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アメリカ免許取得までの奮闘記


免許取得は思った以上に大変だった。

日本人はみんな真面目なので、しっかりと事前に下調べを行い、
そして日本人コミュニティーでも情報収集をしてから行く。

各地域にDMV(Department of Motor Vehiclesの略)という運転管理局があり、免許取得を含む運転関連の手続きはここに行くのですが、
夫は渡米後、しっかり予約をして1か月以内に無事に免許取得。

アメリカの運転免許は州ごとに違うのですが、
日本人で運転経験有ならば筆記試験や実技試験は超簡単
(場所により日本語受験も可)なので、その日のうちにTemporary license(本免許が発行されるまで代わりに所持しておくもの)がとれます。

私の両親もウン十年前の米国滞在時は免許取得をしていたので、
色々と話は聞いており、前日に過去問を解けば楽勝、と聞いていました。
そんな私は渡米後「余裕だろう」と、息子の保育園や病院探しに奔走して
いたところ、
州のルールで決められている「渡米後60日以内に取得」というのを
すっかり見逃し、まずそこで滝汗でしたが、それ以上に…
大変な目に遭いました。

DMV訪問初日に、

持っているソーシャルセキュリティーカードの姓名が身分証明(パスポート)と一致しないから免許交付できない。

と言われたのです。

私は幼少期に米国で父親が働いていたので、SSNは持っていました。
NYで働いた時にも要所要所で提示し、問題はなかった。
でも、日本で結婚をしたためSSNの名前がいつの間にか
現在の自分の身分証と違う名前(旧姓)になっていた…。


では日本で変更すればよかったのか?と調べたところ、
在東京の米国大使館ででさえ、記録上の変更はできるが、
(ぺらっぺらの紙切れのような)現物カードは再交付ができないとのこと。

アメリカのソーシャルセキュリティーオフィスで頼まないといけないらしいです。

実は渡米直後に夫との共同の銀行口座を開設しようとした際にも、
夫の留学ビザ(F-1)の帯同ビザ(F-2)では、
ソーシャルセキュリティーカードの再交付はできない、
という驚愕の事実を告げられ絶望していたのですが、
まさかここにも影響が出るとは…。

英語流暢だが、見た目は日本人(実際は国籍も日本人です笑)だし、
DMVで「SSN持ってない」と最初から言えばよかったのか?
と思ったけれど、SSNある人は「ある」というのが正当。
私は間違っていない…

でも、下調べが甘かった…と自分を責めながら…
通算10年以上もアメリカに滞在した経験があるのに、
初めて移民への厳しさを痛感し、かつ
スタッフにけちょんけちょんにされたのが悔しくて、
そして、免許交付されない場合、夫の不在中に、
息子の保育園の送迎や買い物、緊急時の病院搬送は誰がするんだ、
と気持ちが昂り、私は帰って号泣しました(はい)。

DMVでのやりとりに戻りますが、免許交付できない、と言われた時にまず
「は?????SSNない駐妻が取得できているのに、なぜ私ができない?ここで折れたらダメだ」と思い、思いつく限りの交渉条件を担当者に伝え、
とりあえず試験受けさせてくれない?と聞いたのですが、
相手はまったく態度を変えず、上から口調で、

"I cannot give you a drivers license even if you pass the test. The test is valid for 90 days, and I don't know how many days it will take for that card to come."
"You need to contact the Social Security Office first and fix that problem. We can't do nothing."
そして、吐き捨てるように"I am telling you that you cannot take the test."
と言った後、次の人を呼ぶボタンを押して
これ以上私がそこにいられないようにした。

さっきも書いた通り、SSNのない移民たちが続々と簡単に1日で免許取得できているのに、と私(SSNありの移民)は納得がいかなかったし、非常に屈辱を味わいました。

そんなこんなですごく落ち込んだのですが、なんとかするぞ、と自分を奮い立たせ、息子が帰ってくるまでに、ものすごい勢いで調査をしました。

振り返るとその日は、

  1. 10:30 DMV訪問:アポなしwalk-inの時間(12:00開始)まで、外で立ちっぱなしで並び、14:00に受付に呼ばれる。⇒視力確認、標識問題をパスするも書類で却下される。

  2. 15:00 車に乗り込み急いでソーシャルセキュリティーオフィス(SSO)再訪:こちらも整理券もらい数十分並ぶ。「姓名変更ができないと前回訪問時に言われたが、I-94(米国入国査証)を提出していなかったかもしれない、これで通るか?」と聞く⇒「F-2はそもそも再交付できない」と却下される。

  3. 帰宅後、在米日本国総領事館に電話をして相談。下記アドバイス:

    1. 大学の日本人アドバイザー(International studentsをみてくれる部門)に相談するのはどうか?

    2. アメリカは担当者により対応も異なる。戸籍謄本から婚姻証明を総領事館が発行するので、また別のSSOを訪問して、チャレンジするのはどうか?その場合は戸籍謄本を日本から取り寄せてほしいので、早めに動いてほしい。

    3. SSNない、とDMV訪問の際にいうのはどうか?(これはもう手遅れデス…と伝えた)

  4. 在東京の外務省に電話をして相談。気の良いおじさんが対応してくださったが、一向に解決策が出てこず。下記お言葉をいただく。

    1. アメリカの法にのっとったものなので、日本からは何もできない。

    2. 移民法に詳しい弁護士リストが総領事館にあるので、入手して相談をしてみるのはどうか。

    3. 米国の免許センターに通い、お金を払うと日本の免許を外国免許に切り替えれると聞いたが…(本当か😓?そんな話見当たらず)

  5. 在日アメリカ大使館に電話して相談。1~4で得た知識を共有しつつ、やはり日本でソーシャルセキュリティーカードの氏名変更はできないことを確認(データ上の記録のみ、紙の再発行なし)

救いの種は一向に出てこない。でも私はここでめげなかった。

担当者によるならば、もう一度、別のDMVを訪問して、
今度は「SSNはない」とシレっと伝えるのはどうだろう。

しかも、「今の名前でのSSNはない」と言えば、あながち嘘ではないし、
また就業可能なビザになった時にSSNを更新して登録すれば問題はないはず。

夫にも背中を押されながら、私は再び別のDMVを訪問した。
Google mapで口コミを調べ、近場で一番(人が)優しそうなDMVを調査したのだ。
精神面のサポートを必要とした私は夫を巻き込み一緒に10:00頃に並んだ。

なんと、今回のDMVのスタッフはめちゃくちゃ優しくて並んでいる人たちに
"popsicles or water?"と言って、差し入れなんかしてくれてるー!

日本人に評判の良いDMVでけちょんけちょんにされ、まったく信用できなくなった私に希望の光が射した。なんかうまくいくかも、と。

それでも、一筋縄ではいかないかった。

並んで1時間後くらいだったか「今日の実技試験は終わりだから」と切られてしまった。もう何時間、無駄にしているのだろう…
と思いながら、戦いはまだこれからだと気を引き締め、書類確認に進む。

前回以上に小さなオフィスで、カウンターに呼ばれる前に書類確認をし、
そこは何とか通る。

前回のDMVでは、私も長時間並んだ疲れから態度が悪かったので反省し、
今回は満面の笑顔と優しく純粋な声を意識しながら臨んだ。
(アメリカでは第一印象はとても大事だ!)

そしていよいよカウンターに呼ばれた。ここまで待ち時間は3時間以上だっただろうか。
ちょっと強面のおばちゃんが「あなた、最近DMV行った?」と聞いてきた。

なんと想像はしていたが、各所のDMVはネットワークで繋がっていた。

あ、もう、どうしよう、と思いながら、お待ちかねの質問。
「あなた、ソーシャルセキュリティーナンバー持ってる?」
「…持ってない」
「え?でもここにあるって書いてあるけど、ちょっと待って…交付できないわよ。」
「え?…でもSSNないの。」
「カードがないとだめよ」
「…今の名前ではないの。働けないから。」
と、冷静に優しく、ひとつひとつの言葉に細心の注意を払いながら、無駄なことを言わないようにした。すると…

「じゃあ、あのPCが置いてある机に座って」

あのPC?!

なんと、試験のPCではないか…!!!

もうよくわからない感情とともに放心状態で試験を受け始める。

あまりに、しばらくぼーっとしていたので、
簡単な試験なのに3問もミスってしまった。

そして、それでも、試験はパスし、
「次回はどのDMVでも実技試験を受けれるからね」とおばちゃん。
「ここには来ないでね、人が多すぎるから。私たち3人しかいないのよ」
若干脅し気味でいうのだけれど、半分冗談半分本気だと受け止めた私は、
「いいえ、私は来週すぐにココに戻ってくるから。みんな優しいから!」
と最高の誉め言葉を添えて出ていった。

そして、週明けに再び実技試験のために訪問する。

息子と夫の送りを友人にお願いし、早朝5:30に一番乗りに並ぶ。開くのは7時だけど、絶対に今日とってやる、という気概をもって。

それでも6時には3人並んでいたから、ホッとした。私、インド人、中国人。謎の連帯感で話に花が咲く、みんな学生なのか若い。

3回目の私はベテラン。暇つぶしの本も持ってきたし、朝ごはんも昼ごはんも飲み物もしっかり荷物にいれてきた。
もう長時間並ぶことは、へっちゃらだ。

そしてその時はやってきた。7時。強面のおばちゃんが中から扉をあけて、長蛇の列に向かって一言。

「ここではね、実技試験は午後からになったのよ!」
「は?」と耳を疑った。

ここで信じてはいけない、希望を持つのが生き残る道。と私。

前に並んでいた若い中国人の男の子も「は?意味不明、どうする?」
というので、「私はここで静かに待って、とりあえず整理券もらってカウンター呼ばれるまで待つよ」と言った。「3回目だからね」と。

ここではねられたらどうしよう、と気が気でなかったが、
前回同様のおばちゃんのいるカウンターに呼ばれた。

またまた満面の笑顔で挨拶し、英語は喋るが控えめな日本人風にしていると、
「あー日本人でよかったわ。手続きが簡単だもの」
「みんなにはね、実技試験は午後からになったの、って言ったけど、あなたは一番に列に並んでたからね、特別よ。午後に受けたって書いておくわ」とかささやき気味に言って、優しく対応してくれる。

私は日本人のパスポートだけど改姓できないSSNがある
めちゃくちゃ面倒くさい顧客なのに、おばちゃん本気?
と半信半疑になりながらも、ぐっと話したい気持ちを我慢して
無駄なことを言わないように努める。
ていうか、データ入力適当じゃん…。

「OK、じゃあ、自分の車のとこで待っててね」

信じられなかった。
最初に訪問したDMVは何だったんだろう。
アメリカの担当者によるというのは本当だ。ここまで顕著なのは初めてだった。

その後、実技試験は超簡単で5分もなかった。
運転経験は長いのでおばちゃんに気に入られたのだろう。
"You go girl!"とか言われながら、平和に終わった。

その後、ぺらっぺらのTemporary licenseが印刷され渡された。
記載内容を確認しないといけないのに、私はこれ本物だよね?いきなり無効とかにならないよね?としばらくぼーっとしてしまい、
「内容確認できた?」と催促されたほど(笑)

そして、おばちゃん曰く、「ここの実技試験は簡単って噂が広まっているけど広めないでね、人がいっぱいきて大変なことになるから、内緒よ。」とか言う。

あんなに威圧的な態度だったのに気に入った人には優しい、
本当にツンデレな人だな、とか思いながら…私はクタクタになり帰宅。
ここまで約1週間の出来事である。
そして本免許も今週届いたので、おばちゃんも免許も嘘つきではなかった!

以上、私の奮闘記でした。こんなに苦労したことがなかったので
正直、焦燥しましたが、諦めなければなんとかなるものです。

同じような状況にある人や他のことで上手く進んでいない人は是非、めげずに戦い続けてほしいです。

アメリカの運転環境やナンバープレートの豆知識なども書きたかったけど、あまりに内容が濃いので、今日はこれでおしまい。

思い出すだけでもヘトヘトです。
一生忘れない。


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