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タクシー運転手はボイラー技士を目指すのか?

 先日、バスだと間に合わないので大学から最寄り駅までタクシーで移動した。大学門前にタクシーを呼んだので運転手が私を大学教員だと考えたのか,専門は何かと尋ねてきた。その世間話に,

私が「機械やロボット,プロダクトデザインについて」とこたえると,
 
その40後半から50歳くらいの運転手は,
「自動運転が進歩して仕事が無くなるじゃないですか。何に転職するべきですか?」
と質問をしてきた。世間話で場をつなぎたいのか,マジの質問なのか少しばかり迷よったが,この先の不安について色々と追加でお話を頂いたので,あくまで私個人の意見として考えを伝えた。(私の意見きいて意味があるかは別として)
 
「タクシーの運転の仕事が好きならば,さらに技術を高めてハイヤー運転手のような,より付加価値の高い運転を担うのはどうか?」

「もし,好きではないならば,この先も必要で長く続けられる物理的な活動を伴う国家資格が必要な仕事,例えば,ボイラー技士 はどうですか?」
 
 今日の記事は,タクシー運転手の未来や,ボイラー技士になることをオススメするために書いたわけではないです。生活するためにお金は必要で,自分のやりたいことや,性分などもある中で,どんな仕事でご飯を食べていくか考えた場合の例として紹介したまでです。 どんな仕事が自分にあっているか?将来その仕事はどうなるのだろうか? 正解はないし,100%はないですが,考えることは大切かもしれません。


なぜハイヤーの運転手?

 なぜ,運転が好きならタクシー運転手を続けてもいいと思うと答えたか。
 個人の意見ですが, その運転手さんがおよそ50歳くらいにみえたからです。この先20年やそこらで日本が自動運転大国になることは無いと考えています。もちろん高速道路や大きな道での運転は自動運転になるでしょう。しかし,一般道での運転が自動運手になることは日本では20年先では、ほぼないと考えています。あるとしても,それが人件費よりも明らかに安くなるということはないと考えています。ラストワンマイルどころか,それ以上の多くの範囲で,人による運転に頼ることがまだまだ続くと考えています。 もちろん自動運転タクシーはアメリカの一部の地域で活用されています。既に稼働している技術があるのに,日本で無理な理由は自動運転の走行特性上,日本では法律的に厳しい部分がまだまだいくつかあるからです。例えば事故の責任です。その法律を抜本的に変えていくのに日本独自のスピード感では相当に時間がかかるので,技術がいくらあっても家の玄関から目的地まで自動運転という風には20年はかかるのではと予想しています。(具体的な法律と自動運転の実現範囲についての見解はまた別の記事で)
 一方で,ドアtoドアは無理でも,駅前から大通りに面したビルの前まで のような経路であれば,自動運転は十分に普及の可能性があります。そのためタクシー運転手の数自体は今より必要なくなる可能性があると予想しています。しかし,今車を利用する人は,人に運転してもらうことに慣れています。日本は超高齢者社会で,その人口の多数派の高齢者の多くが自動運転をこぞって利用すると考えられるでしょうか? 私は,やはり運転手に任せたいという人が無視できない一定数残り続けると考えています。そのため,より優しく,よりきめ細やかな運転や送迎が担える高い技術のドライバー,例えばハイヤーの運転手を目指して生存者利益を得られるような準備をしてはどうかという意見を述べました。

なぜボイラー技士?

1)そもそも,ボイラー技士免許とは?

 ボイラーを維持管理する技士の国家資格です。中規模以上のボイラーを扱う施設では、ボイラー技士の配置が義務付けられています。しかも,ボイラー技士免許は、一度取得すると無期限有効な点も良いと考えています。仕事を継続できる身体能力があれば,一般企業の定年退職である60や65歳以後も働けます。さらに都市部でも郊外のどちらでもボイラー設備を利用する大規模なモールやスーパー,ビルなどの商業施設や公的施設で働けるため働く場所が過疎地になることはなく,高齢になってもインフラの整った環境で仕事を続けられるメリットもあります。

2)なぜボイラー技士?

 資格としてタクシー運転手の仕事が嫌いならボイラー技士を例えば紹介した理由は,資格で守られていること,仕事の対象が数十年でなくならないと予想されること,最後は物理的な動きも伴う仕事であるためです。

3)資格で守られている仕事はなくなりにくい

 国家資格で守られている仕事は,その仕事がある日突然別の何かで奪われるリスクは低くなります。社会全体の安全で効率的な運用に,その仕事が大切だから国家資格があるわけですから,その仕事が必要ないと突然なることは少なく,無くなるにしても緩やかに減少することが予想されます。

4)仕事の対象が数十年ではなくなりにくい

 ボイラー技士の仕事対象はボイラーであり,それを備えた中大規模施設です。例えばRC造のビルは100年使えるとすると,その設備の抜本的な方式はこれも何十年も維持されます。つまり今ボイラーを活用する施設が,数年後に劇的に減ることはないといえます。仮に新しいボイラーに代わる何かの技術が生まれても,それは新しいビルの建設時や今のビルの大規模な修繕のタイミングまで採用されることはないはずです。つまり,仕事の対象(今回はボイラー)が突然なくなることがなく,無くなる場合も穏やかに減少すると予想されます。同じく例えば造船や橋や土木業にかかわるような仕事も同じことが予想されます。

5)物理的な動きが伴う仕事はなくなりにくい

 物理的な動きが伴う仕事とは何か? この説明のために、その逆を説明する。例えば,国家資格の税理士です。これは今回でいうと物理的な動きが伴わない仕事です。この物理的な動きを伴わない仕事は,その業界に関係がない私が仮に今50歳ならまず選ばない仕事です。なのでもちろんタクシー運手のそのかたにもオススメしませんでした。むしろ,個人の意見として大変危ういと考えています。このような物理的な動きではなく,データや情報の整理,それを税制度(法律やルール)へ対応を行う業務を担う資格は,その業務内容の多くが正解あるいは最適解が1つを,情報の中で探すもので,つまりAIが得意とする仕事で,置き換えやすいはずです。そして,AIに置き換わった場合に,有資格者の仕事はその業務からその業務の管理にかわり,劇的に必要な人数が減ってしまう危険性が高いと考えています。
 一方で,物理的な動きを伴う仕事,今回のボイラー技士は,その施設の中の設備にあるボイラーを直接見て触って検査して管理する必要があります。そこまで移動して点検することを人型ロボットに代替させることは技術的に将来可能でしょうが,そのロボットはAIを搭載した身体能力の比較的高い,つまり高コストな機械の身体をつもつロボットということになります。このような技術の利用は,当初は必ず高額になります。つまり,考えるAIと動くロボットの身体の双方が必要な仕事=物理的な動き伴う仕事は,高額な初期投資(ロボット)が必要で,自動化が急激に発生しにくい,おこしにくい仕事,つまり突然なくなる仕事ではなく,穏やかに減少すると予想される仕事だと考えています。そのため,この先長く人が必要とされるだろう仕事にだと予想されるのでオススメしました。
 

 

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