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容器のヒミツ☆ヨーグルトの容器には色々な制約があるのです。⑶

乳製品の容器について、知っていたらちょっと得するヒミツをご紹介しています。
さて、やっとヨーグルトの容器についてお話します。

食べるタイプのヨーグルト容器について
まず思い浮かぶのは、スーパーに並ぶ400~500gの昔からある家庭用サイズのプラスチック容器。ちょっとペコペコする感じのものですね。

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他には個食タイプのカップ。だいたい容量75~100gのサイズ。

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原料は、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)というプラスチックの樹脂が使われていることが多いです。全て原油由来ですが、精製方法の違い、化学反応や加える添加剤によって最終的にそれぞれの特徴をもった種類にわかれます。
高い温度のまま容器に充填されるジュースや、甘酒などは容器全体が熱で柔らかくなり変形する恐れがあるので耐熱温度が高いPPの容器を使います。
低い温度で充填するほとんどのヨーグルトであれば、どの樹脂でも問題ありませんので、容器の形や価格で選択することになります。

原油由来ですから原油相場によって価格は大きく左右されます。ですが、精製方法が違うのでそれぞれの樹脂の価格変動が全て同じではなく、割と安定しているものや頻繁に価格が変動するものなど様々です。

ヨーグルトは前回⑵にて乳等省令できめられている第二群だとご説明しました。使える容器の基準は第一群の牛乳のようには厳しくないため、ほとんどの食品用容器は問題なく使えます。乳業のことをあまりご存じない容器メーカー様の中にはすべての乳製品=乳等省令第一群基準と思われている場合もありますので、「乳等省令に適合する容器はありません」、と断られることがあります。念のため必ず「中身はヨーグルトです」と伝えてください。

一般のプラスチックなら何でも良いわけではありません。容器には牛乳を原料とする食品を入れるのですから、食品用として製造されているものでなくてはいけないのは当然です。
こっちの方が安い!と海外製品を選ばれるお客様も過去にはありましたが、日本と製造の衛生基準が違います。またコロナ以前から輸入には税関手続きの遅れなどですぐに納品されない場合がありますので注意してください。

紙カップの場合
コロナ禍で、進められていた「脱プラスチック」。テイクアウト用にプラ容器が大量に使用され、時代に逆行している感もありますが、やはり紙容器にきりかえているメーカー様もあります。紙の場合はヨーグルトが酸性のため、内側に耐酸性のコーティングがされているものをお使いください。主要紙カップメーカー様製造であれば大丈夫です。ヨーグルトは濃厚であっても液体を含みます。ラミネートコーティングがなければ時間がたてば滲みてきます。

フランジはシールができるものを
この仕事をするまでは「シール=ペタペタ貼るラベル」という認識でしたが、シールするというのは密閉すること。蓋をする、ということです。
商品の多くはアルミの素材で密閉しています。その場ですぐ食べるもの以外は密封しないと販売してはいけません。通常は熱シールといって熱を加えてアルミ蓋の裏にある糊部分を溶かして容器に接着させます。
ですからシールできるようにフランジ(カップの上部口部分の平たくなった部分。容器を横から見たらひらがなの「ひ」のひらひらしている部分です!)に一定の幅がないといけません。フランジが狭いと細い部分にシールするので弱くなります。

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シールの方法もいろいろあります。糊剤を熱で溶かして接着するもの、一番外側のフィルム層を溶かして容器に接着させるのもの。どちらも容器の素材との相性が重要です。相性が合わないと、なかなか開けられないくらいガチガチに接着されたり、逆に開けやすいのはいいけれど、接着が弱くすぐ漏れてしまう、ということが起こります。
きっちりと密封され、開ける時は開けやすいもの(イージーピール)が基本です。難しいですね。

『容器樹脂・形×糊剤×アルミの厚み』によってシール状態は変わります。また容器いっぱいに中身を充填しすぎると、フランジにヨーグルトが付着してしまい、シールしたと思っても細い隙間ができていた、ということがあります。充填の仕方や容量も注意です。
充填機と容器がきちんとあっていない場合もありますから何度もテストして、きちんと充填できるのか、シールできるのかを慎重に確認してください。

同じ白の容器ばっかり!透明の容器はないの?
ヨーグルトの容器は白いものが多いですね。透明にしたら差別化されるし、見た目もお洒落なのに、どうして少ないのでしょう?
食品を劣化させる要因として、光、酸素、湿気などがあります。お店の棚は蛍光灯の光で商品を綺麗に見せています。透明の容器はその光を透過させてヨーグルトの劣化を早めます。またヨーグルトはどうしても上部に乳清という栄養分の液体が溜まります。透明だと全部見えてしまいます。上に水がたまった商品は栄養とわかっていてもなんとなく買いたくありません。
中身の劣化を早める要因をバリアする樹脂を使った透明容器もありますが、価格は高くなります。

容器一つでもああ…メンドクサイ!!
ですが、「〇〇gのヨーグルトを入れる容器ください!」
これだけで大丈夫です。お探しします。


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