制度を変えないと若者は子作りしないだろうと一郎は考えた。


昔の政治家は「異次元の少子化対策」と言ったが、サッパリだったなぁ、何かを変えないと、しかし、具体的に何を、どう変えるのか?」一郎と宏は酒を組み交わし、あれこれと議論したがサッパリ結論が出なかった、困ったもんだと一郎はため息をついた


一郎はある決意をした…


第九章 一郎の決意


家に帰り一郎は幸子に言った「おい!俺は今度の衆院選に出馬するぞ!!!」「はぁ?」「いや、以前から山田首相に誘われていたんだ!一緒に国を変えようとな」「…本当にあなたって愛国心の塊だわね〜〜」幸子は呆れて言った「講演会で貯めたお金もあるし、好きにすれば?」と幸子は以外や反対しなかった…


幸子は一郎の性格を知り尽くしているから、もう反対をする気も無かった「とにかく私たちを不幸にする事は辞めてね」「私たちもう、76歳よ、棺桶に両脚つっこんでいるんだからね」幸子は釘を刺した


やがて選挙が始まり、一郎はあちこちに演説をしに回った、東京15区から出馬して、江東区を自転車🚲で回って遊説した、しかし一郎は「組織票」を持っているので、楽勝は目に見えていた、うしろには山田首相がいる、一郎は「これが最後の国への貢献だ!」と俄然張り切り

あるカフェの社長はやはり一郎に影響されて子作りしていて喜んで車を提供してくれた


運転は宏が有休を使ってしてくれた、小百合も応援に駆けつけた、小百合は結婚した途端に子供が出来て男の子だった伸司と名付けた、なんせノーベル賞受賞者の嫁である、伊藤一郎一家は「時の人」になっていた


幸子は愛子と食事をしながら「パパって高校生の時にいきなり生徒会長に立候補したり、変なヤツだわ、だから退屈しないんだけどね」愛子は「oh!yes!」と英語で答えた、愛子は調べたらIQが180もあり、この頃は英語の本を読んでいる、加瀬は感動して「もしかしたら、ハッピーワクチンの副作用なのか?」と俄然張り切って調べているが加瀬と小百合の息子は加瀬がなにしろ天才、息子は頭も物凄く良い、本当の天才児で、3歳で方程式を解くという凄まじさだ、幸子は「あの鼻にピアスしていた、小百合が加瀬さんみたいな凄い人と結婚したのも驚きだけど、天才児まで産むとは人生ってわからないわねぇ」とお茶を啜りながら思った…


一郎の演説にはパパ友も駆け付けて「老人の皆さん!子供を作りましょう!」と一緒にエイエイオーと叫んで聴取は拍手喝采だった、やがて一郎は開票と同時に真っ先に「当確」の文字が流れて、当確1号になった、一郎は高校生の時に「生徒会長」に立候補したのを思い出して、さめざめと泣いた「ここまで来るのに苦節60年かかったなぁ〜〜」しみじみと思った


初めて国会議事堂に登院する時、幸子は一郎のヒューゴボスのスーツに議員バッチを襟に付けてヤクザの女将みたいに打ち石をカッカッとして「パパ頑張ってね!!!」と言った、一郎は大谷翔平選手の大ファンで年甲斐も無く、立候補が決まったら、大谷翔平選手とお揃いのヒューゴボスのスーツを買ったのだ愛子は「ダディ!ファイティン!」と万歳🙌をした。


一郎は宏からは「オヤジ」小百合は「お父さん」愛子は「ダディ」である、頭が混乱する、然も愛子は宏と小百合の子供の「おばさん」である、6歳で「おばさん」も可哀想だなとふと、思った… 

第十章 山田首相の異次元の少子化政策


山田首相は早速、一郎を首相官邸に呼んだ、お互い加瀬の世話になり子供を作った同志である、山田首相の息子の望もIQ180であった、どうもハッピーワクチンは嬉しい副作用がある様で加瀬は大忙しだった、どういう訳か加瀬もその場にいた「あれ?お父さん?」加瀬は驚いた、一郎も驚いた、そうしたら、山田首相が部屋に入って来て「とにかく、ゆっくり話し合いましょう」と言った…「…何をですか?」


「異次元の少子化対策です!!!」キッパリと山田首相は言った!!!「これからが本番です!日本を変えるんです!!!!」


しかし、山田首相は凄い人だ、この人は必ず歴史に名を残す人物になるだろうと加瀬は自分の事を棚に上げて驚いた、一郎から見たら山田首相も加瀬も歴史に名を残すだろうなぁと思いながら、2人を見つめていた、しかし「異次元の少子化対策」とは具体的に何をするんだ?いままで何回も同じ事を論じて来たが、サッパリ人口は増えないぞ?


「これを見てください」山田首相はモニターをパッと起動した…



「昔、政府が唱えた「異次元の少子化対策」の一部です」


「しかし、これを見ても何ひとつ解決していないですよね?」山田首相は語気を強めた、加瀬と一郎は「確かに」と声を揃えて言った更に「これを見てください」と山口首相はまた画面を変えた…




「2024年、つまり6年前は日本は遂にGDPはドイツに抜かれて 4位になりましたが、今はどうでしょう?更にインドに抜かれて5位にまで下がりました、イギリスがそこまで迫っています…」


加瀬と一郎はまたまた「確かに!!!!」と叫んだ!!!!


「もう日本はアジアの先進国では無いんですよ、このままではヤバいんです!!!!」山田首相は更に踏み込んで熱弁した…




「これも過去の悪政が原因なんです」「若者はせっかく一生懸命働いても年収は上がらず増税増税を繰り返して、やる気を失ってしまった」


山田首相は更にモニターに新しい画像を出した…




おかしいですよね?GDP5位のインドに5兆円も支援して抜かれているんですよ?


「う〜〜〜〜ん」と加瀬と一郎は唸った、この人はここまで考えていたのか…


また山田首相はモニター画面を変えた…


「当時、日本はドイツにGDPを抜かれてしまいましたが、私はこれを参考に熟慮しました…ドイツと日本は同じ敗戦国なんです、然もドイツは東西に分断されて統一するまで大変だったのに、今のこの国民への手厚い保護はなんなんでしょう?余りに日本は世界に比べて遅れている、昔フランスのエッフェル塔でポーズした女性議員たちがはしゃいでるいる時、私は「ベルリンの壁」を自費で視察に行きました…」


「私は決意しました!海外にバラ巻いた28兆円国民にバラ撒きます、海外からブーイングがあっても無視します!海外を助けているゆとりがこの国には無いのです!!!!」


加瀬と一郎は感動していた、未だ嘗てこれだけの人物が日本のリーダーだった事があるのだろうか?しかし、何故、我々が呼ばれたのか?

「加瀬教授はこれからもハッピーワクチンの普及に努めていただきたい!ハッピーワクチンで出来た子供は何故かIQの高い子供が多い、これは優秀な国民が増える嬉しい悲鳴です!!!!」



「伊藤議員はこれからも老人の子作りの象徵になって貰います!!!!やはり、今はまだまだ老人に頑張ってもらって人口を増やさないとダメなんです、しかし親は高齢者では、子供はいつか一人になってしまう、その受け入れ先などを積極的に考えて実現していただきたい!!!!」


「それでは私のプランを話します…」


①消費税廃止
②年収は倍にする
③労働時間は年間400時間減らす
④非正規社員は無くす
⑤1日8時間以上の労働は違法
⑥国会議員の数は減らして無駄なカネは省く
⑦子供1人を産んだら300万支給
⑧子供が小学生になるまでヘルパーを支給
⑨医療費、学費無料にする


「それではこちらも見てください、またまた画面が変わり…」




「おかしいですよね?日本はアメリカに比べてこんなに国土が狭いのに、議員数はアメリカより多い、もう参議院議員はいらないと私は思っています、これは内側からかなりのバッシングがあると思いますが、私に賛同してくれる優秀な仲間も増えていますから必ず実現してみせます。」


本当にこういう人物がこの国のリーダーで良かったと加瀬と一郎は思った、ここまで国民の事を考えていたとは…


これだけ手厚く金をバラ巻いて、然も労働時間は減り、有休は増えて、年収が倍になれば、流石に若い人間も結婚するのではないか?時間とゆとりがあれば、自然と出逢うチャンスも増えるだろう、例えば学費が無料になれば「奨学金」という聞こえは良い「借金」は無くなり、夫婦で奨学金を返済しているカップルは子供なんて作っているゆとりは無い、それが解消されれば、子作りするカップルも増えるだろう、う〜む素晴らしい首相だ、加瀬も一郎も唸った…


山田首相は言った「これは私の最後の命を賭けた戦いになると思います!国民の為、今の子供たちの未来の為に戦って行きましょう!」山田首相は手を出した、自然とその手の上に加瀬と一郎は手を重ねて3人で「国民の為に日本を替えよう!!!!」同時に叫んだ…日本は変わりつつある…


第十一章 変わって行く若者たち


山田首相は記者会見を開き、世界中の記者たちを集めて「本当の異次元の少子化対策」を発表した…記者たちはざわめき、山田首相の決意に賛同した若い議員たちも山田首相の後ろに並びガッツポーズをした写真は後にピューリッツァ賞を受賞した…


日本は労働時間を減らすと「不景気」になると思いきや、消費税廃止は国民の消費に火を着けて、どの産業も活発化して「車」や「家」などの大きな買い物をする人間が増えて、スーパーも毎日毎日、買い物客で溢れた、国民は山田首相の立派な決断に勇気を貰い、却って少ない労働時間内に仕事の中身を濃くする方法を考えだし、どの企業も、非正規社員を無くして正規社員に変えたから、ますます労働力は強固になり、日本のGDPはインドを抜いて 4位まであがって行った…


そして若者はマイカーを手に入れたら、一人でドライブはつまらないので同級生の女の子を誘ったり、または、同僚の女性を誘ったりと昔の様な活発な若者が増えていった、またお金に余裕が出来たので特に若者はお洒落にも興味を持ち出してブランド物もよく売れた、昔は「新大久保」が若者の街だったが、以外や「銀座」が人気になって来た、銀座三越や老舗のバーなどが「レトロ」と話題になり


「新みゆき族」が誕生した…




「みゆき族」とは創業者の故石津謙介氏が創業したブランドの「VAN」を着て銀座の「みゆき通り」を歩く若者たちの名称なのだが…



戦後の日本にアメリカのアイビールックを取り入れた、画期的なブランドだったのだが、今の若者たちはカネがある
銀座のテーラーで、ワイシャツやスーツを仕立てる若者が増えていった


銀座の老舗バーも連日大人気であった…


バーで女性を口説く男性も増えて行った…





映画「キングスマン」がリバイバルヒットして、イギリスのテーラーの素晴らしさに若者は魅了された…




この様な仕立ての良いスーツがブームになった…


また、年配の男性は更に拘ったファッションに力を入れて若い女性と付き合う「妻に先立たれた」男性が増えて、彼等は「ハッピーワクチン」を打って子供を作って行った


また、原宿もリバイバルブームで、昔のデザイナーズブランドが復活して大盛況になった。





「傷だらけの天使」の再放送をたまたまテレビ局がしたら「ショーケンがカッコいい」と大ブームになり、ショーケンのファッションを真似する若者が増えて行き




牛乳を直に飲んだりコンビーフを丸かじりする仕草が流行った…またお洒落なスカーフの巻き方も流行った…




当時、ショーケンの服を担当していた「ビギ」もまたまたリバイバルして「新みゆき族」対「新デザイナーブランド」が2大巨頭になって行った。




女性たちも男性に負けじと、こぞってお洒落をし出して行き…



昔の肩パッドを入れた「ボディコン」が復活…



また「ニュートラ」なども「今風」に変わり
流行りだした…


 


若者は連日「クラブ」で遊び…



そこが「出逢い」の場になって行った…


今まで「オタク」だった男性も自然と外へ出る様になり、「引き篭もり」の男性は母親が加瀬の所へ連れて行き「ハッピーワクチン」を打って貰った、以外や「草食化」した若者は「不能」が多く「だから、女性を口説けないのか」と加瀬も更に研究して行った、ハッピーワクチンは若い層にも広がって行った、50代で童貞だった男性は勇気を持ち初めて女性とセックス出来て大感激をした、加瀬は「我ながら凄い事をしたんだなぁ」と実感した。


ハッピーワクチンは世界中に拡がり、加瀬がビックリしたのは、ハリウッドの70〜80代の大スターたちがハッピーワクチンを打って子作りを始めた事だ、昔はミック.ジャガーなどが70代で子供を作り皆んな驚いたものだが、更に沢山の大スターやセレブがこぞって子作りを初めて、それからの人々が赤ちゃんを抱いてレッドカーペットを歩くのが流行りだし、それがステイタスになった…


パパラッチたちがこぞってフラッシュをたいた、彼等はたとえ80代だろうと財産はたっぷりあるので安心して子作りが出来るのだった。


一郎も大忙しだった、まさかこんなに山田首相の思惑通りに事が進むとは考えてもいなかった、しかし、年収2倍の効果は大きく、宏は2人目の子供を作った、一郎はまたまた一升瓶を持ってお祝いに駆け付けた、みどりはますます美人に磨きがかかっていた…「嬉しいよ、まさか俺に孫が3人も授かるなんてなぁ〜〜」一郎は染み染み言った


「オヤジ、俺も不思議なんだよ、愛子が生まれてから、子供ってこんなに、かわいいのかと気が付いてなぁ〜〜子供は宝だよ」宏は染み染み言った「それにこの頃は家族でキャンプも始めて、キャンプも人数が増えると楽しいもんだな」みどりも「そうそう」と笑った「それに年収も2倍になったし、このマンションじゃ手狭だから、新しく買い替えてもう少し広い所へ引っ越すよ」と言った、一郎は「山田首相ありがとう、貴方の異次元の少子化対策は見事に素晴らしい方向へ行っていますね」と思った


山田首相は果敢にも2人目の子供をハッピーワクチンで作り、現在は「育休中」である、日本のリーダーのこの決断に、日本中は拍手をして見守っていた。


そして、日本は徐々に人口が増えて行った、正に「老いも若きも」の現象だった、小百合は加瀬のたっての願いで、ハッピーワクチンを打ち2人目を妊娠した、加瀬は発明した自分の薬を「どの様な物なのか」試してみたい衝動を押さえられなかった「普通」に作った伸司は「天才」だ、もう自分と「物理」について対等に話している、ハッピーワクチンで出来た子供は愛子を始め皆んなかなり優秀でIQの高い子が多い、だとすると今度の子供はどんな子なのか?好奇心は止まらなかった、やがて小百合は出産したが、驚いたのは、初声が「ハロー」だったのだ、加瀬は「胎教」を熱心にやり、小百合のお腹に、英語、ドイツ語、フランス語など日本語を始めいろいろな言語で話しかけていた、小百合も加瀬の熱心さに呆れながらも、協力して、寝る前にはお腹にマイクを当てて、様々な名作の朗読を聞かせてみたが、まさか、最初に「ハロー」と言うとはビックリした。


男の子だったので、名前はアトムにした、加瀬が漫画の「アトム」の大ファンだったので「加瀬アトム」になったこの子は本当に私の子供なのか?小百合は不思議でたまらなかった、生後3ヶ月でもうハイハイして歩き出し、パソコンをカシャカシャと操り、伸司も一緒にパソコンをクリックして遊んでいる「私が子供の頃はまだ紙の辞書だったけど今の子は違うのね」と思った、夜中に夜泣きをすると「シィ〜〜静かにしてね」と言うと「yes mam」と黙り実に育てやすかった、伸司もアトムも私なんかより優れているわ、小百合は加瀬に感謝した…


第十二章 山田首相の最期


ある日、一郎はたまたまテレビを見ていたら「速報」が飛び込んで来た…


「山田首相、銃で撃たれて心肺停止状態」


「なんだと!!!!」一郎は急いで首相官邸に駆け付けた!!!!


若い議員たちが集まり、ザワザワしていたが、皆んなで大きなモニターを観ていると…


山田首相死亡のテロップが流れた…


どうやら地方を遊説中に銃で撃たれたらしい、犯人も射殺されていた、一昔前なら犯人は何がなんでも生かして逮捕だが、この頃は直ぐにこういったテロ犯は射殺して良い様になっている…


「山田首相!!!!」一郎は号泣した、若手議員もカリスマの死に泣いていた…


しかし、泣いてばかりもいられないぞ、反対派がせっかく上手くいっている「異次元の少子化対策」をぶち壊すチャンスと思い行動に出るだろう…

このままではかなりまずい!!!!

「本田副首相!!!!貴方が早く記者会見を開き、自分が後継者だと宣言してください!!!!」一郎は叫んだ!!!!


「わかりました!!!!本田副首相は敬礼した!!!「国がパニックになる前に宣言致します」本田は涙ながらに叫んだ!!!!官邸室は拍手に包まれた


これは反対派の仕業か?海外のスナイパーなのか?日本が海外援助を一切辞めてから、海外の付け上げがかなりあった、また反対派はそろそろ人口も増えつつあるし、先ず消費税を復活させようという、懐にカネをいれるしか脳の無い議員もまだまだ沢山いるし、一郎はこの中は本当に「魑魅魍魎」の世界だなあと思ったが、これに負けたら、せっかく上向いた景気が下がってしまう、案の定株価はいきなり下がり始めた、これはいかん!!!なんとか後継者の本田に頑張って貰わないと…


本田は急いで記者会見をして「次の首相は私です」と宣言したが、首相の任期はあと僅か3ヶ月、果たして次の首相が反対派の先鋒の加賀谷だったらまずい事になる、なんとかこのまま本田で行く様にしなければ「オヤジ、これからは頼む」と本田は言った。


いつの間にか一郎は若手議員から「オヤジ」と言われて頼りにされる存在になっていた、一郎はもう88歳になっていた…しかし、ハッピーワクチンのせいか、見かけは70歳のままである。


愛子はテレビを観ていて「ダディ大変な事になったわね」と幸子に言った、幸子もハラハラとして、山田首相が亡くなった事などは信じられなかった「あの人ほど国民の事を第一に考えてくれる首相がいたであろうか」幸子は涙が止まらなかった…


愛子は「先ず、派閥などは関係なく党をひとつに纏めて強いリーダーを作らないと日本はヤバいわ」と言った、幸子は「全くこの子は誰に似たんだか、賢過ぎるわ、言葉も留学した訳じゃないのに、英語、ドイツ語、フランス語、中国語、イタリア語にロシア語までネイティブに話すし、来年はスタンフォード大学に留学が決まっているし、私の子供じゃないみたい…」そう思っていたら、愛子のスマホが鳴り「スマホも変わったわね〜〜こんなに軽く小さくなって時代は変わるわね〜〜」と幸子は思ったら


愛子は「ハロー?オゥノゾミ?」と言っている、「ノゾミ?望くんかしら?」「泣かないで望、分かったわ今いくわ」と言って「マミー、私ちょっと出かけてくるわ」そう言って長い髪を一つに纏めてコートを着た「何処へ行くの?」と幸子が聞いたら「ちょっと」と言った、幸子は初めて「嘘」をついたなぁと思った、愛子は175センチの長身である、顔も鼻が高く、幸子の産んだ子供の中では一番の器量良しである。


やがて愛子は首相官邸の裏にタクシーを停めて、官邸の中に入って行った、奥にはスラッと背の高い青年がいた、山田の一人息子の望である「愛子」望は泣きながら愛子を抱きしめた、望がハッピーワクチン1号、愛子は2号である、2人は出逢った時から何か「運命」を感じて強く惹かれ合った、望は愛子より2歳年上の今年20歳である、アメリカのハーバート大学から急いで帰国したばかりだ。


山田の妻の照代も官邸にいて、夫の司法解剖が終わるのを待っている「あぁ、愛子ちゃん、来てくれてありがとう」そう言いながらワッと泣き崩れた「照代夫人しっかりしてください!今あなたがしっかりしないと、党の中の反対派のいい餌食になってしまいます」照代はハッとして、涙を急いで拭いた「あなたはファーストレディなんです!負けてはなりません」愛子はキッパリと言った


「この子は本当にしっかりしている、まだ18歳なのに、確かIQも望と同じ180、この子は「何か」をもっている、不思議な子だわ」やがて望の妹の春子がやって来た「愛子おねえちゃま」と愛子に縋り付いて泣いた、春子もIQ180の天才児である、山田家の家族と愛子は監視カメラを気にしながら、傍聴マイクを探して、次々に破壊していった、照代は「私たちはこんなに盗聴されていたの?」とゾッとした。


やがて山田首相の遺体が官邸に戻って来た、その日に限り防弾チョッキを着ていなかったのも不思議だった、ライフルの弾は心臓部を貫通していた、変わり果てた山田の姿に棺の周りの若手議員、山田の家族、一郎、愛子、皆んなが泣いた、そして望は本田副首相に行った「本田さん!解散総選挙を、しましょう!!!私は父の跡を継いで立候補いたします!!!」


皆がどよめいたが、殆どが望の補佐に付くと約束した「このままでは、せっかく父が作った「異次元の少子化」が潰されかねません!!!消費税導入だとか言っている輩もいます!!!!負ける訳にはいきません」そう望が宣言したら部屋は拍手に包まれた…


そして、愛子を側に呼び「私は愛子さんと結婚します、まだ20歳と18歳の若輩物ですが、宜しくお願い致します」


望と愛子は頭を下げたが、一番ビックリしたのは一郎だった、「なんだと?アンタ!一回も挨拶にも来ないで、結婚だと?ふざけるな!」と望の胸ぐらを掴んで怒鳴ったが、照代夫人が「伊藤さん申し訳ありません、いきなりでさぞ驚いたでしょう、私もつい最近2人が付き合っているのを知りました、お願いです、若い2人ですが許して貰えませんか?」一郎は驚きはしたが、望の事は子供の頃から知っていた、天才だし、本田の一番の後継者だろう、ただ、愛子がもう自分の手から離れて行くのが、寂しかっただけだ


「わかりました!!!結婚を許します!!!!」


室内の若手議員は皆んな拍手をした、望は愛子の肩を抱いて右手の拳を上に掲げて「ファイト!!!」と叫んだ


第十三章 新しいカリスマの誕生

 
本田の国葬は増上寺でしめやかに行われて、献花に訪れた人々の列は数キロにも及んだ…国葬にふさわしい葬儀であった、涙する照代夫人はマスコミの恰好の餌であったが、長男の望の隣にモデル並のスタイルの良い若い女性がいるのをマスコミは目ざとく見つけて「あれは誰だ?」とザワザワしたが、やがて
伊藤一郎少子化対策大臣の娘とわかり、「世紀の恋」と囃し立てた…


やがて岡田首相は解散総選挙を宣言して、久々の選挙に国は湧いた、野党はあれだけ「消費税反対」を叫んでいたくせに、「国の財源を確保する為に消費税導入」を言い出した、これはもう野党の負けは火を見るより明らかだった。


望は愛子と2人で父親の地元の神奈川県に挨拶まわりをして頭を下げて回った望と愛子は式は父の喪が明けてからにして、入籍は済ませていた、愛子は何処へ行ってもその美しさで観る人を圧倒させる、不思議な魅力があり、人気者になった、そして、2人共にハッピーワクチンで出来た子供同志の第一号カップルだとわかり、尚更人気になり、それは地元だけでは収まらなかった… 


照代と幸子は2人でお茶をしながら「しかし、運命ってわからないものね〜〜」と話していた、照代と幸子はハッピーワクチンを打った時からあまり見かけは変わっていない
「これもワクチンのせいかしら?」と2人で話した、加瀬の研究は更に進み、ハッピーワクチンは「老化」を遅らせ「アンチエイジング効果」があるのがわかって来た…


さて、加瀬の子供の伸司とアトムは本当の天才で、特にアトムは医学と物理に秀でていて、日本では「飛び級」は出来ないのでまだ13歳でマサチューセッツ工科大学の研究室で、父の開発した「ハッピーワクチン」のバージョンアップを研究している、ハッピーワクチンを打った人々は何故か「老化」が極端に遅いのに注目して「不老不死」は実現出来ないのかを日々実験していた、伸司もマサチューセッツ工科大学に飛び級して「がん撲滅」の研究をしている、いくら時代が進んでも人類はまだガンを撲滅出来ない、それはおかしいと熱心に研究していた


2人の母親の小百合は早くに手を離れてしまった子供たちに一抹の寂しさを感じてるいたが、却って加瀬との絆は深まり、2人とも世界中を旅行してバカンスを楽しんでいた、加瀬はまだ小百合に惚れていて、仲睦まじく、幸子は安心していた、宏夫婦はハッピーワクチンを打っていないので「年相応」の時間が流れる風貌だが、相変わらず、みどりは美しいし、幸せな家庭を築いていたので、幸子は安心していた、一昔前は何故結婚しないのか、一郎は騒いでいたが、2人共に幸せなのが母親としては物凄く嬉しかった…


さて、選挙開票が行われて、望は当確1号、一郎は
2号だった、さぁ、これからが勝負だ、望と一郎、若手議員は手を取り合い、作戦を練った、やかて首相の任期は終わり


いきなり望は首相に立候補した!!!マスコミは大騒ぎだった、長老議員は忌々しく思い他の候補者の支持に回ったが、国民的人気は望である


なにしろまだ20歳、イケメン、高身長、外国語も妻と一緒に数カ国語を操る、IQ180、国民はこんな若いリーダーを待ち望んでいたから、山田望首相を待ち望んでいた…


やがて開票したら望が勝った!!!日本初いや世界初の20歳の首相の誕生だった!!!!


望は壇上に立ち言った…


「父の遺志を継ぎ、更に異次元の少子化対策を進めて行く所存です!!!!!」そう宣言した…  


そしてゆっくりと叫んだ…


ひとつ!!!消費税廃止は継続!!!!
ふたつ!!!年収は倍も継続!!!!
みっつ!!!労働時間は400時間減らすも継続
よっつ!!!非正規社員廃止も継続!!!!
いつつ!!!1日8時間以上の労働は違法も継続
むっつ!!!国会議員の数は減らしてムダなカネは
省く
ななつ!!!子供を産んだら…
ここで、議会はシーンとなった…


子供を産んだら1000万支給!!!!!
議会割れんばかりの拍手が鳴った!!!!



うぉ〜〜と地響きがした、テレビやスマホを見ている
人々も「やった!!!家が買える」と叫んだ!!!


やっつ!!!子供が小学生になるまでヘルパー支給も継続!!!!


ここのつ!!!医療費、学費は無料も継続!!!

 


じゅう!!!国会議員の定年は70歳!!!!


一郎は目を閉じた、その通りだ「老害はいらない、俺も老害だ」と思った…

じゅういち!!!少子化担当大臣は5人にする!!!
官僚任せにしない、逆に官僚の数は減らす!!!


じゅうに!!!議会で居眠りをしたら即クビ!!! 


テレビやスマホの前の人々がまたまた拍手した!!

じゅうさん!!!不正にお金を授受した議員即クビ!!!そのカネは国庫に返す事!!!!


またまたテレビやスマホを観ていた人々は拍手した


日本に新しく若いカリスマの誕生だった…


隣の夫人の愛子の美しさは輝いていた、愛子の姿は世界中から絶賛された、カリスマカップルの誕生であった…


望は実に指示率100%を叩きだした…
昔の小泉内閣とは全く違った現実的な指示だった…


第十四章 幸子と一郎の物語り②


半年後、一郎はのんびりと縁側でお茶を啜っていた、こんなにのんびりとしたのは何年振りだろう?しかし、一郎はなぜか「やり切った」感があった、幸子も隣りでお茶を啜っていた「ポカポカして良い日ねぇ」「あぁ…」「愛子は望さんとイギリス王室に国賓で招かれて今頃ディナーかしらね」「そうだなぁ、愛子が生まれて、俺たち家族はいろいろあったなぁ〜〜」染み染みと一郎は言った…「でも幸せだったわね私たち、もう89歳、もうすぐ90歳よ早いわねえ〜〜」一郎はうつらうつらしながら、スズメのチュンチュン鳴く声が遠のいていった…


あら?一郎さん?どうしたの?一郎さん?幸子は一郎をゆすってみたら、一郎の目は二度と開かなかった


幸子は涙を流しながら「さようなら、一郎さん」そう言って奥から古いカセットレコーダーをもってきて「赤色エレジー」をかけた、一郎が最初にプレゼントしてくれた曲だった…



幸子は「赤色エレジー」聴きながら


幸子と一郎の物語
お泪頂戴ありがとう…と呟いた…


#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門

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